睡眠時間はそれなりに取っているはずなのに、朝目が覚めたときに疲れやだるさに見舞われる…なんてことが日常茶飯事の人も多いのでは? もちろん個人差はあるけれど、実は必ずしも「長く寝ればすっきり起きられる」とは限らないんだとか。その5つの理由を、医師であるダビンダー・ガルチャ氏が、<Good Housekeeping>に説明してくれました。

1.心理的な疲れ

「ストレスや不安は疲れにつながりやすく、イギリスのメンタルヘルス財団が実施した調査によると、イギリスの人口の約3分の1が、仕事や経済的な不安からくる不眠症に陥っていると言います。これは必ずしも睡眠不足を意味しているわけではなく、“質の良い睡眠”が不足していることを指す場合も多いのです。睡眠というのはいくつかのプロセスや段階によって構成されており、“質の良い睡眠”とはノンレム睡眠(深い眠り)を含む各段階において、十分な眠りの質が保たれていることを言います。不安やストレスはこういった睡眠パターンに悪影響を及ぼし、特にノンレム睡眠の状態を妨げると言われています。従って、日々の心配事を解消することにより、安眠が手に入る可能性が高くなります」

2.食生活やライフスタイル

「夕方以降の過度なアルコール摂取や糖分の摂り過ぎは、多くの場合ノンレム睡眠を邪魔し、しっかりした眠りを妨げると言われています。つまり、翌日どうしても疲れが残ってぐったりとしてしまうわけです。2016年にコロンビア大学で行われた調査では、糖と飽和脂肪が多く、食物繊維が少ない食習慣を送っている人は、その逆の人と比べて睡眠が浅く、疲れが取れにくいということが分かりました。従って、食物繊維をより多く摂取し、甘いもの、アルコール、飽和脂肪の多い食べ物を減らした食習慣に努めることにより、疲れが解消されやすくなるでしょう」

3.腸内フローラの乱れ

「腸内フローラ(腸内細菌叢)は私たちの健康において非常に重要です。もちろん睡眠にとってもです。腸内フローラはリラックス効果をもたらすホルモンや神経伝達物質を作り、またストレスホルモンであるコルチゾールを減らす役割を担っています。そのため、腸内フローラが乱れると(例えば抗生物質の飲み過ぎや、腸の炎症による腹痛時など)睡眠にも悪影響を及ぼします。腸内フローラを整える簡単な方法は、プロバイオティクスを含む食品やサプリメントを摂取することです」

4.鉄欠乏性貧血

「鉄分不足による貧血は、疲れの蓄積やエネルギー不足と深く関連しています。これは病院で診察や血液検査をしてもらえばすぐに分かります。鉄欠乏性貧血の疑いがある人には一般的に鉄分を補給するサプリが処方されますが、それ以外にも鉄分を多く含むケールなどの葉野菜や、肉や豆類を食べるようにするといいでしょう」

5.慢性疲労症候群(CFS)

「慢性疲労症候群は女性に多く見られる病気で、主な症状としては、過度の疲労感と長期にわたる体の不調です。イギリスでは人口のわずか0.4%にしか認められておらず、原因もはっきりしていませんが、細菌感染、ホルモンバランスの乱れ、メンタルヘルスの問題などが可能性として唱えられています。CFSの治療法の1つとしては、セラピストと話し合いをしながら自分の病状を理解していく認知行動療法が挙げられます」

これらの中で思い当たるものがある人は、かかりつけの医師や薬局に、アドバイスをもらいに行ってみてはいかがでしょう。

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: 名和友梨香

GOOD HOUSEKEEPING