提供:週刊実話

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 米国を皮切りに、英国、カナダ、豪州、NZ、日本らの政府が中国通信機器大手のファーウェイ社製品を政府調達から排除することを決定したが、この動きがついに東欧まで波及した。昨年末、東欧で初めてチェコのアンドレイ・バビシュ首相が、内閣の職員に対して、ファーウェイ製スマホの使用を禁止したのだ。

「ポーランドでは1月8日、ワルシャワのファーウェイ社事務所の中国人職員がスパイ容疑で逮捕されています。同職員はポーランド担当営業マネジャー職にあり、このとき同時に、ポーランド国内安全保障局に勤務していた元職員(サイバー対策専門家)も逮捕されています。両者が連携していたのは確実です。このためオーストリアの代表紙プレッセ(1月14日付)は、『ポーランド政府はEU(欧州連合)とNATO(北大西洋条約機構)加盟国に対し、ファーウェイ対策で共同歩調を取るべきだ』と呼び掛けています」(ドイツ在日本人ジャーナリスト)

 ファーウェイは現在、世界170カ国でビジネスを展開させているが、東欧では上記2国以外にエストニア、ラトビアなどバルト3国などに事務所を開設している。今後、他の東欧国でもファーウェイ締め出しの動きが広がる可能性がある。

 ファーウェイが東欧から締め出されたのとは逆に、中国政府は“自国人”を締め出した。中国は、孟晩舟ファーウェイ副社長兼務CFOのバンクーバーにおける拘束(12月1日)以来、13名のカナダ人を「スパイ容疑だ」などと難癖を付けて拘束しており、中には麻薬密売に関わったカナダ人に対して、中国・大連地裁が「死刑」判決を言い渡した。このため、米国への移送を阻止するためにカナダへさまざまな圧力をかけ続けている中国に対し、カナダでは人権尊重の立場から世論は激高している。

 北京空港で嫌がらせを受けたのは、王丙章博士の娘、王チアナ女史(カナダ国籍)だ。坊主憎けりゃ…的に1月16日に北京空港で2時間にわたり、同女史を拘束した。彼女は、北京で乗換手続き中に夫や娘と引き離され、携帯電話の使用もできないため、北京のカナダ大使館への連絡もできず、別室で6人の国家安全部と思われる男達から「カナダには帰国させない」と嫌がらせと脅迫を受けたという。

 「王博士は『中国のマンデラ』といわれる1970年代後半に改革開放の波に乗ってカナダへ留学した医学博士です。1982年に米国で『自由、民主、法治、人権』を綱領に掲げ『中国の春』を立ち上げました。これに世界各地の中国人留学生がたちまち共鳴し30カ国に支部ができています。その後『中国民主党』を結成し、初代主席に就任しました。天安門事件では直後に北京入りを図ろうとして成田空港で搭乗拒否に遭っているくらいですから、その娘がカナダ国籍ですし、嫌がらせをすることを事前に準備していたのでしょう」(国際ジャーナリスト)

 もっとも「中国民主党」には北京から工作員やスパイが潜り込んで組織の分裂を策動し、いくつかの会派に分裂し弱体化を余儀なくされている。

 それにしても中国に入国しようとしたわけでもないのに拘束するとは。どれだけ人権を問題視しようと中国には「馬耳東風」だ。