いうなれば芸術作品。毎日多くの人たちが手にするからこそ国は本気出してます。福沢諭吉、樋口一葉、野口英世という偉人に富士山や鳳凰像が描かれている日本も然り。お金の数だけ、その国(地域)らしい特色がありました。

こんにちは、自転車で世界一周をした周藤卓也@チャリダーマンです。以前に世界の硬貨(コイン)を紹介する記事を書きましたが、もちろん紙幣の写真も撮ってはありました。膨大でなかなか手が付けられなかったのですが、一念発起して画像を整理。私が見てきた世界の紙幣を網羅しました。

◆東アジア

・中国

通貨は元。紙幣の肖像はすべて毛沢東でした。最高額紙幣の100元が中国の人にとって縁起がよいとされる紅色というのも気になります。



・香港

正式な通貨名は香港ドル。紙幣には英語だとDOLLARSで、中国語だと圓や元の表記。香港ドルは複数の銀行が発券しているので、同じ額面でもデザインが全く違ったりします。



・台湾

正式な通貨名は新台湾ドル。紙幣は圓という表記。



・モンゴル

通貨はトゥグルグ。紙幣の肖像は独立運動で活躍したダムディン・スフバートルと、帝国を築いた英雄チンギス・カンになっています。



◆東南アジア

・マレーシア

通貨はリンギ(リンギット)。紙幣の肖像はすべて初代国王ツアンク・アブドル・ラーマンでした。



10リンギの裏には強烈な腐臭を放つ世界最大の花、ラフレシアが描かれています。



・タイ

通貨はバーツ。紙幣の肖像はすべてプミポン国王陛下(ラーマ9世)でした。2016年10月プミポン国王陛下はご崩御され、ワチラーロンコーン国王陛下(ラーマ10世)が即位。近年流通し始めた新紙幣の肖像はすべてワチラーロンコーン国王陛下になっています。



・ラオス

通貨はキープ。紙幣の肖像には社会主義革命を率いたカイソーン・ポムウィハーンが起用されていました。



・カンボジア

通貨はリエル。同時に米ドルも流通していて、支払いは米ドルでお釣りがリエルといったような感じでした。こちらは旧紙幣で、現在は新紙幣も流通しています。



500リエルの裏にはアンコールワットが描かれていました。



・ベトナム

通貨はドン。紙幣の肖像はすべてベトナム建国の父、ホー・チ・ミン(胡志明)でした。



・ミャンマー

通貨はチャット。5000チャットには象、他には「chinthe(チンシー)」と呼ばれる獅子像が使われていました。



・フィリピン

通貨はフィリピン・ペソ。スペインの植民地だった歴史から中南米諸国と同じペソという単位を使っています。



・ブルネイ

通貨はブルネイ・ドル。紙幣の肖像はすべてハサナル・ボルキア国王です。ブルネイ・ドルはシンガポール・ドルと等価ですので、ブルネイの紙幣はシンガポールでも使うことができました。



◆南アジア

・インド

通貨はインド・ルピー。紙幣の肖像はすべて「非暴力、不服従」を掲げて独立運動を戦った国父ガンディーでした。



・ネパール

通貨はネパール・ルピー。すべての紙幣にはエベレストが描かれています。旧紙幣は国王の肖像でしたが、毛沢東主義派(マオイスト)による内戦(ネパール内戦)の結果、王政廃止となり現在の紙幣に切り替わっています。ヒマラヤ山脈擁するネパールらしいお金と単純に見ていましたが、その背後には激動の歴史をはらんでいました。



5ルピーの裏にはヤクがいます。



・バングラデシュ

通貨はタカ。紙幣の肖像はすべて建国の父であり初代大統領を務めたムジブル・ラフマンになっていました。



・スリランカ

通貨はスリランカ・ルピー。2000ルピーだけ旧デザインの紙幣。



新紙幣の表にはさまざまな鳥。



新紙幣の裏には民族衣装をまとった踊り子たちが描かれていました。



・モルディブ

通貨はルフィヤ(ルフィア)。約1200の島々から成る国家だけあってすべての紙幣に船が描かれています。



◆中央アジア

・カザフスタン

通貨はテンゲ。近未来を彷彿させる斬新なデザインの紙幣です。



・キルギス

通貨はキルギス・ソム。



・ウズベキスタン

通貨はスム。当時は1000スムが最高額紙幣でしたが、激しいインフレの結果、近年では5000、10,000、50,000といった額面の新紙幣も発行されています。



・トルクメニスタン

通貨はマナト。



タジキスタンを除く中央アジアの4カ国の言葉はトルコ語に近いということもあって数字も少し似ております。キルギスの1ソムもトルクメニスタンの1マナトもБИРとBIRは文字は違えど同じスペルでした。

