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働く際に、制服着用が求められる職場があります。「支給・貸与」なら不満もありませんが、「購入」だったとしたら、納得できないという人もいるでしょう。

弁護士ドットコムにも、飲食店でアルバイトを始めたばかりの女性から「バイトの制服は自腹なのですか?」という質問が届きました。

女性によると、最初の給料から「エプロンの代金」として3000円が引かれるとのこと。ほかの職場にいたときは、退職時に制服を返せば、返金されたそうですが、この店では返ってこないそうです。

アルバイトに制服の購入を求めるのは、労働法的に問題ないのでしょうか。天田圭介弁護士に聞きました。

●労働契約や就業規則に規定があるか

「そりゃ、会社が出すべきだろう」と思ってしまいそうですが、天田弁護士の回答は意外なものでした。

「アルバイトの制服代を、会社側と労働者側のどちらが負担すべきかについては、法律上の規定はありません。

ただし、労働者側に負担させる場合は、労働契約や就業規則でその旨を定めなくてはなりません。定めがなければ、労働者に負担義務はありません」

なので、アルバイトする側は、事前に制服代を負担させる旨の規定があるかどうかを確認しておいた方がよさそうです。

なお、天田弁護士によると、相談者のケースではほかにも法律上のトラブルになりそうな要素があるそうです。

「エプロンの代金ですが、給与から天引きしていれば、『賃金全額払いの原則』(労働基準法第24条第1項)に違反しますので、無効になると考えられます」

法的に問題ない形で、制服を労働者負担としている会社でも、代金の徴収方法が問題になる可能性があるということです。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
天田 圭介(あまだ・けいすけ)弁護士
企業による適正な人事・労務管理の結果、労働者の権利が確保されるとの理念のもと、企業から人事・労務に関する多くの相談を受けるとともに、主に企業側の代理人として、多くの労働事件を手掛けている。東京弁護士会所属
事務所名:天田綜合法律事務所
事務所URL:https://amada-law.com/