東京五輪出場最右翼の岡田久美子選手は、圧倒的なチカラで女子一般の部で優勝。大会記録も樹立

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〜今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪 第68回〜

 フモフモ編集長と申します。僕は普段、スポーツ観戦記をつづった「スポーツ見るもの語る者〜フモフモコラム」というブログを運営しているスポーツ好きブロガーです。2012年のロンドン五輪の際には『自由すぎるオリンピック観戦術』なる著書を刊行するなど、知っている人は知っている(※知らない人は知らない)存在です。今回は日刊SPA!にお邪魔しまして、新たなスポーツ観戦の旅に出ることにしました。

「そうだ、競歩に行こう」

 思い立ったが吉日というか元日。いよいよ東京五輪・パラリンピックが来年に迫るなか、新年の物見遊山は競歩からスタートします。東京五輪・パラリンピックの現地観戦を狙うにあたり、競歩というのはひとつ狙い目の種目です。公道を走る屋外種目、しかもチケット価格は「タダ」。同じく公道を走るマラソンでは有料席が用意されるのに、競歩はチケット販売皆無の完全タダ種目。大事なのでもう一回言いますが、競歩はお金を払いたくても払えない「完全タダ種目」なのです。

 だもんで、近くにめぼしい競歩の大会がきたら本稿でレポートを……と思って数年経つのですが、一向に競歩は来やがりません。

 実は日本における競歩の中心地は石川県でして、50kmの日本選手権は毎年4月に石川県輪島市で開催されています。毎年3月中旬に能美市で行なわれる全日本競歩能美大会(20km)はアジア選手権も兼ねるなど国際的な大会で、2015年には鈴木雄介選手がこの大会で20kmの世界記録を樹立しています。その鈴木選手も石川県出身というように、競歩と言えばまず石川県で、その他の大会も山形県・兵庫県などでの開催となっており、主要大会は東京にはやってこないのです。そもそも全部で年に5回くらいしか大会ありませんし。

「ドマイナーやのぉ……」

「さすが完全タダ種目……」

「タダでいいから見ていってくださいの精神……」

 しかし、さすがは東京。主要ではないけれど、数えるほどしかない競歩の大会のひとつが東京でも開催されていたのです。それが東京選手権を兼ねて行われる「元旦競歩」なる大会。ブラック企業の新年の集まりみたいな、日付指定で強制的に歩かされそうなネーミングのこの大会は、2019年で67回を数える伝統あるもの。日本チャンピオンを決めたりするわけではありませんが、そもそも競歩の大会なんてロクすっぽないということで、まぁまぁトップクラスの選手が集うものであるといいます。

 正月と言えば、1年でもっとも長距離走への関心が高まる時期。元日には実業団によるニューイヤー駅伝があり、その後は箱根駅伝が行なわれます。「正月から一生懸命走っている人の苦しんでいる顔をダラダラ見守る」というのは、日本人の新春の喜びです。他人の苦しみをスパイスに「ああ、自分は休みでよかった!」と我が身の幸せを噛み締める時間です。そんなハイシーズンに、競歩もひっそりと苦しんでいたのです。これを逃せばまた1年後となるわけで、行くなら今日しかない。「競歩、今日でしょ!」と元日朝っぱらから見守りに行ったわけです。

◆「一粒で二度おいしい」競歩観戦

 元日から競歩するヤツなんかおれへんやろ……と思ってたどりついたコース。すると、早速まわっております。周回コースをグルグルと。沿道には主に関係者と家族、そしてわずかな観戦者。その数は100人とか200人くらいでしょうか。1周約1.3kmのコースにおいて、ポツリポツリと人が立っています。わずかににぎわっているのは関係者が集うフィニッシュ地点くらい。箱根駅伝で言えば「10m分」くらいの人数がうすーく1.3kmに散らばっている感じです。