◆オセアニア

・オーストラリア

通貨はオーストラリア・ドル(豪ドル)。100ドル紙幣もありますが、めったに手にすることはありません。



・ニュージーランド

通貨はニュージーランド・ドル(NZドル)。



裏はすべてニュージランドに生息する鳥でした。ペンギンもいます。



・トンガ

通貨はパアンガ。50パアンガだけ新紙幣。新旧問わず紙幣の肖像はすべて国王となっています。



・フィジー

通貨はフィジー・ドル。同国を代表するインコ、魚、ウミドリ、花が紙幣に描かれています。



・バヌアツ

通貨はバツ。紙幣には国章が用いられています。山を背後に槍を持った戦士というデザイン。



バヌアツ人がイメージする一家団欒。



・ソロモン諸島

通貨はソロモン諸島・ドル。



こちらの紙幣にも国章が使われていました。盾を挟むようにワニとサメを配置。この国章の盾プラス左右に何かは旧イギリス植民地が好んで使うデザインでした。



◆ヨーロッパ

・欧州連合(EU)

通貨はユーロ。



・スイス

通貨はスイス・フラン。縦長デザインの紙幣は見慣れないこともあって新鮮でした。



・ベラルーシ

通貨はベラルーシ・ルーブル。社会主義国だった過去を象徴するような淡白なデザインのお金でした。しかし、2016年7月1日には1万分の1のデノミが実施され、現在は新紙幣になっています。新紙幣のデザインはかなりのハイセンス。



・モルドバ

通貨はモルドバ・レウ、複数形はレイ。紙幣の肖像はすべて、かつてのこの地を治めたシュテファン3世 (モルドバ公)という人物です。



・クロアチア

通貨はクーナ。紙幣にある「Hrvatska(フルヴァツカ)」はクロアチア語による自国の呼び方。



・マケドニア

通貨はマケドニア・デナール。人物の肖像ではなく歴史的な遺物ばかりを載せた紙幣でした。



5ディナールの裏はストビ(Stobi)遺跡にあるモザイク画でした。鳥が2匹います。



・ルーマニア

通貨はルーマニア・レウ、複数形はレイ。1レウと100レイでは紙幣の大きさがこんなにも違います。



・ブルガリア

通貨はレフ、複数形はレヴァ。



・アイスランド

通貨はアイスランド・クローナ。1000クローナが約950円と日本円に1番近い数字の通貨ではないでしょうか。



・アゼルバイジャン

通貨はアゼルバイジャン・マナト。1(BIRI) 、5(BEŞ)、10(ON)、20(YIRIMI)という言葉はトルコ語と一緒。当時はユーロとほぼ等価でしたが、2015年の年末に変動相場制に移行した影響で、現在はユーロの半分くらいの価値となっています。



・ジョージア(グルジア)

通貨はラリ。独自の文字に正教会風の肖像とかなりの存在感を放つ紙幣でした。



◆中東

・イラン

通貨はイラン・リヤル。紙幣の肖像はすべてイラン革命の指導者ホメイニ師でした。



1万リアルの裏には富士山にも似た成層火山、標高5610mのダマーヴァンド山が描かれています。



・トルコ

通貨はリラ。紙幣の肖像はすべて国父ケマル・パシャ(ムスタファ・ケマル・アタテュルク)でした。初訪問時の旧紙幣は無表情でしたが、再訪時の新紙幣は優しく微笑むお顔となっています。



