絶滅危機を覆すシャープ コンパクトスマホ「AQUOS R2 Compact」 生き残れている最新技術とは

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ソフトバンクは1月9日、シャープ製スマートフォン「AQUOS R2 Compact」を1月中旬以降に発売することを発表した。1月18日より取り扱いが開始されており端末代金は一括価格が82,080円、24回払いで3,420円、48回払いで1,710円となる。

AQUOS R2 Compactは、昨今の大画面スマートフォンとは両極に位置し、
片手でも扱いやすい横幅64mmのコンパクトモデルである。

スマートフォンのディスプレイは、今や手のひらで4K(3840×2160ドット)のHDR(ハイダイナミックレンジ)という高精細な映像まで観られるほど進化しており、もしかすると自宅のテレビ以上の高性能なものとなっているのではないだろうか?

そう、手のひらサイズに高精細、広い色域、高輝度など最先端技術が集結したデバイスである。

以前のスマートフォンでは、大画面は高価なハイエンドモデルならではの特徴でもあったのだが、今や低価格なエントリーモデルに至るまで大画面化している。このため画面の大小で製品価格が安くなるという単純な状況ではなくなった。

さらに最新モデルでは、大画面でも使い勝手や持ちやすさを向上するため、横幅をスリム化し、縦方向に大型化することで、大画面化とハンドリングの良さを両立させている。


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縦方向の表示エリア拡大は、
・表示できる情報量が増える
・文字入力のためのキーボードを表示しても画面を占有しない
・片手で持てる横幅を維持できる
などのメリットがあり、コミュニケーションツールとしての使い勝手の向上に繋がっている。

とはいえ縦長ディスプレイであっても、さらに画面の大型化すれば、横幅も増えるので片手では操作が難しくなってしまう。また縦に長くなることで、画面上部の操作はスマートフォンの持ち変えが必要となり、片手では操作が難しい問題も発生する。

こうした大型化するハードウェア問題を解決するため、ソフトウェアで画面を縮小表示する「片手モード」を搭載するスマートフォンも増えている。
この「片手モード」だが、実際に使ってみると意外と便利だという人も多い。
筆者も、日常の基本操作だけであれば、片手モードだけでも良いのではと思ってしまうこともある。

実は、日常のメッセージや通話、ネット利用であれば、大画面を必要としないケースも多いのだ。
現在でもスマートフォンをポケットに入れて持ち歩き、片手でサッと使いたい。
そんなコンパクトなスマートフォンのニーズがあるのも、納得できる。

しかし、現実は厳しく、コンパクトなスマートフォンは絶滅寸前だ。

そんな状況下の中、奮闘しているのがシャープのAQUOSなのだ。
シャープは
・2017年12月
約4.9インチのコンパクトなスマートフォン「AQUOS R Compact」を発売した。

・翌2018年1月
SIMフリー版も発売。ミドルレンジのコンパクトスマートフォンのニーズを掘り起こした。

それから1年後の2019年
フラグシップモデルの「AQUOS R2」のDNAを受け継ぐコンパクトなハイエンドモデルAQUOS R2 Compactが登場する。




AQUOS R2 Compactは、手のひらに収まるサイズながら額縁ギリギリまで表示エリアにする約5.2インチディスプレイを搭載したことで、コンパクトさと広い表示エリアを実現している。

小さい画面ながら大画面スマートフォンに近い情報表示が可能となり、使い勝手がグンと向上したのである。




今回、表示エリアを拡大するにあたって、
・上部には前面カメラ用のノッチ(切り欠き)
・下部には指紋認証センサー用のノッチ
このようにダブルノッチデザインを採用している。

ディスプレイデバイスの進化とAndroid OSがノッチデザインをサポートしたことで実現した最先端デバイスなのだ。

・小型スリムなので持ちやすく、使い勝手がよい
・ハイエンドならではの快適な操作性
コンパクトなスマートフォンを待ち望んでいた層はもちろん、もっと広い層も虜にできるスマートフォンに仕上がっている。


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一方、海外では指紋センサーを画面内に埋め込むことでコンパクト化する動きもある。
画面内の指紋認証に関しては今回AQUOS R2 Compactには非搭載だが、Qualcommが、次世代のチップセットでサポートすることを発表しており、よりセキュアな指紋認証が次のコンパクトシリーズにも搭載される可能性がある。

実際にAQUOS Compactシリーズに画面内の指紋認証が搭載されれば、コンパクトながら表示できる情報量はさらに向上し、使い勝手の良いスマートフォンになるだろう。




最後に、現在好調なシャープのAQUOSスマートフォンにあえて苦言を言えば、
AQUOS R2 Compactに限らないが、シャープのスマートフォンカメラはイメージセンサーや光学レンズなどハードウェアに頼り過ぎているように思う。ユーザーインターフェイスや画質など、ソフトウェアにも大きな改善や進化を期待したい。

シャープは、かつてのケータイ(フィーチャーフォン)時代では、カメラ画質の良さからシャープを選ぶユーザーがいたほど、カメラにこだわりをもっているメーカーでもある。


AQUOS R2 Compactで撮影。AIによってスッキリとした青空が再現されたが、強い個性がなく加工などに扱い易い写真ではある



今後のAQUOSブランディングとして、写真を見ればAQUOSスマートフォンで撮ったとわかるような個性づくりがあっても良いのではないだろうか。

カメラの画作りは、もっとメーカー独自の方向や拘りがあっていいはずだ。
シャープは、最先端ハードウェアで攻め続けているが、ソフトウェア面でもファームウェアやシステム更新などで対応できる部分はどんどん攻めて行ってほしい。


執筆  mi2_303