”ベトナムのメッシ”の異名を取るエン・クアン・ハイ(右)。能力の高さは昨年のアジア大会ですでに実証済みだ。(C)Getty Images

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 日本はアジアカップの決勝トーナメント1回戦でサウジアラビアと対戦。20分に冨安健洋が決めたゴールを守り切り、辛くもベスト8進出を決めた。

 2大会ぶりの頂点まであと3勝。険しい道のりを一歩ずつ進んでいる森保ジャパンだが、24日の準々決勝で相まみえるベトナムも一筋縄ではいかない相手だ。

 今大会のベトナムはグループDを1勝2敗の3位で通過した。イラク、イランに敗れて2連敗スタートとなったものの、イエメンとの最終戦に勝利。全6グループの3位のうち、上位4チームに与えられる決勝トーナメント進出枠をギリギリで掴み取った。

 続くラウンド16では、グループステージでオーストラリアを下したヨルダンをPK戦の末に撃破。接戦を制して8強へと勝ち残ってきたベトナムのタフさは、決して侮れないだろう。

 森保ジャパンが中2日の過密日程のなかで、いかに東南アジアの難敵と戦うのか。大一番に注目が集まるが、実は森保一監督は直近でベトナムの強さを目の当たりにしている。
 
 約5か月前の昨年8月に行なわれたアジア大会。東京五輪世代のU-21日本代表を指揮した森保監督は、A代表を率いるパク・ハンセオ監督が指揮官を兼務するU-23ベトナム代表と対戦しているのだ。

 U-21代表はグループステージの3戦目で対峙。すでに決勝トーナメント進出が決まっているなかで迎えた一戦は、予想外の展開で幕を開けた。

 開始からわずか3分だ。神谷優太(愛媛)とオビ・パウエル・オビンナ(流通経済大)の連係ミスからグエン・クアン・ハイにボールを奪われ、そのままネットを揺らされた。以降も本来の動きを取り戻せない日本は左サイドを攻略され、カウンターから何度も決定機を作られてしまう。前半を終えた時点でシュート数は1対10。この数字を見ても、日本がいかに押し込まれていたかが分かる。
 
 後半に入って日本はようやくリズムを掴んだものの、1点が遠い。攻撃的な選手を投入して活性化を図ったが、最後までベトナムのゴールをこじ開けられずに0-1で惜敗した。
「前半は球際での戦いでも相手に上回られていましたし、クリアボールも拾われることが多かった。ハーフタイムでは予測やポジショニングの修正は行ないました。後半に向けて選手たちが前半の課題を修正し、勇気を持ってゴールに向かってくれましたが、得点には至りませんでした」

 この試合後、日本サッカー協会を通じてベトナムの印象を語った森保一監督。前回対戦で嫌というほど、彼らの強さやしたたかさは味わっている。決勝点を奪ったグエン・クアン・ハイなど、アジア大会に参加していたメンバーも多いだけに、前回の反省を踏まえて森保監督がどのように戦うのか注目が集まる。