go!go!vanillasの牧達弥(vo/g)が、バンドの新境地と九州への思いを語る/ (C)KADOKAWA/九州ウォーカー編集部

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1月23日(水)に新曲『No.999(ナンバースリーナイン)』をリリースしたgo!go!vanillas。2019年のスタートダッシュにふさわしく、激しいビートとキャッチーな歌詞がリスナーの心に突き刺さる一曲だ。さらに、フジテレビ系アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』のエンディング主題歌になっていることでも話題だ。

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今回、キャンペーンで福岡入りしたメインボーカルの牧達弥に、楽曲に込められた思いや九州での思い出なども聞いてみた。

■ 2019年一発目は、とにかくポジティブなロックナンバー

ーーまずは新曲について教えてください。とてもぶち上がった曲になっていますね!なので、聴いた時の感想としては、『ゲゲゲの鬼太郎』のエンディングというかオープニングテーマみたいな感じの曲調だなと思いました(笑)。

牧「そこはおれも心配しましたね(笑)。とにかくアゲていくような感じなっているので、これでエンディング感があるかな?って」

ーーでも、アニメの世界観を思わせるような歌詞も印象的です。

牧「そうそう。“デス”とか“墓場”とかのワードが出てきますしね」

ーー『ゲゲゲの鬼太郎』の印象を教えてください。

牧「幼い頃から見ていましたし、好きですね。今でこそキレイなアニメーションになっていますけど、昔のおどろおどろしい感じもすごく好きです。あと、『ゲゲゲの鬼太郎』は、妖怪が出てきて、人間に悪さをするっていうイメージがありますが、実は人間の過ちから妖怪がうみだされ、その妖怪が人間に虐げられているっていう側面もあり、とても考えさせられますね。水木しげる先生のそういった考え方もすごいロックだなって思います。だからこそ、今回はこのお話をよろこんでお受けしましたし、小さい頃から見ていたアニメに自分の曲が使われるのは、とてもうれしいことです」

ーーそれは感慨深いですね。でも、この曲は、アニメのタイアップ用に作られた曲ではないそうですね。

牧「そうなんです。この曲自体は、ちょうど一年前に作りました」

ーーどんな思いで制作されたのでしょうか?

牧「今って、SNSもあるから、有名人とか関係なく個人の意見がいいやすい時代ですよね。そういうのはすごくいいことだと思うんですけど、悪い意見や考えも抽出されやすいという側面があるのも事実です。どうしてそういう風になるんだろうと考えた時に、自分の“芯”がとても大切になってくると思うんです。その芯を軸にいろんな情報や意見を受け取っていくのなら、他の要因に飲み込まれることはありません。ですが、その芯をもっていないと、ネット情報やメディア操作に流されちゃうから、その都度一喜一憂してしまいますし、悪口を言われたり炎上してふさぎ込んでしまったりするんだと思います。SNSってすごく便利だけど、使い手がライトな心持ちでいるとそういった弊害がある。だから、しっかりと自分の芯をもって、本当に必要な情報だけを受け取って、よりよい人生を送ってほしいと思って書いた曲になります」

ーーまさに、そのメッセージをダイレクトに詰め込んだ一曲ですね。

牧「元々ロックって、カウンターカルチャーとしてうまれてきたから、割と自分のメッセージを発信できる音楽だと思うんですね。だから、今の世の中を見た時に、自分たちの音楽でもそういう発信をしたいなって気持ちがあったからこそ、こういった曲を作ることができました」

ーー『散々な目にあったっていい ハーベストと思えば』という一節もとても印象的ですし、このフレーズに牧さんの思いが集約されているのですね。

牧「そうなんですよ。奇しくもうちのベース、長谷川プリティ(敬祐)が去年の年末に事故にあってしまって、年末のライブもできないんじゃないかっていう状況になったんです。でも、そういった散々な目にあっても、これも一つの収穫というか、これもチャンスに変えられるかどうかも、さっき言った“芯” につながってくると思ったんです。それ次第で、次の行動が変わると思うし、死ぬ以外のことはすべて自分の経験になることだから。僕らはそれを乗り越えようとしたので、バニラズを知らない人もプリティのことを気にかけてくれていたり、心配してくれたなってすごく実感できました。実際にSNSもすごい反響でしたし、やっぱりSNSは使い方次第だなって思いましたね」

■ MVはまるで45分の短編映画

ーー確かにメンバーの方がプリティさんの近況を報告してくれると、ファンはすごく安心できますし、応援したくなります。本当に復活が待ち遠しいところです。さて、先日『No.999』のMVも公開されました。監督の大畑貴耶さんとは初タッグだそうですね。

牧「そうなんです。今回は今までとは違うロックを表現している分、新しい風というか、自分たちと同じ感覚を持っていて熱意のある人を探していたところ、大畑監督と出会ったって感じですね」

ーー実際MVでは、どういった世界観でやっていこうという話になったのですか?

