総務省と公正取引委員会が、携帯電話大手3社が下取りした中古スマートフォンの流通実態調査に着手したという報道があった。キャリア関係者に確認したところ「調査を受けているのは事実」とのことだ。

これまで各携帯電話会社は、iPhoneの新機種が発売された際には積極的にユーザーが利用しているスマホを下取りする施策を展開してきた。中古端末を買い取ることで、新機種買い替えに対しての負担を軽減するという狙いだ。

一方で、下取りしたiPhoneは国内ではなく、海外に転売されているという噂が絶えなかった。総務省では「国内で新機種のiPhoneが売れなくなる恐れがあるため、アップルの言いなりになって、キャリアは下取りしたiPhoneを海外に転売しているのではないか」と見ていたようだ。

中古の流通増でスマホを買いやすくする狙いか

日本では今後、「完全分離プラン」の導入により、端末代金に対する割引がなくなろうとしている。新機種が高価で買いにくくなる中、中古スマホの流通を増やすことで、国民がスマホを買いやすい状況を作りたいというのが、総務省の考えとしてあるようだ。

しかし、実際のところ、キャリアは国内で中古スマホが流通するのを嫌がって、あえて海外に転売しているものなのか。かつて、キャリア関係者に話を聞いたところ「海外に転売した方が高く売れるからに過ぎない。単純な話だ」と語っていた。

その後、キャリアから下取りスマホを買取り、海外に転売している仲介業者にも話を聞いたことがあったが、彼らによれば「海外の業者は、日本の下取り端末を大量に高い値段で買い取ってくれる。とにかく、まとめて大量に買ってくれるという点が大きい。日本国内では、MVNOであっても、買い取れる端末台数は限られており、商売にならない」と事情を明かす。

中国やアジア諸国からすれば、日本で下取りされたスマホは、本体カバーをつけた状態で使われていたものが多く、使用状況も良いため、中古市場でも高値で取引されやすいという。また、(契約縛りに起因する)2年前など、比較的、新しい機種が下取りとして回収されているため、転売しやすいという事情もあるようだ。

キャリアが下取りした端末を海外ではなく日本で流通させるには、日本の中古業者やMVNOが、高値で下取り端末を購入できるだけの調達力が必要だということのようだ。

日本は本当に中古スマホの普及を目指すべきなのか

中古スマホの流通量が増えれば、国民にとってみれば選択肢が増え、安価にスマホを入手できる環境が整うのは間違いないだろう。しかし、一方で、中古スマホの普及による「デメリット」も十分に理解しておく必要もある。

スマホにはiOSもしくはAndroidというOSが搭載されており、毎年のように新バージョンが登場している。もちろん、大きなバージョンアップだけでなく、マイナーなアップデートも頻繁に行われている。これらのアップデートは単に新機能を追加するだけでなく、セキュリティ面での強化という意味合いもある。

iPhoneは最新のiOS12でも、かなり古い機種であってもバージョンアップの対象となっているが、Androidの場合は、バージョンアップがあまりされない機種などが散見される。中古Androidスマホを購入したものの、バージョンアップが受けられないとなると、それだけで、ウィルスや個人情報漏洩などのリスクにさらされる危険がある。

iPhoneには「リファービッシュ品(整備済み品)」があるが…

また、バッテリーは、どちらかといえば「消耗品」といえる存在だ。最近のスマホはバッテリーが内蔵されてしまっているため、自分では交換ができない。しかし、バッテリーは2年以上使っていれば寿命が来てしまうため、「中古スマホを買ったが、バッテリーがヘタっていて、すぐに電池切れになってしまう」ということもあり得る。

iPhoneには、中古品を回収し、一度分解した後に、電池などを新品に交換して製品として復元して販売する「リファービッシュ品(整備済み品)」というものが存在する。

総務省が本当に中古スマホを推奨したいのであれば、単なる中古品ではなく、リファービッシュ品のような「整備済みの安心して使える中古品」の存在をアピールする必要があるだろう。

最大の懸念は5G普及への影響

日本では2020年から新しいサービスとして5Gが始まる。本来であれば、5Gの普及に向けて、5G対応スマホをバラまくぐらいの施策が必要だが、昨今の「完全分離プラン」の導入により、5G対応スマホの早期普及は見込めなくなってしまった。

日本が5G後進国に?

さらに、仮にこのまま中古端末を盛り上げるとなれば、5G対応スマホに手を伸ばす人は激減することだろう。中古スマホの普及促進は、国民をウィルスの脅威に晒すだけでなく、5G推進に向けて動き出す日本の通信業界の足を引っ張ることになりそうだ。