激闘に勝利したことを喜ぶエリナ・スビトリナ【写真:Getty Images】

写真拡大

疲労困憊の相手ベンチへ歩み寄り…海外ファン「なんてラブリーな人なんだ」

 テニスの4大大会・全豪オープンは19日、女子シングルス3回戦で世界ランク7位エリナ・スビトリナ(ウクライナ)が同42位の張帥(中国)を4-6、6-4、7-5で撃破。4回戦進出を決めたが、フルセットの激闘後に疲労困憊でベンチに座った相手選手のもとに歩み寄り、自分のドリンクを手渡したシーンが一流のスポーツマンシップと話題を呼んでいる。大会公式が実際のシーンを動画付きで公開し、海外ファンから「オレのハートが爆発した」「なんてラブリーな人なんだ」などと称賛の嵐となっている。

 戦いが終われば、勝利を競うライバルからテニスを愛する盟友に変わる。フルセットの試合を演じた試合後、メディカルタイムアウトを取りながら戦い抜いた張帥がベンチに座り、精根尽き果てていた。すると、勝ったスビトリナが動いた。自分のバッグからドリンクを取り出すと、相手ベンチに向かって歩き出した。

 そして、隣に座ってドリンクを渡すと、互いに肩に手をやり、笑顔で健闘を称え合った。二言、三言、声をかけると、スビトリナは何事もなかったかのように自分のベンチへと戻り、片付けを始める。なんとも粋なスポーツマンシップを目の当たりにした客席のファンからは大きな拍手が送られ、会場は温かい空気に包まれた。

 大会公式ツイッターは「スビトリナによる素敵なスポーツマンシップ」と記し、動画付きで公開。海外ファンも「数秒の行為だけど、大きな違いが生まれる」「スポーツマンシップは廃れない」「こんな身体的に大変な試合の後にみられるのは素晴らしい」「オレのハートが爆発した」「なんてラブリーな人なのだろう」「美しい」「人類は素晴らしい」とコメント欄で大喝采だ。

試合後のスビトリナが示した品格「テニスの試合はテニスの試合だと思うの」

 豪公共放送「ABC」電子版も「勝利を手にすると、スビトリナは張帥と握手し、抱擁を交わした。その後、自陣の椅子で疲れて座っている中国の世界42位のもとに歩いて行った。ウクライナ人は張帥にスポーツドリンクを渡すと2人は気さくな会話を交わし、観衆は熱烈な拍手を送った」とレポート。さらに、スビトリナはテニスより大事なものが人生にはあると説明したという。

「テニスの試合はテニスの試合だと思うの」と語った世界7位の名手は「試合は終わった。もちろん全員が他と同じくらい勝ちたいと思ってる、でもそれは終わったわ」と品格を示したという。全豪オープン女王という称号を目指し、連日、熱戦が繰り広げられているが、そんな中でもスビトリナが演じた振る舞いはメルボルンのファンの脳裏にしっかりと刻まれた。(THE ANSWER編集部)