牧「まず、僕はタランティーノ監督の映画が好きで、(MVの)監督もタランティーノがすごく好きだという話でリンクしたんです。それで、『パルプ・フィクション』みたいな、全然関係ない人たちが話の中でつながっていくような展開を、じっくり話し合って作っていきました」

ーー確かに最後に物語がつながっていますね。

牧「ちょっと強引なところもありますけど(笑)」

ーーあと、私の深読みかもしれませんが、今回MVで悪魔が出てきたりしますし、タイトルを逆さに読むと悪魔の数字“666”になるから、そこのつながりもあるんですか?

牧「やっぱりそう思いますよね。確かに深読みしすぎなんですけど……。『999』もイギリスなどで使われる緊急ダイヤルで、裏返したら“666”じゃんっていうのは、曲を作る時に思ったんですけどね。でも、それも正解じゃないかもしれないです。そこは、リスナーの想像にゆだねたいと思います。謎のままということで(笑)」

ーーでも登場人物もたくさんいて、まるで45分の映画を観ているような感覚でした。牧さんの女装もステキでしたね(笑)。そちらの反響もあったのでは?

牧「いや〜、めちゃくちゃありましたよ(笑)。インスタにもアップしたんですけど、友達とか普通に気づかなくて『可愛い子がいるって思ったら、牧かよ!』って。女装は初めてだったんですけど、意外と反響がありましたね(笑)」

ーーそれも新境地ですね(笑)。あと、カップリング曲は「触れたら」です。こちらは、柳沢進太郎さん(g)が作られた曲ですが、初めて聞いた時の感想は?

牧「もともと、進太郎が自分で作って自分で歌おうと思っていた曲だったんですね。その曲を事務所の社長も気に入っていて、これをいつか録りたいねって話は以前からしていました。それで今回録る機会になった時に、牧がその曲を歌うのも聞いてみたいという提案をもらって、じゃあやってみましょうって流れから、スタートした感じです。いざ曲を歌うってなった時に、メロディも歌詞もすごく僕とは違う個性があるので、最初は、すごく安くいってしまえばカラオケみたいな感じというか……。人の曲を歌うような感覚になってしまったんですけど。でも、あえて進太郎には曲の意味合いとかは聞かずに、自分で解釈して歌っていくことで、自分の歌として表現できたなって思います」

ーー純粋な思いが伝わってくる歌詞ですね。

牧「そうですね。基本的に“僕”と“あなた”しか出てこない世界じゃないですか。すごく距離が近い世界なので、より丁寧に優しくという気持ちを意識して歌いました。僕の場合は、“あなた”自体が誰にでも当てはまるような広いとらえ方をすることが多いんですけど、進太郎の場合は、“あなた”がどんな人物か浮き彫りになるような世界観で書くことが多いから、その違いも感じとってもらえたらと思います」

■ 待ち望むのは“4人そろったバニラズ”のアゲイン!

ーー牧さんは大分県のご出身でいらっしゃいますが、牧さん的大分のおすすめスポットを教えてください!

牧「大分といえばまずはおいしい食べ物ですかね。親戚がやっている『金なべ亭』(大分市)っていうお店があるんですが、ここのチキン南蛮が本当においしいです!同じ大分県出身でお笑いコンビのダイノジのお二人もお気に入りのお店らしくて、よく地元トークもしますよ」

ーー大分に行った際にはぜひチェックしたいですね。観光スポットとしてはどうですか?

牧「水族館の『うみたまご』(大分市)ですね。関東の水族館とかも好きで行くんですけど、『うみたまご』は海に面していて気持ちいいし、広くて見やすいです。近くに高崎山自然動物園もあるから、海も山も楽しめるので、この辺りは特に観光におすすめしたいですね」

ーーさすが大分っ子!ちなみに、今後、地元九州でやってみたいライブ会場や出て見たいフェスとかはありますか?

牧「ライブ会場だと、新しくなったZepp Fukuokaですね。フェスだと、去年鹿児島の桜島で初めて開催された『THE GREAT SATSUMANIAN HESTIVAL』は、バンドマンの間で話も聞きましたし、とても気になっています」

ーーZepp Fukuokaや桜島でバニラズさんの音楽が聴けるのを楽しみにしています!では、最後に読者へメッセージをお願いします!

牧「4月のツアーは九州に帰ってこれないんですけど、今年中に帰ってきて、またライブをしたいなと思っています。東京に出て、もう10年になるんですけど、いつも、『あ、帰ってきたな』って思うのが九州です。年をかさねてもずっとつながっている街だから、大切にしていきたいって気持ちが強いので必ず帰ってきます。プリティはまだリハビリ中ですけど、あいつも大分県出身なので、福岡でライブをするのを楽しみにしていますし、また4人そろったgo!go!vanillasも早く見てもらいたいです。それにはもうちょっと時間がかかるかもしれませんが、なにかしらライブで福岡に足を運びますので、その時はぜひ遊びに来てください!」

[撮影協力]COMATSU Premie(コマツ プルミエ) / 福岡県福岡市中央区大名1-14-13 プラザホテル1F / 092-738-3207

【九州ウォーカー編集部 / 取材・文=森川和典 / 撮影=山辺学】(九州ウォーカー・森川和典)