西村博之(2ちゃんねる創設者)

 こんにちは。ひろゆきです。昨年サイバーセキュリティー担当大臣の桜田義孝五輪相が、USBを知らないどころかパソコンにも触ったことがないとかでニュースになっていたりしました。なんでそんな人がサイバーセキュリティー担当なのか不思議ですね。そんな平成の終わりですが、今回のテーマは「平成のインターネットを振り返る」ということで、おいらなりに振り返ってみたいと思います。

 2ちゃんねるを始めたのは1999年、平成11年でした。インターネットやパソコン通信以前は、電話だったりテレビだったりFAXだったりという通信手段を使っていたのですが、電話やFAXは1人と1人がつながるもので、テレビや雑誌やラジオや新聞は、一方的に情報を多数に送る付けるものだったのですね。

 多数の人が双方向でつながるというのは、電話を使った「パーティーライン」という昭和で育った一部の人しか知らないサービスしかなかったわけです。

 パソコン通信もniftyサーブのような一部の大手パソコン通信ホスト以外は、リアルタイムで大勢の人が参加してコミュニケーションをするってのは難しかったりしました。

 例えば、6人でつなごうとすると、パソコン通信やパーティラインのホスト局を開いた人がNTTに電話回線を6回線申し込まなければいけなかったりしました。

 その当時は、回線を開くごとに電話加入権というものを買わなくてはいけなくて、7万2000円とかしていました。6回線引くには約50万円必要だったのですね。

 というわけで、気兼ねなく多数の人がリアルタイムにコミュニケーションできる環境はインターネット無しではなかなかできなかったのですが、「そういったシステムを人はどうやって使うのか?」ってのは、試してみないと分からないので、面白そうって思って2ちゃんねるを始めたわけです。

 ちなみにその頃、インターネットはマスコミや国境に縛られない「公共圏」だ、と夢を語っている人もいましたが、おいらはそんな夢を見たことはありませんでした。

 あと「2ちゃんねるは匿名だから悪い」みたいなよくある誤解なんですが、2ちゃんねるは「匿名で書ける掲示板」であって、本名で書いてもいいのですね。Twitterも本名でやっている人がいるように、2ちゃんねるも本名で書いている「藤居よしおちゃん」って人もいました。

世界最大級のインターネット匿名掲示板「2ちゃんねる」の旧版。ドメインは「2ch.net」=2014年4月(矢島康弘撮影)

 ネット上で実名を書く場合はリスクもあり、どういう情報をどこまで出すか?ってのは本人が決めることだと思うので、2ちゃんねるは匿名でも実名でも好きに選んでくださいというシステムだったりしました。

 「犯罪の温床」のように2ちゃんねるが言われることもあったりしましたが、ニュースになるのはごく一部の投稿で、実際のところはしょうもない雑談がほとんどでした。それは現在のTwitterで流れているようなのと同じです。掲示板から会員制交流サイト(SNS)になっても、その中身は大して変わっていないのですね。

 2ちゃんねるが世間的に注目を大きく浴びたのは、2000年の西鉄バスジャック事件の犯人が、2ちゃんねるに書き込みをしていたことが報道された時だと言われます。西鉄バスジャック事件は、バスの中で犯罪が起きたわけですが、バスの管理会社の責任を問う人がいたら、ちょっと変だと思うんですよね。

 んで、掲示板上で起きる犯罪というのは、名誉毀損(きそん)や違法な情報のやりとりぐらいで、人の生き死にに関わるような重大事件は起こり得ないんですよね。「2ちゃんねるは犯罪の温床だ」と言う頭の悪い人がそう思い込みたいのであれば、「お前がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな」という有名なセリフを送りたいです。

 さて、インターネットは携帯電話の普及とともに、ますます身近なものになりました。2005年末には、携帯電話などによるインターネット利用者数が、パソコンによるインターネット利用者数を上回っていて、2017年のインターネット利用率(個人)は80・9%だそうです。そんな最近では「PCは古い、これからはスマホの時代だ」なんて人も見かけたりします。

 この「PC不要論」については、モノを作る生産者と、お金を払う消費者に分かれると思うのですが、消費者であればスマホで十分だとは思います。一方で、確かにタブレットやスマホだけで仕事ができる分野も多少は出てきましたが、プログラムや動画編集など、パソコンのスペックがないと実務には支障が出るレベルのものはまだまだ多いと思います。

 ただ、世の中はモノを作れない消費者が増えた方が企業はもうかるので、「スマホで十分だよね」みたいな言説は増え続けると思います。

 かつてインターネットの革新だ、と「WEB2.0」という言葉が流行しましたが、今は「WEB3.0」と言っている人がいるみたいです。こういう類いの言葉は好きじゃないので、新しい用語を作って、あんまり知らない人をだまそうとする人がいつの時代も現れるなぁ…と思っています。

2ちゃんねる管理人・ひろゆき氏が早稲田祭で講演会=2006年11月、東京都新宿区の早稲田大学

 ということで、平成の間にインターネットは変わったのかといえば、転送速度や処理速度が上がったので、動画なども扱えるようになりましたけど、本質的な部分ではあんまり変わってない気がします。Winny(全体を管理するサーバーを必要とせず、クライアント同士で通信が完結するファイル共有ソフトウエア)やビットコイン(仮想通貨)など、中央を持たないネットワークは面白いとは思いますが、Skypeも結局中央サーバーを持つようになりましたし、実用的な部分ではまだいまいちですね…。

 2018年12月にソフトバンクの通信障害が起きて大騒ぎになったり、インターネットは生活必需品になったと報道されたりしていました。普通に働いている人にとっては、必需品だと感じる人は多いと思いますが、決定権を持っている高齢の人はそう思ってないフシがあるのが、どうなんかなぁ…と思う平成最後の今日この頃です。

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