画像 最も美しいホイールたち 23選 後編
BMW 750iL ディッシュホイール(1987年)
1987年にBMWは5.0ℓV型12気筒 M70型エンジンを世に送り出した。新しく登場した7シリーズ(E32)はこのエンジンを採用するだけでなく、ロングホイールベースの750iLにはディッシュホイールなども採用した。標準モデルの750iはその翌年に投入され、そちらはマルチスポークホイールを採用した。
このディッシュホイールはその衛星放送受信用アンテナみたいなルックスがユニークで、かなりの注目を集めた。だが1989年、理由は不明ながらもBMWはこのディッシュホイールの採用をやめた。
ランチア・ストラトス(1973年)
ランチアがラリー用に開発したランチア・ストラトスはこのクラシックなホイールを履いて、1973年に登場した。カンパニョーロが手がけたホイールは軽量化を図るためにマグネシウム合金を採用した。
スポークのデザインも特徴的で、その形から「コフィン・スポーク(コフィン=棺桶)」と呼ばれた。
ランチアは他のデザインのホイールもストラトスに投入したが、このフェラーリエンジンを搭載したクルマに最も合うのはカンパニョーロのホイール以外に無いだろう。
ずんぐりしたホイールベースと12インチのリアホイールによって体現されたストラトスのスタイルは今も根強い人気を博しており、オークションで50万ポンド(7030万円)の値がつくのも納得だろう。
コンポモーティブTH(1975年)
コンポモーティブTHは1990年代のレーシングカーのほとんどに採用されていたほど人気だった。
軽量で丈夫、ブレーキ冷却効率も重視した設計となったこのホイールは1975年に誕生し、今もモダンクラシックスのレストアに使われるなど、変わらず愛されている。
モータースポーツにおいてはBMW M3(E30)やフォード・シエラ・コスワースなどが使用し、THはサーキットでの確かな性能を世界中に見せつけた。
元々は3ピースホイールだったが、1984年には1ピースモデルも追加された。コンポモーティブは「007 ユア・アイズ・オンリー」に登場するボンドカー、ロータス・エスプリ・ターボにもホイールを供給した。
ポルシェ・テレダイヤル(1978年)
ダイヤルを回すタイプの電話機を覚えている方ならなぜ「ダイヤル」という名前がつけられたのかがわかるだろう。
1978年に登場したポルシェ928から採用され始めたこのホイールはエアロダイナミクスやブレーキ冷却などを重視した5つの楕円形がデザインされている。
ポルシェは911や944、944ターボ、924Sなどにもテレダイヤルを用意した。
今日、テレダイヤルを履いたクラシックポルシェを購入するときはボディーやサスペンションを破損しないためにも、キチンと正しいサイズやオフセットかを確認しよう。
フォード・ペッパーポット(1981年)
フォードは1981年に8つの穴をデザインしたペッパーポットをフィエスタXR2とカプリ2.8iに履かせて世に送り出した。フィエスタには6Jx13インチ、カプリは7Jx13インチのサイズで用意された。
ペッパーポットーのデザインは元々英国のアフターマーケットホイールブランド、ウォルフレースのものが元となっている。
フォードはウォルフレースが自社の6輪コンセプトカー、ソニックに履かせた同じ名前のホイールのデザインを採用した。
カプリの代表的なホイールは1984年に登場した2.8iスペシャルが採用した7スポークデザインのホイールに取って代わられた。同年はカプリ・クーペの左ハンドルモデルが生産終了した年でもある。
レンジローバー・イン・ヴォーグ(1981年)
このモデルからレンジローバーの高級路線が始まり、同時に3スポークホイールも採用し始めた。イン・ヴォーグはヴォーグ誌とのコラボで生まれ、ウッド・アンド・ピケットがコーチビルディングを担当した。
このモデルはカーペットや木目調のドアパネル、独特なヴォーグ・ブルーのカラーをまとってリリースされた。
ヴォーグはラグジュアリーモデルではあったが、このアルミホイールはオプション装備だった。1982年モデルにこのホイールは全レンジローバー車種にも327ポンドでオプション設定され、人気を博した。
フォルクスワーゲン・ゴルフGTIピレリ(1983年)
履いているホイールの名前を冠した車種はそう多くないが、ゴルフGTIピレリエディションはその名を2回に渡って使われている。最初は1983年のMk1 GTI、そして2度目はMk5 GTIだ。
1983年のモデルはユニークな14インチPスロットホイールを採用し、欧州以外ではキャンペーンエディションという名前で販売されたモデルだ。
Mk2 ゴルフGTIでもPスロットを採用しつづけたが、Mk1のはスロットの間に7mmの隙間に対し、Mk2は10mmの隙間を持つなど、細かな違いが見られた。
簡単な見分け方として、Mk1はピレリのセンターキャップを装着しているという点が挙げられる。
ランチア・デルタ・インテグラーレ(1984年)
角ばったデザインを持つこのクルマは未だに熱狂的なファンを持っており、クロモドラ製のホイールもその人気の一端を担っているだろう。HFターボから採用された8つの穴をデザインしたホイールはのちに四輪駆動モデルにも用意された。
このデザインはインテグラーレの1991年モデルまで採用され、エヴォリュツィオーネに新たなマルチスポークデザインのホイールが登場した時に取って代わられた。これを機により耐久性を増し、ラリー用途にも使用できる5穴モデルが追加された。
プジョー205 GTi 1.6(1984年)
われわれは選定する際に1.6モデルか1.9モデルのホイールとで迷ったが、1.6がグループBのターボ16モデルに採用されたホイールと似たデザインを持つという点を考え、1.6のものを選んだ。
このホイールはスピードラインによって作られ、SL201という型番が付与されている。
プジョーは1.6向けに14インチ、1.9向けに15インチ8スポークホイールを用意した。1.9に採用されたホイールもスピードラインがデザインしたが、製造はSMRが担当したという。1.9は幅6インチのタイヤを使用。
それに対し1.6は少し小さい幅5.5インチのタイヤを採用し、それが1.6のスナップ・オーバーステア特性の要因だろう。
マツダ・ロードスター Mk1デイジー(1990年)
ロータス・エランがマツダ・ロードスターの発想の元となったのは間違いないが、ロードスターが採用した1960年代風のホイールもその影響を受けていると言える。だが英国のオリジナル版の8スポークに対し、マツダは7スポークにし、デザインもより独自なものとした。
マツダはデザイナーの「軽量化」という意向を汲み、このデザインをホイールに採用した。ダンロップとも協力し、ハンドリング性能を上げるためのロードスター専用の軽量タイヤを共同開発した。
ルノー・クリオ・ウィリアムズ(1993年)
ルノーはクリオ・ウィリアムズというホットハッチの決定版のようなクルマを1993年にリリースした。ダークブルーのボディとゴールドに塗装された15インチアルミホイールが良いコントラストを引き出している。
ルノー用にイタリアのスピードラインが開発したウィリアムズのホイールは、幅が通常のクリオのモデルよりも大きくなった7インチとなっている。
ルノーはクリオ・ウィリアムズを約3800台生産し、その後も続く需要に向けていくつかのバージョンを製作。
今日では程度が良いクリオ・ウィリアムズは8000ポンド(112万円)あたりが相場であり、205 GTiが2倍の価格で販売されたということを考えればかなりお得だと感じられる。