全盲のママが語るリアルな日常「私は“目が見えないだけの普通の人”」

写真拡大

「障害者」と聞いた時、あなたはどんなことをイメージしますか。

 社会の偏見はなくなりつつあり、自分にも偏見がないという人も多いかもしれません。でも、“かわいそうな人”、“がんばっている人”という、一方的なイメージを抱いてしまっていませんか。

 お話を聞いたのは、全盲の西田梓さん(37歳)。社会福祉法人日本盲人職能開発センターで非常勤講師として働くかたわら、2018年6月には活躍が期待される視覚障害の女性に贈られるサフラン賞を受賞し、企業や学校での講演やワークショップの依頼もあとを絶ちません。

◆特別なんかじゃない日常
 また全盲夫婦で子育てをしており、母親としての顔も持っています。障害がありながらも、順風満帆な人生を送っているように見える西田さん。どのようにして乗り越え、自分の人生を生きられるようになったのか、取材しました。

 917グラムで生まれ、未熟児網膜症により全盲となった西田さんですが、自分のことを「目の見えない普通の人」だと言います。

「なるべく自分のことは自分でできるように、母からしつけられてきました。そのおかげもあって、ほとんどのことは自分でできます。インターネットやメールなどは読み上げ機能で問題なく使えますし、料理、洗濯、掃除も自分でやっています。最近の家電はしゃべったり、音で知らせてくれるものがほとんどですから、不自由はあまりありませんね。自宅にはGoogle HomeとAmazon Echoがあって、時間も天気も知らせてくれる家族のような存在です」

 自宅から職場にも、一人で出勤しています。

「最初は歩行訓練というものを行い、付き添ってもらって道を覚えるのですが、そのあとは基本的に白杖を持って一人で行動します。ただ紙などに書かれたものは読むことができないのと、掃除の仕上がり具合はわからないので、週に2回ヘルパーさんにきてもらい、手助けをしてもらっています」

 プライベートの過ごし方も、目が見える人とほとんど差がありません。

「仕事と家事、子どもの世話もあるので、なかなか忙しいですが、空いた時間はYouTubeを見たり、テレビを見たりしています。音声だけを聞く形になりますが、面白いですよ。あとはコブクロが好きなので音楽を聞いたりして過ごしていますね」

◆浴びせられる言葉に傷ついたことも
 小学校から高校までは盲学校に通い、その後は地元の女子大に進みます。しかし、多感な時期に「心ない言葉をかけてくる人も多かった」と言います。

「私はかなり人に恵まれた人生で、周りに友人も理解してくれる人もいましたが、昔は障害者に対する偏見が今より強かったですから、歩いていてぶつかっただけで『何ぶつかってんねん! ああ、めくらか』なんて言われたり。そんな暴言は一度や二度じゃありません。若かったので、そういうことを言われると心の中でめちゃくちゃキレてましたよ(笑)」

 一方で「かわいそう」と言われることがとても多く、そこにも違和感を覚えていたとも。

「かわいそうってその人の存在を否定する言葉ですよね。あとは『あなたの健康と幸せのために、祈らせてください』なんて言われることもありました。『私は健康だし幸せなんで大丈夫です!』って言い返しましたけど(笑)」

 偏見はだんだんと減ってきてはいますが、いまだに理解のない対応をされることも。

「妊娠前に初めて訪れた産婦人科では、『目が見えないのに妊娠してどうするんですか? 妊娠してもうちには来ないでください』と言われました。あれは忘れられない一言ですね。

 あとは子どもが生まれてからしばらく通った保育園で、命綱ともいえる白杖を『使わないでほしい』と言われたり。子どもの安全確保のためとのことでしたが、白杖がないと近くに何があるか探れないわけですから、そっちのほうが危ないんですよ。そのくせ、廊下に段ボールが積み上げてあったりするんですよね(笑)。