人手不足がますます激しくなる昨今、とくに中小企業における人材確保は藁にも縋る想いでしょう。しかし本当に藁をつかんだら、当然ながら溺れてしまいます。いくら人手がなくともモンスター社員は抱えたくないものです。社労士の飯田弘和さんは今回、自身の無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』で、モンスター社員や問題社員の雇い入れを水際で防ぐ、採用時の対策について紹介しています。

御社では、問題社員を雇入れない対策ができていますか?

人手不足が深刻です。特に、中小企業にとっては深刻な問題です。だからといって、安易に雇入れれば、その従業員がとんでもない問題社員あるいはモンスター社員である場合があります。そのような問題社員やモンスター社員を間違っても雇入れることがないよう、採用時には注意が必要です。

問題社員といっても、いろいろなタイプがあります。

欠勤や遅刻が多く、出勤態度に問題がある社員業務指示に反抗的であったり、勤務態度が悪い社員能力不足、成績不良の社員周囲との協調性に欠け、コミュニケーション能力に問題のある社員

いろいろなタイプの問題社員がいますが、多くの問題社員に共通しているのが、

転職を多く繰り返している一社あたりの勤続年数が短い

といった特徴があります。

ただし、彼らは履歴書にその事実をそのまま書いたりはしません。途中を端折ったりして、見栄えの良い履歴書を提出してきます。それを見てウソを見破れる時もありますが、簡単には見破れない時もあります。大企業のように、採用までに何段階も選考を重ねられればウソも見抜けるでしょうが、中小企業が採用にそこまで労力をかけることはなかなかできません。

そこで対策です。まず、採用内定者には、御社の就業規則をしっかり読み込んでもらうことです。しかも、その就業規則には、服務規定や懲戒規定がかなり厳格に事細かに書かれている必要があります。それを見ても、御社で働きたいという人材であれば期待が持てます。

さらに、採用時の提出書類の中に「年金事務所で交付してもらう被保険者記録照会回答票」と「身元保証書」を含めておくことです。被保険者記録照会回答票があれば、履歴書に書かれた職歴にウソがあれば一目瞭然です。身元保証書があれば、会社とのトラブルについての抑止力になります。

また、採用時には2か月の有期雇用契約にすべきです。2か月以内の有期雇用契約であれば、期間途中で問題が発覚した場合に、解雇予告なく即日解雇が可能です。もちろん、2か月での雇止めもできます。

2か月たって問題がないようでしたら、更に6か月の有期雇用契約を結びます。猫を被っているような問題社員であっても、8ヶ月あれば必ず尻尾を出します。この8か月間問題がなければ、その後正社員として雇用すればよいでしょう。もし問題が発覚すれば、期間満了での雇止めにしましょう。8か月も雇っていると、情がわいて雇止めし難くなるかもしれませんが、問題社員を雇入れてしまえば必ず後悔します。ここは毅然と雇止めすべきでしょう。

ただ、このような対策をとるためには、まずは就業規則の整備が必要です。以上を踏まえて、改めてお聞きします。

「御社では、問題社員を雇入れない対策ができていますか?」

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