少しでもいいディーラーと巡りあうためのヒントは5つ

 “良いディーラーと悪いディーラー”というのは、個々の価値観の違いなどでその判断基準は異なる。それゆえ一概には語り切れない部分もあるが、その見分け方のヒントはいくつかあるので、それを見ていこう。

1)ママ友やご近所ネットワークで情報収集

 究極の地元ディーラーに関する情報収集先は、地元のママ友ネットワークや、ご近所ネットワークがベストと言えよう。東京都内など一部の大都市を除けば、社会的にクルマ離れが進んでいるとは言われるものの、生活の移動手段としてまだまだマイカーを保有している世帯が多い。そうなれば、自分のまわりの人間関係のなかで、新車を購入して間もないひとというのも結構いるもの。

 事情通氏は「”ベッドタウン”などと呼ばれる住宅街では、同じ看板のディーラーの店舗が生活圏のなかで複数あったりします。すると当然ながら、『あそこは値引きに積極的だ』とか、『店長さんの感じがいい』など、生の地元ディーラー情報があります。たとえば、同じ看板のディーラーの店舗Aが自分の住む住宅街最寄りにあるのに、そこで扱う車種を購入したご近所のひとの多くが、少し離れた店舗Bで購入していたりすれば、同じ看板、つまり会社は同じだが、B店舗のほうが値引きは出やすいとか、感じの良いセールスマンや店舗自体の雰囲気が良いということでお客が集まりやすくなっているといえるでしょう」と語ってくれた。

 ディーラーのなかでは店舗ごとに“独立採算制”を採用するところもある。同じ店長という役職であっても、売り上げ次第で収入に大きく差が開く給与体系を採用するところもある。最終的に目標設定した収益を確保していれば、売り方は“お任せ”となることもあり、そのような時には同じ会社のなかでも、“薄利多売”型で徹底的に値引き拡大して量を売りまくる店舗と、値引きを引き締めて、1台1台確実に利益を上げる“堅実店舗”など、店舗ごとにキャラクターが大きく変わることもある。

 このあたりの情報はかなり“地元密着情報”ともいえるものであり、ご近所などの“リアルワールド”で情報収集するのが一番有効といえるだろう。

2)ロケハンがてら平日に店舗をまわる

 土曜・日曜の週末はサラリーマンを中心に、新車を見に来るお客も多くフェアも実施しているので、セールスマンは店頭待機をしてお客がくるのを待っており、販売活動に徹しているので、店を訪れるとすぐに近寄ってきて話しかけてきたりするはずだ。

 しかし、平日は書類回収などで外出しているセールスマンも多く、店舗内にいたとしても登録準備のための書類整理などのデスクワークに追われているので、週末のように店頭でお客を待つセールスマンなどはまずいない。そのような平日に店舗を訪れると、そこの接客姿勢の“本音”が見えてくる。

 店内に入ってもだれ一人関心を示さずに無視して、事務作業に没頭したいがために来店客を“見て見ぬふり”する店舗は意外に多い。もちろん、お客が店にきたらすぐに事務作業を中断して、「ご用は何ですか」などとセールスマンが聞いてくれるのがベストだが、店舗にいるセールスマンも少ないので、なかなかそこまで望めない。

 ただし、そこですかさずセールスマン以外のスタッフがフォローに入ってくれる店舗がある。とくに事務や大きな店舗では“ショールームレディ”などとして常駐している女性スタッフに注目してもらいたい。ショールームレディは接客がおもな業務となるので、店内に入るとすぐに応対してくれるのはわかるが、事務職の女性は店舗の経理や総務実務などをおもに担っているのだが、それなのに素早く来店客の応対ができるというのは、その店舗のチームワークの良さが出ているともいえよう。

 ちなみに事務の女性やショールームレディはディーラーで採用(パートや契約社員などの場合が多い)もあるが、人材派遣会社からの派遣社員というケースもある。

店舗内の設備もチェックする!

3)空調の温度設定にも注目

 最近は郊外のバイパス沿いなどに、大きなショールームを構える、“メガディーラー”が目立っている。しかし、多くのメーカーの売れ筋は軽自動車やコンパクトカーなど、台当たり利益の少ないクルマ。店舗が大きいので、セールスマン、メカニックなど、そこに勤務するスタッフも多くなるので、光熱費や人件費などの一般管理費も結構バカにならないが、得られる利益は薄利多売でなかなか思うように得られていない。

「メガディーラーの目立つ、あるメーカー系ディーラーの大型店舗に夏に行くと、役所のようにエアコンの温度設定が28度になっていて大変暑い時があります。一部では気を利かして26度になったりしていますが、店内は結構蒸し暑くて商談になかなか集中できない環境となっています。逆に真冬に訪れると商談テーブルの椅子個々に毛布が置いてありました。エアコンの温度設定が低くて店内が寒いので膝掛け用に置いてあるようでした」(事情通)。まあ空調の温度設定については“永遠の論争”みたいな部分もあるのだが、サービス業でありながら、役所のような温度設定というのは少々杓子定規すぎるので、新車購入後も似たような対応をされそうと考えた方がいいだろう。

4)トイレに真実がある?

 営業の世界では、取引先のトイレをチェックするようにとも言われている。雑然としていたり、“とりあえず”程度しか掃除が行き届いていない場合は何か問題ありと思ったほうがいいなどともいわれている。

 これを逆手にとり、ディーラーのトイレは是非チェックしていただきたい。過去には店舗スタッフ全員で店内や敷地、さらには店舗周辺の清掃を早めに出勤して行うディーラーがほとんどであったが、いまは“時間外労働の強制”にもなりかねないのか、外部の専門業者に委託するケースも多いようなので、目立って汚いということはない。だが、プラスαとしてお得情報のポップなどが貼ってあれば、それはそれで“うざい”と感じる部分もあるが、店舗全体でさまざまな創意工夫をこらしている証拠でもあり、仕事に対する積極性というものを感じる。

 似たようなもので、ショールーム内やショーウインドウのポップが短い周期で変わっていたりするのも、よりお客目線で商売をしている店といえるだろう。

5)メカニックとお客のやりとりにも注目

 ショールームには新車購入のために訪れている商談客のほかに、法定点検などのために愛車を持ち込んで点検が終わるのを待っている、“既納客”もいる。点検が終われば当然ながらメカニックが当該顧客のもとへきて点検が終わったむねと、点検内容の確認や、愛車の状況などを説明するのが一般的。

 注目したいのはその話の内容。通り一遍の説明に終始している店もあれば、とくに年配のお客には親切丁寧に普段の使い方などを聞いて、日常気をつけるところなどを説明している店もあり、結構差が出ているなあと実感させられることも多い。新車を購入してからは、メカニックとのやりとりが多くなる。知識が豊富なら豊富なほど、説明もわかりやすく、きめ細かく説得力のあるものとなる。

 多くのディーラーでは、見積り作成や印刷でセールスマンが商談中に席を外す時間が結構あるので、そんな時は商談テーブルを離れて、ピット作業の様子や、お客とメカニックのやりとりなどの様子を見ておくのも大切である。