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G-SHOCKの本流モデルに見る、世界的なヒット作になった理由





カシオ

G-SHOCK G-5600E-1JF

実勢価格:1万5120円

問い合わせ:カシオ計算機 お客様相談室 03-5334-4869

今回取り上げたいのは、どうってことのない、普通のG-SHOCKである。モデル名は『G-5600E』。一番ベーシックな『DW-5600E』に、光で充電するタフソーラー機能を加えたモデルだ。

筆者は今までにG-SHOCKをかなり買ったが、定番中の定番であるDW-5600は手にしたことがなかった。1987年発表のDW-5600は、DW-5000に始まるG-SHOCKの本流であり、’96年の復活以来、ほぼ変わらず作られているロングセラーである。その背景といい、生産年数の長さといい、多くのG-SHOCKファンがDW-5600を好むのも納得だ。

筆者もそのDW-5600を買おうと店に出かけ、結局、上位機種の『G-5600E』を手に入れてしまった。腕に載せて、大変気に入っている。

『DW-5600E』と『G-5600E』の大きな違いは、光充電システムがあるか否かである。G-SHOCKは電池のもちのいい時計だが、言うまでもなく、光充電が付いている方が便利だ。値段が3万円も違っていたら考えてしまうが、3000円しか変わらない、となれば、光充電付きを選んだ方がお得だろう。

加えて言うと、DWとGでは機能も違う。DW-5600には、標準的なクロノグラフとマルチアラーム、時報、フルオートカレンダーに報音フラッシュ機能が付いている。対してG-5600には、さらに世界48都市のワールドタイム、UTCの時刻表示、5本の時刻アラーム、バッテリーインジケーター表示とフルオートのELライトが加わった。

とりわけありがたいのはフルオートのELライトで、腕を傾けるだけで文字盤が光り、時間を読み取りやすくしてくれる。手がふさがっているときに手首をひねるだけで時間が分かるのはありがたい。

感心したのは、時計としての使いやすさだ。余計な機能のないDW-5600は、説明書なしでも操作できるのが美点だったと記憶している。G-SHOCKが、世界的なヒット作になった理由のひとつだ。では機能が増えたG-5600はどうなのか。

慣れこそ必要だが、多機能時計とは思えないほど、操作系が良くできているのだ。正直、これほど使いやすい時計だとは思わなかった。

ちなみにG-5600の上位機種には、世界6カ所の電波を受信する、GW-5000やGW-5610といったモデルもある。基本的にはG-5600に同じだが、さらに機能が増え、GW-5000に至っては、高級なメタル製の外装を持っている。確かに魅力的だが、普段使いの時計と考えると、ここまでの機能はいらないように思う。G-5600で十分ではないだろうか。

なお筆者がG-5600を選んだもうひとつの理由には、大きさもある。DW-5600のケースは横48.9×縦42.8×厚さ13.4mmだ。対してG-5600のケースは、横46.7×縦43.2×厚さ12.7mmと、縦以外はわずかに小さい。重さも、DW-5600の53gに対して、50gしかない。形こそほぼ同じだが、わずかに軽くなり、ケースが0.7mm薄くなったおかげで、装着感は改善されたのである。

復刻版のDW-5600Eから採用された、ネジ留め式の裏蓋。ねじ込み式の裏蓋を好む人は少なくないが、装着感を考えると、フラットなネジ留めの方が優れている。薄いケースと相まって、フィット感はかなり良好だ。

また、袖口にも引っかかりにくいのも嬉しい誤算だった。現行G-SHOCKの中で、『G-5600E』はもっともスーツに合わせやすい時計ではないだろうか。事実、筆者はこの時計を、ジャケットに合わせて使っている。

現行のG-SHOCKは、かつてのものに比べて機能が増え、外装の作りも極めて良くなった。樹脂パーツの完成度ひとつとっても、過去と今ではまったく別物だ。

ベーシックなモデルとはいえ、G-SHOCKの外装は年々良くなっている。とりわけ注目したいのは、樹脂部品のパーティングライン。かつては金型のつなぎ目が目立ったが、今や目立たないほど浅くなった。また、ベルトとベゼルカバーの噛み合わせも、以前と比べて精密になった。

しかし、そんな中、昔風のデザインと機能を持つG-5600は、今なお独特の魅力を放っている。しかも、価格はたった1万4000円なのだ。G-SHOCKに興味の無い人こそ、ぜひG-5600を触って欲しい。このモデルには、G-SHOCKが世界的なヒット作になった理由のすべてが詰まっている。

広田雅将(ひろたまさゆき):1974年生まれ。時計ライター/ジャーナリストとして活動する傍ら、2016年から高級腕時計専門誌『クロノス日本版』の編集長を兼務。国内外の時計賞の審査員を務めるほか、講演も多数。時計に限らない博識さから、業界では“ハカセ”と呼ばれる。

※『デジモノステーション』2019年2月号より抜粋。

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