・イスラエル

通貨は新シュケル。こちらも縦長デザインの紙幣。



・ヨルダン

通貨はヨルダン・ディナール。紙幣の肖像はすべてハーシム家の歴代国王です。



・エジプト

通貨はエジプト・ポンド。紙幣にはエジプト文明の神殿や遺物がふんだんに使われています。



100ポンド札のスフィンクス。



・スーダン

通貨はスーダン・ポンド。



・モロッコ

通貨はモロッコ・ディルハム。写真は旧紙幣ですが、現在の新紙幣ともに国王ムハンマド6世の肖像が使われています。



・アラブ首長国連邦

通貨はUAE・ディルハム。



・オマーン

通貨はオマーン・リアル。紙幣の肖像はすべてカーブース・ビン・サイード国王でした。



・カタール

通貨はカタール・リヤル。



紙幣からも垣間見れるアラビア書道と幾何学模様というイスラム世界の芸術。



・バーレーン

通貨はバーレーン・ディナール。



・クウェート

通貨はクウェート・ディナール。1ディナールが約365円ですので、世界で最も数字あたりの価値が高い通貨です。



アラブ諸国でよくみるツイッターのたまごアイコンにも見えるこちらはインド数字の書き方で、意味は数字の「5」です。



◆アフリカ

・ギニア

通貨はギニア・フラン。芸術作品のような紙幣でした



・ナイジェリア

通貨はナイラ。



・ケニア

通貨はケニア・シリング。紙幣の肖像はすべて建国の父であり初代大統領を務めたジョモ・ケニヤッタでした。



・ウガンダ

通貨はウガンダ・シリング。5万シリングの裏にはゴリラがいます。



・タンザニア

通貨はタンザニア・シリング。アフリカスイギュウ、ライオン、クロサイア、フリカゾウとサバンナの動物に混じってジュリウス・ニエレレ初代大統領。



凛々しいライオンの横顔。



金色のキリンマーク。



・モザンビーク

通貨はメティカル。紙幣の肖像はすべて革命家であり初代大統領を務めたサモラ・マシェルでした。



20メティカルの裏にはサイがいます。



・ザンビア

通貨はザンビア・クワチャ。すべての紙幣に国鳥サンショクウミワシが描かれていました。2013年1月にデノミが実施されたので、現在は新紙幣が流通しています。



裏はアフリカスイギュウ、シマウマ、ツチブタ、アフリカゾウという野生の王国。



・ジンバブエ

旧通貨はジンバブエ・ドル。ゾウの群れが描かれています。



・南アフリカ

通貨はランド。旧紙幣は動物の顔でしたが、現在はアパルトヘイト撤廃に尽力したネルソン・マンデラを起用した新紙幣も流通しています。



・エチオピア

通貨はブル。



こちらも見惚れてしまう程の紙幣でした。独自のゲエズ文字にも注目して下さい。



◆北米、中米

・カナダ

通貨はカナダ・ドル。旧紙幣ですがアイスホッケーだったのもカナダならではでした。



・アメリカ

通貨はアメリカ・ドル。アメリカ本国以外でも大きな紙幣は両替の種銭に小さな紙幣も微調整に使ったりと世界の基軸通貨として旅では欠かせないお金でした。



・メキシコ

通貨はメキシコ・ペソ。



・グアテマラ

通貨はケツァル。



紙幣には尾っぽが長い国鳥ケツァールが描かれています。「火の鳥」のモデルとも言われる色鮮やかな幻の鳥。



・ホンジュラス

通貨はレンピラ。



・コスタリカ

通貨はコロン。紙幣の裏にはコスタリカに生息する動物が勢揃い。ナマケモノがまたいい味を出していました。



◆南米

・コロンビア

通貨はコロンビア・ペソ。



・ペルー

通貨はヌエボ・ソル。単位のソル(sol)はスペイン語で太陽という意味です。



10ソルの裏にはマチュ・ピチュが描かれています。



・アルゼンチン

通貨はアルゼンチン・ペソ。



・ウルグアイ

通貨はウルグアイ・ペソ。



・パラグアイ

通貨はグアラニー。それぞれの紙幣に数字+MIL(1000)が付いたインフレ通貨。1000グアラニーは約18.7円。



・ブラジル

通貨はレアル。紙幣はすべて「共和国の肖像(Efigie da Republica)」と呼ぶブラジルを象徴する若い女性をモチーフにしていました。



2レアルの裏にはウミガメがいます。



◆カリブ海

・ドミニカ共和国

通貨はドミニカ・ペソ。



・ハイチ

通貨はグルード。地元民はぐしゃぐしゃに丸めてポケットに突っ込んでいました。扱いが雑なので布のような質感。250(25)という数字の紙幣は世界でも珍しいケース。



・バルバドス

通貨はバルバドス・ドル。



・トリニダード・トバゴ

通貨はトリニダード・トバゴ・ドル。すべての紙幣に鳥が描かれています。楽園のようでした。



・東カリブ諸国機構

8つの国家と地域で構成される東カリブ諸国機構の域内では東カリブ・ドル(ECドル)という共通通貨が使用されています。紙幣の肖像はすべて若かりし頃のエリザベス女王でした。



◆コレクションする

自転車世界一周の旅では、現地で紙幣も集めていました。なるべく新札や状態がいいものをキープ。物価の安い国では紙幣も種類別に集めていました。物価の高い国だとそうはいかないので最低1枚がノルマ。旅を終えた後、こうして集めた紙幣も整理しました。

たくさんの国のさまざまな紙幣。



皺くちゃな紙幣はアイロンをかけます。



ポリマー紙幣(プラスティック紙幣)は熱に弱いので注意しましょう。



1枚ずつだと膨大になるので、国ごとに透明パック(OPP袋)に仕分け。



その透明パックをルーズリーフバインダーに対応した3ポケットリーフに入れます。



旅で集めた世界のお金はA4サイズのファイル1冊に収まりました。



このような感じで世界のお金がコレクション化できました。ただ、こちらは貴重すぎて手軽に扱えません。いつか開くはずのゲストハウスにも飾りたいので保存用と観賞用で複数枚集めるべきでした。世界を身近に感じられるようにゲストハウス用はまた別に何か作ります。



通貨の数字を切り落とすデノミや、肖像に使われる国王が変われば紙幣は切り替わります。インフレが進んでも新紙幣は出ますし、今回紹介した紙幣もいろいろと変わっているようで、また、海外に行きたくなりました。その国(地域)ならではの特色ありますしお土産にもいいでしょう。旅先では現地の紙幣(お札)、硬化(コイン)にぜひ注目してみてください。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン

自転車世界一周取材中 http://shuutak.com

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