サウジアラビア戦にフル出場したDF長友佑都【写真:Getty Images】

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ボール支配率23.7%とサウジにポゼッションされるも「最終的な怖さはなかった」

 森保一監督率いる日本代表は21日、アジアカップ16強でサウジアラビアを1-0で破った。

 フル出場したDF長友佑都(ガラタサライ)は、「いやあ、苦しい試合でしたね」と一言。その一方で、イタリアの名門インテル時代に王者ユベントスと対戦した時のことを引き合いに出し、「強いチームはやり方を変えて、ボールを持てなくても勝つやり方がある。それは日本の成長」と、手応えも語った。

 サウジアラビアとの一戦は、前半から相手がボールポゼッションを高める展開になった。事前のスカウティングからある程度の想定はあったと各選手が話すなかでも、データ分析会社「オプタ」は公式ツイッターで日本のボール支配率が23.7%だったことを公開。それだけに長友も「今までないんじゃないですか、ここまで握られるのは」と、実感のこもった言葉を残していた。

 その一方で、最終的な守備の局面になるゾーンでの怖さは感じなかったと話す長友は、あくまでもサッカーが得点数を争う競技であることを強調した。

「僕らとしては試合の中でも握らせているという状況でメンタル的に崩れなかった。最終的な部分の怖さがなかったので、そこを集中してケアできれば問題ないと話し合っていたので。もうちょっとポゼッションできれば良かったんですけどね。ミスも多かったし、つなげるところをクリアしたのもあるし。ポゼッションでサッカーをするわけではないので、勝ったチームが強い、それだけです」

「今までなら、握られたらボロが出てやられている」

 そうした長友の言葉は、2011年から17年までプレーしたイタリアの名門インテルでの経験が大きかったのだという。長友所属時のインテルはイタリア杯での優勝こそあったものの、リーグ戦という意味では常にユベントスの後塵を拝してきた。その王者との直接対決で味わってきた経験が、今回の日本とサウジアラビアの一戦にも当てはまるという。

「これは成長だと思いますね。今までなら、握られたらボロが出てやられている。今はみんな経験も積んで、海外の厳しいなかでやっていて、メンタル的な余裕がある。それがピッチ内に漂ってますよね。それは強いチーム、ユベントスなんて特にそうなんですよ。インテルの時にボールを持っていても、持たされる感じになる。最後のところでしっかりと締められてカウンターとセットプレーでやられる。強いチームはやり方を変えて、ボールを持てなくても勝つやり方がある。それは日本の成長だと思う」

 イタリアで常勝軍団とされ、勝利のメンタリティーを持つ最たるチームと評価されるユベントスに日本代表の姿を重ね合わせたのだという。そして「(アジアのユベントスに?)そうなれなくても、カメレオンのようにやり方を変えたら良いんじゃないですか」と、試合状況に応じたプレーができるチームへと成長していくことへの手応えを語った。

 2010年の南アフリカ・ワールドカップ(W杯)を知る選手は長友ただ1人となり、代表チームとしては最古参のベテランになった。その長友にとっても、若くから海外への移籍を経験してメンタル的なタフさを身につけている集団へと日本代表が変化してきたことは、代表チーム全体としての成長につながっているという実感があるようだ。(Football ZONE web編集部)