■「小室家側に金銭的な保障が必要な可能性もある」

「破談ならカネをくれ」

宮内庁は、秋篠宮眞子さんとの結婚が白紙に戻ったら、小室圭さんが会見を開いて、秋篠宮家とどんなやり取りがあったのか、眞子さんとどんな付き合いをしてきたのかを暴露するのではないかと恐れている。

明治時代、大正天皇の婚約破棄の際に、現在の金額にして7億円にあたる公債証書が贈られた先例があるから、小室家側に金銭的な保障が必要な可能性もある。

こう書いたのはFLASH(1/22号)である。

2019年1月2日、新年の一般参賀で手を振られる天皇、皇后両陛下と皇族方。(写真=時事通信フォト)

11月30日、秋篠宮が誕生日会見で、「(現状のままでは)婚約に当たる納采の儀というのを行うことはできません」と発言して以来、週刊誌は鬼の首を取ったように騒ぎ立て、NYのフォーダム大の年末年始の長期休暇が始まり、小室圭さんが一時帰国するのではないかと手ぐすね引いて待ち構えていた。

だが、どうやら帰ってこないとわかると、各誌、“関係者”を総動員して、それぞれが勝手な揣摩臆測記事を書き飛ばしたのである。

いくつか見てみよう。

■秋篠宮夫妻の「怒り」は尋常ではない?

週刊文春(1/3・10号)は、「(秋篠宮の=筆者注)会見では、ご発言の端々から憤怒のお気持ちが滲み出ていました」と宮内庁関係者にいわせ、秋篠宮家関係者には、会見の1カ月ほど前に小室本人から連絡があったが、それは近況報告に過ぎず、「肝心の借金トラブル解決への進展を告げる話は何もなかったようです」と語らせている。

母親の佳代さんの豊かではなかった生い立ちから学生時代、彼女のブランド志向、彼女の知人には、佳代さんは横浜・元町の服屋でアルバイトをしていたことがあり、その店に「アバクロンビー&フィッチ」があったので、圭さんにも、眞子さんとのデートの時、そこのポロシャツを着せていたのでしょうといわせている。

次は女性セブン(1/17・24号)。

「眞子さまのご結婚問題も、依然として解決の糸口が見えてこない。

『今や皇室全体の印象にもかかわる問題になっているのですから、秋篠宮さまがリードする形で収束させるのを、皇族周辺も望まれているはずです。いつまでも“本人たちの意思を尊重する”とはおっしゃっていられないはずです』(宮内庁関係者)

米ニューヨーク留学中の婚約内定者・小室圭さんは、どう考えているのだろうか。

『年末年始の休みを利用して帰国し、金銭トラブルの釈明をするなど何らかのアクションをとるといわれていましたが、帰国しませんでした。小室さんの母・佳代さんも年末年始は姿を見かけられなかったので、“一卵性母子”といわれるほど親密な関係の2人ですから、一緒にニューヨークで新年を迎えたのかもしれません。3年間の留学が終わるまで、小室家は“皇族の婚約内定者”という立場を自ら捨てることはなさそうです』(別の皇室記者)」

週刊誌が伝えたいのは、秋篠宮夫妻の小室圭母子に対する怒りが尋常ではないということのようだ。

■兄弟が仲たがいをして、親である天皇陛下が心配している

だが、秋篠宮の会見で一番重要な発言は、これではない。兄である皇太子が新天皇に即位する時に行う「大嘗祭」に多額の公費を使うべきではないと何度もいったが、宮内庁の山本信一郎長官は聞く耳を持たなかったというところだったのである。

この発言に対して、天皇陛下が憂慮しているという観測が流れたようだ。

これに早速食いついたのは週刊新潮(1/3・10号)だった。さる侍従職関係者にこういわせている。

「大嘗祭についての秋篠宮殿下のお考えは、日頃から皇太子殿下も交えて“三者会談”を重ねておられるので、ご発言自体は陛下も想定なさっていました。ところが、皇室をお支えする組織の長について、あのような直截な表現で、かつ会見という公の場で批判したことには、『ああいうのは、どんなものでしょうか』と、お顔を曇らせておられたのです』

