500人以上の女性の仕事と恋を幸せに導いてきた、キャリアコンサルタント・小川健次が、堅実女子の皆さんの人生を上方修正する、ちょっとしたコツをお教えする連載です。

今回は、信頼できる上司と起業するも、3年目にして意見が決定的に食い違ってしまった女性の状況打破方法です。

信頼できる上司と、意見の衝突からおかしくなった関係

翻訳会社で翻訳者たちのコーディネーター兼、営業として働く松田紀子さん(仮名・31歳)。彼女は、3年前に創業者であり社長の高松好美さん(仮名・35歳)と一緒に会社を興しました。資金を出したのは好美さんです。しかも彼女は強烈なカリスマ性を持ち、卓越したリーダーシップと押しの強さで会社を牽引してきました。一方、紀子さんは地味に足場を固め、現場で働く人と誠実に関係を築くのが得意です。

相反する特徴を持つ女性2人は、この3年間二人三脚で頑張ってきました。しかし、ここ数か月間、お互いの関係がどうもギクシャクしていると感じ、紀子さんは私のところにお見えになりました。

いろいろお話を伺うと、2人の仲がうまくいかなくなった原因が、「今後の方針」にあることがわかりました。営業として現場で働く紀子さんは、創業して3年。やっと取引先からの信用を得られはじめているこの時期は、しっかり足場を固めていきながら、より質の高いサービスを提供できることに力を注いでいきたいと考えていました。

それに対し好美さんは、英語の日本語翻訳を中心にした業務では、クオリティーで同業他社との差もつけづらく、価格競争に巻き込まれてしまう。それに会社の業績を支えているのが、主に好美さんの営業力とカリスマ性という属人的なもの。それでは、遅かれ早かれ行き詰るリスクが高い。経営者として安定的な売り上げの確保と、専門性を高めるために、話者の少ないニッチな言語の翻訳事業を積極的に進めたいと考えていたのです。

話し合いは正面衝突、平行線をたどり、関係がぎくしゃくし……

どちらの考えも正しいと思えるものだけに、お互いの主張は正面から衝突。それまでは恋愛や親の問題など、プライベートなことでもお互いに相談し合える関係でしたが、意見の衝突を期に、関係が少しずつおかしくなってしまいました。

あなたは私の言うことを聞いていればいい

紀子さんは、幼い頃から著名な翻訳者に憧れて、都内の名門私立大学の英文科に進学。優秀な成績で卒業しました。その後、翻訳者の道を目指して、出版社の契約社員として働いていたのです。

その部署に正社員として勤務していたのが、好美さんです。好美さんは紀子さんに「翻訳を仕事にしていきたいなら、人脈や営業力が必要不可欠だ。あなたは、しばらく私の言うことを聞いていればいいの」と、仕事のイロハを教えてくれました。

好美さんが念願の起業するにあたり、紀子さんを引き抜いてくれたことも、とてもうれしかったと語ります。その後は、責任ある仕事を通じて社会人としての教養も学ばせてくれたのです。

その後、2人は公私に渡ってお互いを心から大切に思える存在になっていきました。紀子さんがある男性に手ひどいフラれ方をしたとき、好美さんは励ましてくれたそうです。上司であり、先輩でもあり、そして何でも相談できる親友でもあります。紀子さんにとって、誰よりも恩があり、大切な人である好美さんとの関係がおかしくなってしまっている状態は、耐えがたいものです。

それに、このままでは収入の道を絶たれてしまいます。なんとかその関係を改善したいと思い、好美さんは私のもとを訪れたのでした。

デザイン、翻訳、コンサルタント、PR……女性の上司と部下で起業するケースは増えているが、コミュニケーションが原因のトラブルも増えているという。

信頼でき、大切な人だからこそ、食い違う意見……もやもやした時の簡単な解決方法とは?〜その2〜に続きます。

■プロフィール

恋愛・キャリアの賢人 小川健次

恋愛カウンセラー/営業・マーケティングコンサルタントとして、年間約500名の女性をカウンセリング。恋愛とキャリアの両立のためのアドバイスが支持される。同時に、中小企業を対象とした営業、マーケティングのコンサルティングを行なう。 株式会社リエゾンジャパン代表取締役、社団法人感覚刺激と脳研究協会理事ほか、多岐にわたる活動をしている。
Blog : https://ogawakenji.com/