■「脱量販店」ビックカメラが首位ヤマダを抜く日

ビックカメラの業績が好調だ。2018年8月期の連結決算は、売上高が前年比6.8%増の8440億円、純利益が26.8%増の171億円だった。

写真=iStock.com/winhorse

家電販売は業界全体で厳しい状況が続いていたが、家電エコポイント制度の導入から約10年が経過して買い替え需要が高まったことで、18年8月期は特需的に売り上げが伸びた。

ビックは家電以外の分野も軒並み好調で、医薬品・日用雑貨、スポーツ用品、酒類・飲食物は軒並み前年比20%以上の増収だった。医薬品や日用雑貨などを扱う「ビックカメラセレクト」、酒類の専門店「ビックカメラリカー」、おもちゃの専門店「ビックトイズ」など、各分野の専門店を単独で出店する戦略も進めており、今後さらに売り上げを伸ばす可能性はあるだろう。

業界首位のヤマダ電機は苦境が目立つ。同社の18年3月期の売上高は前年比0.7%増の1兆5738億円と微増だった。同社は近年、住宅の販売に力を入れており、その影響で家電の売場面積が減少している。結果として、他社に比較すると家電分野の売り上げを伸ばせなかった。

非家電分野でも、ヤマダはビックほどの売り上げを出せていない。ただし、ヤマダが住宅販売に力を入れ出したのはここ数年で、非家電分野では後発といえる。「住宅と家電をまるごと売り、住宅ローンも手がける」という戦略は優れているため、将来大きく成長する可能性はある。

現状では首位のヤマダと2位のビックの売り上げは大きく離れている。だが、ヤマダは11年3月期に売上高2兆1532億円を記録して以降、大きく売り上げを落としている。非家電分野の取り組み次第では、将来的に順位が逆転する可能性は十分にある。その一方で、両社とも非家電分野の戦略は優れているため、それぞれが新たな事業の柱を築き、売り上げを伸ばす可能性もあるだろう。

(店舗経営コンサルタント 佐藤 昌司 構成=吉田洋平 写真=iStock.com)