そのお言葉からは、『あのような言い方を、皇族がすべきではない』『皇嗣家の当主たる者の振る舞いとして、適切ではありません』といったお気持ちが強く伺えました」

さらに04年に、皇太子が「人格否定発言」をしたときも、秋篠宮が、せめて陛下と話をしてから、その上での話であるべきではなかったかと「苦言」を呈したことにまでさかのぼり、「まるで新天皇となる兄宮の晴れ舞台に、横槍をお入れになったかのように窺えるのです」(侍従職関係者)と、兄弟が仲たがいをして、親である天皇陛下が心配しているという筋書きになるのである。

■矛先は「将来のお世継ぎ」である悠仁さまにも向く

先日、宮内庁が発表した次代の大嘗祭の予算は19億円だった。これは平成の時がおよそ22億円だからやや縮小されたのだが、ならばと宮内庁関係者が、皇嗣となる秋篠宮のために、お住まいが3年かけて増改築されるが、予算は実に33億円にもなるのに、ご自身のお住まいの改修費には一切言及しないのは釈然としない、そんな思いが庁内で沸き起こっていると、批判するのである。

批判は秋篠宮紀子さんにまで広がる。彼女は折に触れ、待遇への不満や改善を口にされ、要求される作業のレベルが圧倒的に高いため、私的スタッフも含めて職員は頻繁に入れ替わり、増員枠が埋まらない状態が続いているという。

宮内庁記者は、「秋篠宮家は従来、庁内では比類なき『ご難場』として知られてきたといっている。

矛先は、将来のお世継ぎである悠仁さんにも向けられる。現在、お茶の水女子大付属小学校の6年生だが、「個人的に親しくされているご学友が見当たりません」(侍従職関係者)。そのため、職員がトランプなどのゲームの相手を務めるのだが、「悠仁さまは負けると途端にご機嫌を損ねられ、感情を露わになさいます。そのため職員は、わざと負けて差し上げることもあるというのです」(同)

天皇陛下も、悠仁さんの教育係がいないこと、さらに両殿下にも帝王学を授ける機会がないことに気をもんでいるというのである。

新潮はこう結ぶ。

「会見での陛下の震えたお声は、こうした現状と無関係ではあるまい。大きいご懸念を孕んだまま、皇室は新時代を迎える――」

宮内庁関係者、秋篠宮家関係者とはどこの誰なのか

また女性自身(1/15・22号)は、次女の佳子さんも母親・紀子さんへの「反逆進路計画」があると報じている。

女性自身によれば、佳子さんはひそかにダンススクールのレッスンに通っていて、18年9月にそのスクールで行われた公演で、彼女がストリートファッションで身をまとい、マイケル・ジャクソンの『ハートブレイカー』のビートに合わせて、軽快なステップを踏むDVDを入手したという。私も見てみたいものだ。

秋篠宮の会見で、紀子さんは佳子さんについて、「大学を卒業してからは、宮中行事に出席することも多くなると思います。これからも、公的な仕事を心を込めて大切に果たしていけるよう願っております」と話しているが、当人は「ダンスを単なる趣味にとどまらず、ライフワークとして追究していきたいというお考えなのでしょう」(皇室ジャーナリスト)というのである。

長女は小室圭さんとの問題で、親との対話を拒否しているし、次女は自由奔放と、秋篠宮家の中にも嵐が吹き荒れているようだ。

ここまで書いてきて、ため息が出た。皇室にプライバシーはないのかと思ったからだ。

宮内庁関係者、秋篠宮家関係者とはどこの誰なのか。何人もの関係者が次から次へと出てきては、真偽のわからないことを言い立てる。

■あまりにも無遠慮で無神経な書き方が多すぎる

かつては美智子妃バッシングがあり、その後、雅子妃バッシングがあった。眞子さんと小室圭さんの婚約が公になってからは、圭さんの母親の元婚約者という人間が出てきて、顔も氏名も明らかにしないで、貸し付けた400万円を返せと週刊女性に売り込んで以来、週刊誌は、その人間の話の裏もほとんど取らず、小室母子バッシングを続けてきたように思う。

