メイウェザー(右)に敗れた那須川【写真:Getty Images】

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メイウェザーの態度に「フェイク」の声も…英紙記者が持論「テンシンに同情します」

 格闘技イベント「RIZIN.14」(さいたまスーパーアリーナ)で、キックボクシングの那須川天心(TARGET)にTKO勝を収めたボクシングの元5階級制覇王者のフロイド・メイウェザー(米国)。わずか139秒で勝利を収めた一方的な展開に、海外のMMA(総合格闘技)の実力者、専門家から「茶番」と批判も集まる中、「テンシンが気の毒」と英紙記者は同情。「八百長ではない」と批判の打ち消しに出ている。

 キックボクシング界の神童対ボクシング界のメガスター。海外でも注目を集めた大晦日のリングで、展開されたのは一方的なメイウェザー劇場だった。白い歯を見せながらも、那須川を子供扱い。139秒で決着を付け、天心はリングで悔し涙を流していた。

 メイウェザーの試合中の態度、10億円近いファイトマネーもあってか、試合内容に対してMMAの実力者から「フェイク」と疑問の声が上がり、元WBA世界ミドル級王者の村田諒太(帝拳)らと契約する米トップランク社の大物プロモーターのボブ・アラム氏も米メディアの取材で「完璧なジョーク」「茶番」と批判していた。

 だが、圧倒的不利な条件で勇敢に戦い抜いた神童に同情論も出ている。英紙「デイリー・エクスプレス」「デイリー・スター」で格闘技などの担当記者を務めているチサンガ・マラタ記者だ。試合後、自身のツイッターでこうつづっている。

「テンシンに対しては気の毒としか思えない。彼は母国の何千もの人々の前で派手な敗北を喫してしまった。彼に同情します」

「多くの人々はこのファイトを“八百長”と言っていたが…」

 さらに、一方的な展開からメディアで浮上した「フェイク」の声を一蹴。「多くの人々はこのファイトを“八百長”と言っていた。一体どうして、何百万のオーディエンスの前でノックアウトされるために、RIZINが何百万ドルという大事な資産を捨てるというのだ? このクレームは徹底的に修正しなければ」と持論を展開し、八百長の主張を否定した。

 一方でマラタ記者は天心の敗戦で、ある男の価値が高まったと分析している。「これはコナー・マクレガーがフロイド相手にどれだけ健闘したのか、浮き彫りにしたと思う。あの試合については様々な意見もあるが、あの男はボクシング史上最も捕まえ切れないファイターに何発かいいショットを着弾させていたのだから」とつづっていた。

 天心戦の直前にメイウェザーが戦った試合は17年8月に行われた元UFC世界ライト級王者マクレガー(アイルランド)とのボクシングルールでの公式戦だった。メイウェザーは10回1分5秒でTKO勝ち。メイウェザーは110億円のファイトマネーを稼いだが、マクレガーもボクシングの舞台で強さを示していた。天心戦の裏ではマクレガーの強さも浮かび上がったと英国記者は分析している。(THE ANSWER編集部)