理想には程遠い展開ながら、「成長にはつながる」とサウジアラビア戦を振り返った柴崎。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 森保一監督率いる日本は、アジアカップの決勝トーナメント1回戦でサウジアラビアと対戦。冨安健洋のヘッドで奪った1点を守り抜き、ベスト8進出を決めた。

 そしてその「1点」は、柴崎岳が蹴ったCKから生まれたものだった。豪快なヘッドを叩き込んだ冨安へのボールは、はたして狙い通りだったのか。

「相手はそんなに大きくなかったので、セットプレーで取れれば楽になると思っていました。練習はしていましたし、その成果が出たと思います。だれがどこに入ってくるかというのは、ゴール前にいる選手たちで決めることですが、僕自身、狙ったところに蹴れたのは間違いないです」
 

 ただ一方で、森保ジャパンはこの日、ボール支配率が25%を切った。とはいえ、「結果が出たことがなによりですし、勝つために徹したという感じですね」と試合を振り返った柴崎にとって、サウジに“ボールを握られる”展開は想定内だったようだ。

「テクニック的に彼らは優れていると分かっていたので、ある程度、ボールを握られる展開は予想できていましたし、そこはチームとしても意思統一はできていました。

 (サウジは)中央突破が魅力的なところがあるので、僕と(遠藤)航とサイドハーフとが連係してしっかり中を閉める、中でプレーさせないということを心掛けていました。

 チームとしての戦い方はブレていなかっと思います。ひとりがはみ出していたシーンもなかったと思いますし、チームがひとつの生き物のような感覚で意識も統一できたところは収穫だった思います。とくに航とはうまく連係できたと思いますし、声をかけ合いながら、試合ごとに連携が良くなっていると思います」

 もっとも、この“ボールを握られる”展開については「想定内」としながらも、柴崎の“本音”は違うところにあるようだ。

「本音というか、今後彼らとやる時には、こういった展開を減らしたいです。今日ももっと前からアグレッシブにいければ良かったんですが、先に1点取りましたし、ある程度保守的になっても仕方はないのかなという部分はありました」

 ただ、たとえこの日の戦い方が理想的なものではなかったとしても、柴崎はこういった試合が森保監督の言う「成長」につながると確信しているようだ。「これだけギリギリの試合を経験できることはなかなかないと思いますし、日本代表としてこういう試合を繰り返すのは良いことだと思います」。

 ベスト8進出を果たした日本は1月24日、ベトナムと対戦する。

「情報が少ないので、ここからしっかりと彼らのことを学びたいと思います。中2日でしんどいと思いますが、チームとしてなるべく早くコンディションを取り戻し、だれが出ても良い状況を作りたいです」

 厳しい日程ながら、前向きなコメントを残した柴崎。森保ジャパンの司令塔は、今大会を通じて、確実に逞しさを増している。

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