ドラッグディーラーらに娘を差し出していた母親(画像は『WCTV 2019年1月11日付「Tallahassee woman found guilty in child sex trafficking case」』のスクリーンショット)

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我が子を平気で他人に売る親のニュースが報じられるたび、胸を痛める人も多いだろう。このほど米フロリダ州で、金や薬欲しさに娘を売り続けて逮捕された母親の裁判が行われ、事件の全容が明らかになった。『WCTV』『Tallahassee Democrat』などが伝えている。

フロリダ州タラハシーで現在18歳になる娘(名は非公表)を13年にわたり売り続けていた母親セレステ・チェインバース(37歳)の残虐な行為が1月10日、タラハシーの裁判所で明らかになった。

セレステは2003年〜2016年の13年間、未成年だった幼い娘をドラッグディーラーら複数の男に渡して性的暴行を受けさせていた。一時は3人の男を相手に小屋で性的虐待を受けさせていたこともあったという。全ては金を借りたお返し、もしくは薬物を入手するためで、セレステは娘を洗脳し意図的に心身ともに傷害を与え、娘には「誰にも言うんじゃないよ」と固く口留めしていた。そのため過去に児童福祉局のスタッフが少女へ質問した際にも、もし言えば母親からどんな目に遭わされるかわからないという恐怖心から少女は虐待の事実を認めようとはしなかった。

セレステの娘への虐待は2017年6月の逮捕時、つまり少女が15歳になるまで続いていた。セレステは同州ガズデン郡でも、当時夫だったケビン・ワイアットと共謀して娘を虐待していたことが明らかになった。ケビンは2018年に、この少女の人身売買に関わった児童虐待の罪で逮捕されており、セレステも同郡で児童暴行の罪で有罪判決を受けた。

このほど少女とセレステの証言を含む裁判が2日間にわたり行われ、セレステはみだらな行為もしくはそれを挑発する行為に及んだ罪、児童虐待罪、12歳未満の児童への性的暴行罪、人身売買の罪を含む合計7件の罪を認め、有罪となった。幼い頃から13年間強いられてきた苦悩に少女がようやく終止符を打つことができたことについて、アナ・ノリス検察官は次のように述べている。

「この少女が正当に生きる権利を得ることができたことを嬉しく思います。被告に操られた少女は、これまで悪夢の日々を過ごしてきました。それでも少女にとって、母親を告発することは容易ではなかったでしょう。ですが少女は、勇気を出して訴え出てくれました。今、被告はもう誰も傷つけることができなくなりました。人身売買は映画やドラマのように家から連れ出されるケースばかりではなく、この件のように自宅で、しかも家族により行われる場合もあるのです。今回のことは、人身売買について世間に理解してもらえるひとつの事例になったと思っています。」

裁判所では、この少女をセレステの逮捕後から預かっていることを明かした祖母のバーバラ・ルミューさんが「孫の傷は深くトラウマとなっていて、孫は夜も眠れない時がよくある」と語ったそうだ。なお1月14日に予定されている判決で、セレステは終身刑に科せられる可能性があるとのことだ。

画像は『WCTV 2019年1月11日付「Tallahassee woman found guilty in child sex trafficking case」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)