矢野経済研究所が1月24日に発表した調査によると、オタクの中で年間消費金額が最も多いのはアイドルオタクだという。その額は10万3543円で、2017年、2016年の調査と同様、調査したオタクの中で最も消費額が高かった。アニメやゲーム、鉄道模型といった他の項目と比べ、アイドルオタクだけが消費額10万円を超えていた。

また、2016年、2017年の調査と比較すると、他の分野のオタクは人口が減少傾向、もしくは増加と減少を繰り返しているのに対し、アイドルオタクは唯一、2年連続で人口が増えている。2018年のドルオタの数は280万人と推計されている。

最多層は「未婚かつ今まで恋人がいたことのない人」


アイドルオタクとはどういう人達なのか。矢野経済研究所の松島勝人主席研究員によると、平均年齢は30.6歳で、男女比率はおよそ1:2。属性としては「未婚かつ今まで恋人がいたことのない人」が39.6%と最も多く、次いで「未婚かつ今は恋人がいない」(25.5%)、既婚者(22%)、「未婚かつ恋人がいる」(12.9%)と続く。

年間消費額が高額になるのは、コンサートなどで外に出かけて楽しむコンテンツが多いからだろう。消費の内容まで聞いていないため、はっきりしたことはわからないが、松島研究員も「人によっては交通費を含めて回答している可能性がある」と分析していた。

調査では「自分をオタクだと思っている、または人からオタクと言われたことがある人」をオタクと定義している。アイドルオタクの数が増えたのは、ライトなユーザーが増えたためと考えられる。

「客観的には『オタク』と呼べるほどのヘビーユーザーでなくても、アイドルファンの裾野が広がった、ライトユーザーが増えたことで、ライトユーザーでも自身をオタクと称する人が増えていると推察されます」

「推しがこの世に存在しているだけで幸福で尊い」

年収の1割をアイドルに費やす人もいる。現在は元ハロプロのソロアイドル、鈴木愛理さんを推している、アイドルオタク歴15年のシズカさん(29歳・東京在住)は、年に60万をアイドルに使う。ライブと握手会への参加がメインで、去年の参戦回数はライブが25回、握手会は10回だ。

最もお金がかかるのは、やはり遠征の交通費。去年行った最も遠い場所は大阪だ。費用としては、「大阪宿泊からの名古屋が一番諸々かかった」という。副業で収入を増やし捻出しているものの、

「行く時間が捻出しきれずこのくらいになっているので、できるならもっと行きたいしお金は使いたい」

と、現状の支出額には満足していない。数年前、秋葉原の地下アイドルにハマっていた時は年収400万円ながら、活動費として年100万円を工面していたという。シズカさんに言わせれば年10万円の支出が「割とライト」という感想になるのも納得できる。

決して安くない金額を使ってでもライブや握手会に行くのは「好きだから会って感想とかを伝えたい、笑ってほしい」という思いからだという。

「推しがこの世に存在しているだけで幸福で尊いですが、歌って踊るのを生で見られるだけで幸せです」

アイドルオタクが増えた理由については、

「人を応援することが好きな人は増えているかなと思います。以前は割と愛を押し付ける系のオタクが多かった気がしますが、推しがかわいいのが幸せ、な人が増えたかな」

と見ていた。