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建築業界は「天災免責」に甘えるな!

2005年12月26日12時40分 / 提供:PJ

pj
大地震が起きて建築物が倒壊しても、ゼネコンは天災免責で補償義務から逃げられる。工事請負契約書では、多くのマンションでは約10年間の瑕疵(かし)担保がある。しかし、日本は地震列島であることから、不可抗力(地震、噴火、津波、騒乱)などによる倒壊、破壊には責任を負わない『天災免責』が盛り込まれるのが一般的である。

建設業界が「天災免責」を利用する構造
 神戸や新潟のような大地震が発生すれば、電気、ガス、水道のライフラインの復旧が優先される。道路をふさぐ倒壊した建物はブルで押しのけてしまう。建築物がなぜ倒壊したかという、検証はまずなされない。

 そこから天災免責の条項を悪用する、建築業界の腐敗体質と土壌とが生まれてきた。入居者の目の見えない土台や天井裏で手抜き工事が日常茶飯事的に行われたり、基礎や柱や梁の鉄筋を抜いたり、生コンを水増ししたりする業者が多く出てきた。

 今回はさらに進んで構造計算をねつ造する一級建築士までも現れてきたのだ。彼らは建築士としての誇りを捨て、魂を売り、天災免責を意図的に悪用した典型的な犯罪行為をしようとしているのである。地震で死者が出れば、設計や工事をごまかした建築関係者は、未必の故意による殺人と同じだ。

 マンションに住む全国の人たちは、テレビ番組で行われている「事件の背後にいる大物の悪は誰か」という犯人探しの興味よりも、『自分たちが住む建物は大丈夫なのだろうか』という不安の目で、この事件の推移を見守っているのだろう。実際、大地震がきたら街はどうなるのかと、不信感の目が建築業界全体に突き刺さっているのだ。

天災と人災、子どもたちの目は
 それら不安と疑惑の目は大人だけではない。第14回「明日のTOKYO」第14回「明日のTOKYO」の作文コンクールの受賞作品なかで、数多くの中学生たちが、地震の恐怖を強く訴えた。それら作品の一部を紹介したい。

 優秀賞作品の高橋由華(白百合学園中学2年)さんは、学校のある飯田橋から自宅まで5時間かけて歩いたと前置きし、『地震が起きたことを想像しながら、歩く道は不安なところが数多くあった。倒れたら人々を突き刺してしまいそうなガラスの高層ビル、避難場所のない高速道路の真下、迷路のような道に密集する古い家々。もっと地震の被害を意識した建築物や避難場所を考慮すべきではないか』と述べている。

 入選の平本潤(文京区立第九中学校2年)さんは、阪神地方を襲った大地震を体験している。それよりも大きな地震が日本一の都市である東京にかならず起こる。明日やってくるかもしれない。阪神よりも東京は人口や電車や高層ビルが多い、こんな場所に大地震が来ると思うと、ぞっとする、とつづった。

 それは平本さんのみでなく、今の中学生が将来きっと体験するだろう恐怖なのである。芳野汐理(羽村市立羽村第一中学校2年)さんは、『自然災害のなかで、とくに地震は怖いと思います。何の前ぶれもなくゆれ、私たちは何もすることができない。なすすべもなく、目の前で沢山のものが崩れ去っていくのを見ているだけ。もしかしたら、自分にふりかかってくるかもしれない』と、安心できない危険な建物が都市の中に限りなくあると推量しているのだ。

 増田恭子(白百合学園中学校1年)さんは、文部科学庁が発表した、30年以内に東京や東海地方で、震度6以上の大地震がくる確率がほぼ100%だと予想を引用し、想像もつかない大混乱を、わが身も体験すると同様の恐怖を述べている。

建設業界の良心とは?土木業界の「安全第一」を見習え
 建築業界は天災免責を利益追求に利用し、若者の将来に対して、「大地震でマンション倒壊して、下敷きで死んでもしかたないんだよ、天災免責だから、ごめんね」という、負の財産を街なかに残してきたのだ。

 戦前戦後の一時期は、ダム現場やトンネル現場となると、多少の死者が出ても国家事業だからしかたない、という暗黙の了解があった。土木業界はそこからの脱却を図ってきた。安全第一、労災を起こさない、という人命尊重にむかって永年にわたり取り組み、ずいぶん成果をあげた。

 建築業界も、大地震は災害だから住民は死んでもしかたない、という天災免責に甘えないで、耐震性の構造計算ねつ造事件を契機に、「大地震でも、ひとりも犠牲者を出さない。蔓延する手抜き工事を排除する」という犠牲者ゼロ運動の機運を高めてほしい。ハードルが高くても、それを推し進めれば、業界への不信が拭われ、一段と高い技術革新が生まれてくる。

 それがわが子や次世代に対しての、建築業界の良心ではなかろうか。【了】

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※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 穂高 健一

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