明るくトレーニングに励む日本代表MF乾貴士(ベティス)

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 追加招集という形で日本代表に復帰し、迎えたアジアカップ初戦は出番なし。だが、トルクメニスタン戦に出場していた選手たちからは試合後、MF乾貴士(ベティス)のアドバイスを称える声が相次いだ。思わぬ苦戦から一夜明けた10日、ロシアW杯で躍進を牽引した30歳が口を開いた。

 1点ビハインドで迎えたトルクメニスタン戦のハーフタイム、ベンチで戦況を見つめていた乾は出場メンバーに言葉を掛けたという。MF原口元気、MF堂安律、DF酒井宏樹らの話を総合すると、伝えたのは「幅を取ったほうが良い」という指示。その後、サイドを使えるようになったチームは3点を奪い、辛くも勝ち点3をもぎ取った。

「前半は中、中ばかりになって、失ってカウンターで状況を悪くしていた。なので、サイドで2対1を作って幅を作ろうという話をした。綺麗な形で崩せればよかったけど、そんなに簡単な相手じゃない。真ん中にはサコ(FW大迫勇也)もいるし、そのほうが良いと思った」(乾)。指示通りの修正を行った日本代表は、乾が想定とおりの結果を生んでいた。

 これは単なるアドバイスではなく、自身がプレーする場合のビジョンでもあった。「とにかく幅を取ること」という狙いは今季から所属するベティスで慣れたもの。「相手を広げれば空いてくるところがあるし、広げないとキツいところに行きすぎる」とすんなり語った乾には、目の前のピッチで淀みなくプレーする自信もみなぎっている。

 前日の先発メンバーを除いた12人が参加した10日のトレーニングでは、「ワイワイやるのが好き」という言葉どおりに率先して盛り上げ役を担い、ピッチ外での存在感を見せつけた。ならば、次は……。「内容が良くなかったけど、勝てたことで雰囲気が良くなる」。そんな明るい集団の先頭に立つ男は、今度はフィールドでの貢献を果たすつもりだ。

(取材・文 竹内達也)