1月22日、有料老人ホーム「未来倶楽部」、「未来邸」など首都圏で37施設を運営する「未来設計」が民事再生法の適用を申請し、経営破綻した。負債総額は約54億円と、介護施設では過去最大規模となったが、「週刊文春」は、創業者である伊藤英子氏(70)が、不正な経理処理について、元幹部社員と話し合う音声データを入手した。

【動画】「銀行騙してでも……」“老人ホーム女帝”の発言音声

 未来設計の持ち株会社は、昨年7月「創生事業団」によって買収されたが、実は赤字経営を黒字に見せかけていたという。

「伊藤氏の指示で、ホーム入居時に利用者から支払われる『入居一時金』を一括で売上高に計上し、運転資金に流用するなどしてきましたが、実際には2011年頃から債務超過に陥っていた。伊藤氏に支払われていた毎年約3億円もの報酬も、経営を圧迫する要因となった」(伊藤氏の元側近)


未来設計が運営する有料老人ホーム「未来邸日本橋」

 小誌が入手した音声データには、2017年4月、伊藤氏がこの「入居一時金」を運転資金に計上することを、幹部社員のA氏に対して正当化する様子が記録されていた。

伊藤氏「いや、別にそれは(銀行に)運転資金で使ってますよって言えばいいんじゃないの」

A氏「ただ、介護法とか読まれるとまずいんですよ」

伊藤氏「いや、介護法だって別にその為に500万とか保証をかけてるわけだから、入居金を使う事に介護法は関係ないです」

A氏「いや、それは、それは潰れたりなんだりした時にそれが活きるわけですよね」

 また、次のようなやり取りもあった。

伊藤氏「いや銀行からは借りれないとかさ、欺けないとか言うけどさ、私、銀行騙してでも借りるよ、売るまでは」

A氏「え? それはちゃんと払えるんなら別に構わないですよ」

伊藤氏「払えないも何も、あたしだってさ、借金を背負って辞めませんよ」

 現経営陣は会社の資金が不正に処理された疑いがあるとして、昨年9月に詐欺容疑で警視庁に告訴状を提出。昨年12月には伊藤氏らを相手に21億円以上の損害賠償を求める民事訴訟を東京地裁に起こしている。

 伊藤氏に事実確認を申し入れると、代理人弁護士を通じてこう回答した。

「創生事業団は事前に未来設計の財務状態や資金繰りの実態を正確に把握して買収しています。今後は、適切な事業者に各施設が承継されて健全な運営体制に戻るよう協力していく所存です。銀行借り入れ金については創業者として連帯保証人となり全責任を負っていたのですから、銀行を欺くなどということは、自分の首を絞めるに等しいことであり到底ありえないことです」

 1月31日(木)発売の「週刊文春」では、伊藤氏が「未来設計」を私物化して高級ブランド品を“爆買い”する一方で、老人ホームに必要な備品の購入を渋っていたことなどを元側近たちの告発を基に詳報する。また、週刊文春デジタルでは、この音声を公開する

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年2月7日号)