昨秋12季ぶりVで胴上げされる青木監督(C)共同通信社

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 法政大学野球部の青木久典監督(45)にパワハラ問題が浮上した。部員に対する日常的な暴力指導を訴える“告発文”が、法大と日本学生野球協会に届いていることが日刊ゲンダイの取材で明らかになったのだ。

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 法大は昨年、秋季リーグで12季ぶりとなる優勝を果たし、早大と並んで最多タイ45度目となる頂点に立った。これまでプロ野球選手を多数輩出してきた、言わずと知れた六大学野球の名門校だ。

 青木監督は2014年1月に助監督、翌15年1月から監督に就任した法大OB。同期には侍ジャパン稲葉篤紀監督がおり、4年時には副将を務めた。

 複数の関係者の証言によれば、青木監督が選手に手を上げるようになったのは、監督就任初年度の15年から。ある野球部OBが言う。

「あれは、春季リーグ戦前の午前練習後でした。真面目な性格でリーダーシップがあり、チームメートから人望の厚いAという選手がいたのですが、そのAが激高した監督からノックバットで太ももや尻を叩かれた。さらに胸ぐらをつかまれたAは足蹴にされ、素手で体を殴られました。理由は『返事の仕方が“ハーイ”と間延びしていたから』。あまりの衝撃に周囲は騒然としました。自分も含めて当時の複数の部員が目撃しています」

■昨年10月には助監督の暴力問題が

 この一件から部内には「青木監督は怒ると手を出す」と異常な緊張感が張り詰めるようになったという。実際、ノックバットで体を小突かれ、下半身を叩かれた選手は何人もいるそうだ。

 法大野球部は昨年10月にも暴力問題が明るみに出たばかりだ。16年に真木将樹助監督(42)が選手に練習態度を注意する際、ビンタなどの暴力行為に及んだことが発覚。11月から4カ月の謹慎処分を受けている。

 真木助監督も法大OB。当時は通算25勝を挙げたエース投手で、97年ドラフト1位で近鉄に入団。16年3月、投手力に課題のあったチームを再建するため、投手コーチに就任、昨年1月から助監督となっていた。

 3年前、野球部内外で当時はコーチだった真木助監督の指導法が問題になり始めると、青木監督に対しても暴力指導をやめるよう注意を促すOBもいた。

「法大OBのあるパ球団スカウトがグラウンドに来て、部員に助監督の暴力行為を確認していたのです。部員が認めると、青木監督と真木助監督の2人を野球部行きつけのソバ屋へ連れて行き、やめるよう注意した。それから頻度は減り、助監督の暴力が明るみに出てからは、青木監督もかなり“静か”になってはいるのですが……」(別のOB)

■全寮制で公私混同がエスカレート

 法大は基本的に全寮制。青木監督もまた寮に拠点を移し、自宅として家族で住み込み生活を送っている。そこでは2年前、こんな事件も起きている。

「外からサンダルで寮に帰ってきた選手が、つい横着をして2メートル弱ある土足禁止の場所をサンダルのまま歩こうとしたら、ちょうど監督室に帰る青木監督と鉢合わせた。『なんで土足なんだ、寮長を呼べ』となって、選手と当時4年生の寮長が一緒になって怒られ、監督に腹パン(腹部にパンチ)された。その“現場”が寮の玄関先だったので、『(設置された)防犯カメラに殴られた記録が残った』というのが部内で話題になりました」 と、当時を知るOBは証言する。

 寝食を共にするゆえ、公私混同も徐々にエスカレートした。

「家族と住む寮内の自宅で観賞魚を飼っていて、その水槽を掃除させられた選手もいました。ミスをしたりルールを破った選手が寮の掃除をさせられることはありましたが、家庭内の雑用もさせるのです。特にマネジャーは青木監督のプライベートな雑用係までやらされ、監督が寮のある武蔵中原から武蔵小杉へ歩いて飲みに行った日は24時ごろに『迎えに来い』とメールが来る。マネジャーはそれが当たり前になっているので、深夜まで起きて監督の送り迎え要員を寮に1人待機させています。『お迎えいりますか?』と連絡しても返信が遅く、『やっぱりいらない』と言われることもある」(別のOB)

 日本学生野球協会の内藤雅之事務局長に聞くと、「1週間ほど前、『監督が暴力を振るっている』といった内容の投書は来ました」と外部通報があった事実を認めたうえで、「被害者だという人の名前が5人くらい書いてありましたが、具体的なケガの内容は書いていませんでした。今はその事実確認を法政大へお願いして、報告書をお待ちしている段階。問題が事実であれば、審査室会議という第三者委員会の場で処分を決めると規則で決まっていますので、最終的にはそこで決まります。前回の真木助監督のときと(手続きの流れは)同じです」。

 法大野球部の神谷部長は「大学の広報課に問い合わせてください」。すると同大学の広報課は、次のように回答した。

「そのような告発が大学と日本学生野球協会にあったことは認識している。大学に対して日本学生野球協会から事実確認の依頼がきたため、調査のうえ報告する予定である。現在、保健体育センターや野球部が、事実確認のために、当事者に対して聞き取り調査中である」

 調査結果によっては、法大野球部の歴史にいよいよ傷がつくことになる。