そして、秋篠宮の「身の丈に合った大嘗祭を」という発言を取り上げ、兄宮に何ということをいうのだ、天皇陛下も心配しておられると、バッシングの矛先を秋篠宮夫妻にも向けた。

週刊誌OBとしていわせてもらうと、皇室物はありがたい売れ筋のネタなのだ。

天皇陛下や美智子皇后への誹謗中傷記事をやらない限り、かなりのことを書いても、皇族が訴えてくることはない。宮内庁が厳重抗議するか、HPに抗議文を掲載する程度で済むから、週刊誌にとってはリスクの少ない格好のターゲットなのである。

今回の件でいえば、今のところ小室母子がプライバシー侵害や名誉毀損で訴えて来ることもないだろう。書き得だと多くの週刊誌は考えているのではないか。FLASHのところでも触れたように、あまりにも無遠慮で無神経な書き方が多すぎると思う。

何度でもいうが、当事者である小室母子や秋篠宮眞子さんへ取材する努力をどれほどしたのだろう。

■どの週刊誌を読んでも、二人が結婚を諦めたという記述はない

いくら声をかけても答えないからだというのは、いい訳にはならない。芸能人だったらどこまでも追いかけ回し、何週間も張り込むのに、今回、やらないのはメディアとしての怠慢ではないのか。

小室圭さんの父親が自殺していたことまで暴く必要があったのか。この質問に答えられる週刊誌はないはずだ。圭さんが10歳の時だったという。それから母子が味わったであろう言葉に出せない苦労を慮れば、なぜもっと思いやりのある書き方ができないのだろうか。

このまま秋篠宮が2人の結婚を許さず、眞子さんが圭さんと別れれば、各誌の編集部は赤飯でも炊いてお祝いしようというのだろうか。

それとも現代版「ロミオとジュリエット」だと、自分たちが仕掛けたにもかかわらず悲恋物語にして、もうひと商売するのだろうか。

だが、どの週刊誌を読んでも、眞子さんが圭さんとの結婚を諦めた、他に心を移したという記述がないのは、二人の結びつきがよほど強いからではないか。

■皇籍を離脱して、民間人となってから結婚する方法も

週刊女性(1/15・22号)は、眞子さんに残された結婚のための最終手段があると、こんなことを書いている。

「眞子さまが皇籍を離脱して、民間人となってから改めて、小室さんと結婚する方法があります。皇室を離れてまで小室さんと結婚したいというお気持ちがあることを示すことで、周囲の見方も変わってくる可能性は十分にあると思います」(宮内庁関係者)

皇室ジャーナリストの山下晋司は、「『皇室典範』で定められていますが、15歳以上の内親王と王と王女は、婚姻以外の理由でも、ご本人の意思によって皇族の身分を離れることができます。ただ、その場合は、皇室会議で承認されなければなりません」と語っている。

周囲が反対すればするほど、恋人たちは燃え上がるものだ。

伊藤整は『女性に関する十二章』(中公文庫)の中で、恋愛についてこう書いている。

「人間は、真心からの約束と性のキズナとを一緒にした恋愛というものを考え出しました。いいえ、考え出したのではなく、性の現れとしての美しさや魅力や強さが、真心からの約束と一緒になったところの混合物のみを信じたのです」

私は「眞子&圭」の結婚の可能性はまだまだあると思っている。これだけバッシングを受けた2人だから、結婚したらいい家庭をつくると思うが、ちょっと心配なのは、圭さんのマザコンだな。(文中敬称略)

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元木 昌彦(もとき・まさひこ)
ジャーナリスト
1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。主な著書に『編集者の学校』(講談社編著)『編集者の教室』(徳間書店)『週刊誌は死なず』(朝日新聞出版)『「週刊現代」編集長戦記』(イーストプレス)などがある。

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(ジャーナリスト 元木 昌彦 写真=時事通信フォト)