国際宇宙ステーションから911に電話をかけてしまった宇宙飛行士(画像は『European Space Agency, ESA 2012年8月16日公開 YouTube「ESA astronaut André Kuipers’ tour of the International Space Station」』のサムネイル)

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多くの人々から羨望と称賛の眼差しを向けられる宇宙飛行士。しかし厳しい訓練を積んできた宇宙飛行士といえども、やはり人間らしいミスはしてしまうようだ。このほど国際宇宙ステーションから緊急通報番号である911に間違い電話をしてしまった元宇宙飛行士の話題が届いた。『New York Post』『iHeartRadio』などが伝えている。

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2019年7月にアポロ11号月面着陸から50年を迎えるにあたって今月、「オランダ放送協会」のラジオ番組にオランダ人の元宇宙飛行士、アンドレ・カイパースさん(André Kuipers、60)が出演した。アンドレさんは2004年と2011年に国際宇宙ステーションで203日を過ごしたベテラン宇宙飛行士である。

今回のラジオ番組で、アンドレさんは国際宇宙ステーションに滞在していた頃にちょっとした失敗をしてしまったことを明かした。国際宇宙ステーションとは言わずと知れた、地上から約400km上空宇宙にある有人実験施設である。そこでアンドレさんは任務のため、米テキサス州ヒューストンにあるNASAのジョンソン宇宙センターに連絡をしなければならなかった。

国際宇宙ステーションから地上への電話連絡は意外にもシンプルだ。アンドレさんは当時、外線番号「9」の後にアメリカの国番号「1」を含む「011」をダイヤルするという手順で電話をかけるつもりだった。しかし彼は、本来「9011」とダイヤルしなければならないところを「0」を省いて「911」(地上の緊急通報番号・日本でいう110番)とダイヤルしてしまったのだ。

アンドレさんの間違い電話でジョンソン宇宙センターはパニック状態となり、さらにはセキュリティアラームも作動したため、アンドレさんからの通報が確認できる部屋にセキュリティチームのメンバーが一斉に駆けつけ、電話の発信元を確認したとのことだ。

翌日、アンドレさんの元にジョンソン宇宙センターから「あなたは昨日、911に通報しましたか?」と電子メールで連絡があったというが、それまでアンドレさんは自身が間違い電話をしたことに気づかなかったそうだ。

アンドレさんは素直に間違いを犯したことを認め、国際宇宙ステーションでは何も問題が無いことを報告した。『INSIDER』によると、多少のタイムラグや通話が途中で途切れてしまうことはあるものの、国際宇宙ステーションにいる宇宙飛行士は、地上にいる家族へ簡単に電話をかけることができるという。

それゆえにアンドレさん以外にも宇宙から間違い電話をかけた人がいるようだ。2015年には、イギリス人宇宙飛行士のティム・ピークさんが見知らぬ女性に宇宙から間違い電話をかけてしまい「こんにちは! そちらは地球ですか?」と問いかけてしまったという。後に彼はTwitterで、女性にむけてお詫びの言葉を送っている。

今回アンドレさんはラジオ番組の中で、「911にコールしたのに誰も宇宙まで駆けつけてくれなかったんだ。少しがっかりしたよ」とジョークを飛ばしていた。

画像は『European Space Agency, ESA 2012年8月16日公開 YouTube「ESA astronaut André Kuipers’ tour of the International Space Station」』のサムネイル
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)