国際獣疫事務局(OIE)が、採卵鶏の養鶏場で、鶏が巣を作る区域や止まり木の設置を求める動物福祉(アニマルウェルフェア)指針案を加盟国に示していたことが分かった。日本国内の養鶏場ではほとんど設置されていない。農水省は設置を必須とせず、多様な飼養管理を認めるように主張していく方針だ。

 OIEの専門家によるコード委員会が昨秋、採卵鶏のアニマルウェルフェア指針の2次案を提示した。この中に養鶏場に巣を作る区域や止まり木、砂浴び場、ついばみ区域などの設置を必須とするような記述を盛り込んだ。この2次案について、欧州連合(EU)が支持しているという。EUはアニマルウェルフェアに積極的で、既に同水準の規制を行っている。早ければ2020年5月のOIE総会で採択され、国際基準となる可能性がある。

 農水省は、これらの設置が外部寄生虫の増加などを招く恐れがあることなどから、設置を必須とせず、設置する場合の留意事項にとどめる修正を求めていく方針だ。日本と同様の立場とみられている米国などにも働き掛ける。

 今回の2次案に設置が盛り込まれた巣を作る区域や止まり木、砂浴び場、ついばみ区域は、日本の養鶏場ではほとんど設置されていない。仮に国際基準となれば、国内生産者は対応を迫られることになる。