マリナーズ入団会見に臨んだ菊池雄星【写真:AP】

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肘を負傷し、トミー・ジョン手術とならぬように予防策を考案

 西武からポスティングシステムを利用し、マリナーズへの移籍が決まった菊池雄星投手。3日(日本時間4日)には、本拠地T-モバイルパークで入団会見を行い「マリナーズ菊池雄星」としての第1歩を踏み出した。

 最低でも4年総額62億円、最大で7年総額120億円という大型の変則契約を結んだ菊池とマリナーズ。菊池がマリナーズ入りを決断した背景には、マリナーズが提示した“特殊”な起用法にもあったようだ。MLB公式サイトが報じている。

 同サイトは「マリナーズは最初の労働量を制限し、日本球界からの適応を助ける発展的なプランを提示した」とした記事を掲載。これによると、マリナーズは菊池を5試合ないし6試合先発させたあと、1試合は1イニング程度の投球にとどめるというアイデアを左腕に提示したという。

 順調にスプリングトレーニングをこなせば、マリナーズの先発ローテに入ることが確実な菊池。記事でも「マリナーズはキクチを5人ローテーションの一角として投げさせる予定だ」としている。記事ではジェリー・ディポトGMの「日本では過去2年で160〜180イニングを投げている。だから我々はあまり保守的になるつもりはない」というコメントを紹介している。

 その一方で、同GMは「しかし1シーズンの30〜32先発の中で、6先発ごとに一息つくことができれば、快適なブルペンも増える。マウンドに上がって1イニングか30球を投げる。ルーティンから外れることなく、小休止を得られるだろう」とも説明。菊池の起用法として、6試合に先発したのち、1試合では“オープナー”のように先発で1イニングだけを投げるリフレッシュデーのようなものを設けるとしている。

 これは、日本人投手が苦しむ肘の故障に対しての予防策として考え出されたもののよう。昨季もエンゼルスの大谷翔平投手が右肘の内側側副靱帯を損傷し、オフに靱帯再建手術(トミー・ジョン手術)を受けているように、日本人投手はボールの違いと、登板間隔の違いから、肘を負傷し、トミー・ジョン手術を受けることが多い。

 そのため、ディポトGMは「彼ら(日本人選手)が20歳台前半から中盤にかけて、トミー・ジョン手術を受けるのを見てきた」といい、菊池の代理人を務めたスコット・ボラス氏は「ジェリーは元投手だ。我々はこれを話題にし、データについて話した。長期にわたって支え、5から6先発登板ごとに休ませるか、あるいはイニングを制限することで選手が中5日登板に適応できるよう、何か手助けをしようと話した」と語っている。

 記事の中でディポトGMは「我々の目標はシーズンに入り、他の若手選手とともにYKを成長させることだ」と語ると同時に「できる限り多く勝利する。だが、重要なのは、より高いレベルとなれる才能ある選手たちとともに、2020年をスタートさせること。彼もそのひとりだ」とも。来季だけでなく、2020年以降も見据えた上で、菊池の肉体をケアする方策を考えを生み出したようだ。(Full-Count編集部)