ゴール予定地である日出町の「尾畠春夫さん特集ページ」

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「スーパーボランティア」こと尾畠春夫さん(79)が、東京都内から自宅のある大分県日出(ひじ)町まで、「世界のこどもたちの幸福をねがう旅」と題して、1000キロ以上にわたる徒歩での帰宅に挑戦している。

山口県で行方不明の男の子を発見して、一躍時の人になった尾畠さん。2019年1月18日に東京都内の小学校での講演を終え、翌日から旅路に出た。ここ数日のワイドショーは、尾畠さんのトレードマークであるオレンジ一色に染まっている。

「裏番組」に生出演するほどの人気

初日から3日目までは、毎日15キロペースで移動。道中で飛び出す「尾畠節」は、ウィットにあふれ、確かに魅力的だ。いくつかテレビで流れた例をあげてみよう。

「(記念写真を求められ)100枚までなら良いです」
「(差し入れを受け取って)これ年末に請求書が来る?」
「(朝食は何を食べたかと聞かれ)イタリア料理とフランス料理」

そんな「映える」尾畠さんにワイドショーは注目。1月22日には、裏番組同士にあたる「情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)と「ゴゴスマ」(TBS系)が、それぞれ中継レポートを行った。背後の景色を見るに、どちらも同じ場所。23日の「グッド!モーニング」(テレビ朝日系)によると、この場所に7時間にわたって滞在し、4日目は約4キロの移動にとどまったそうだ。

各局のテレビ番組を見比べると、とくにテレ朝が精力的に「追っかけ」をしているとわかる。21日には「グッド!モーニング」が初日、2日目を振り返ったのに加え、3日目のスタートを生中継で伝えた。また昼の「ワイド!スクランブル」では21日、22日、23日と連日、現地からのリポート中継を行っている。

視聴者「たまたま会えるならともかく...」

「(道中に声をかけられるのは)全然大変じゃないです。無視されるほうが苦しい」「(恐縮するリポーターに対して)引き止められてる気はしない。休憩してるだけだから」などと答えていた尾畠さんだが、テレビがおおよその現在地を伝えると、視聴者が殺到して、尾畠さんの負担増のみならず、思わぬトラブルの可能性も出てしまう。そのサービス精神に甘えるテレビ局には、辛辣な声も出ている。

「メディアはあんま尾畠さんをおっかけてやるなって...と思いながらテレビ見てる」
「尾畠さん中継するのよくないと思うよ。たまたま会えるならともかくテレビがつけ回すのはこの人に負荷がかかりすぎる」
「スーパーボランティア尾畠のおじちゃんはテレビの密着取材なんか嬉しくないし、自分を勝手に英雄視されるのも好きじゃないと思う」

もっとも、23日の「ワイド!スクランブル」では、大下容子キャスターが思わず、「尾畠さんの優しさに救われつつも、お疲れで申し訳ない気持ちになってしまって、複雑なんです......」とコメント。曜日コメンテーターの柳澤秀夫さん(元NHK解説委員)が、

「ちょっと声が枯れてたみたいだったんでね。健康が心配だし。みんな声かけたいと思うんですけど、声かけると、尾畠さんいつまでたっても大分にたどり着かないと思うんで、しばらくはね、じっと静かに見守ることも必要じゃないかなって気もしますけどね」

と、番組を諭すように見えるシーンもあった。