目標はアニメのヒーローたち。余分な脂肪をつけぬよう、プロトレーナーが実践している食事法とは
アッパー層の男性ほど、ストイックに身体を鍛えている。
鍛えれば鍛えるほど、結果が見えるのが筋トレ。
浮かび上がるシックスパックに、盛り上がる上腕二頭筋、甘美な陰影を描く広背筋…。
筋肉が成長する過程に、男たちはヤミツキになるという。
ならば、止まらない筋肉への情熱を、聞いてみよう…。
前回は、甘いマスクのドクターを紹介した。さて、今回は…?
【今週の筋トレ男子】
名前:竹川圭祐さん(34才)
職業:パーソナルトレーナー
身長/体重/体脂肪率:170m/59kg/10.5%
筋トレ歴:14年
通っているジム:なし
交際:既婚
ブログやネットより紹介。信用される人間であること
目黒駅から徒歩3分の場所にある、タワーマンションの1室。
広さ42平米の空間に置かれているのは、少数精鋭のフィットネスマシーンの数々。ここで紹介制の完全プライベートジムを経営しているのが、トレーナーの竹川圭佑さんだ。
彼がこのジムを立ち上げたのは、29歳のとき。6年間、加圧系のトレーニングジムで経験を積み、安定した毎日を送ってはいたが、「今、攻めないと、このまま“雇われトレーナー”で一生終わってしまう」と奮起。
「29歳ならまだ失敗してもやり直せるかな、と。あと、どこかでぬるま湯から脱しないとダメだな、っていう気持ちがあったんです」
とはいえ、賃貸でのスタートではなく、物件購入からスタートしたというから、思い切りがいい。1LDK、42平米、当時で3,600万円だった。
「購入資金は、それまでの貯金でなんとか。駅近物件にしたのは、いつか売るときのことも考えてのことですね。独立して1〜2年目は、柔道整復師の資格取得の勉強も並行していたので、かなり大変でしたけど…(苦笑)。でも3年目には、おかげさまで安定しました」
20代に思えるほど若々しいルックス
現在はここで60分¥7,000のパーソナルトレーニングを行うほか、週1回は埼玉の病院に出向き、リハビリを含めた運動療法の指導も行っているという。
ちなみにこのジム、名前がない。
屋号に特別な想いを込める起業家や経営者が多いのとは真逆。「え、名前ですか? んー、じゃあ竹川ジムで(笑)」というほど、あっさりした回答だった。
名前にこだわらない。その理由は、名前などなくても自分が看板だという自信があるのだろう。それを裏付けるように、彼の顧客のほとんどは紹介から。
「ブログやネットもやってはみたんですけど、圧倒的にお客様からの紹介で来ていただき、通ってくださる方ばかりで。一番長いお客様で12年ですかね。ありがたいです」
もうひとつ、面白いのが竹川さんのトレーニングを受ける客の7割は女性だという事実だ。
ガチマッチョより細マッチョ、というのが女性の理想
自身の体がブランディングの一部
これまでの筋肉男子が皆一様に、「トレーナーは、自分がなりたい体のお手本となる人を選ぶ」、「大会の優勝経験者に教えを請いたい」と語っていたが、彼らのような本気のトレーニーは、あくまでも「フィットネスの世界では、特殊な部類」だという。
「僕の女性のお客さんのほとんどは、OLさんから経営者まで職種は多種多様ですけれど、大会を目指すとか、そういった方はいないです(笑)。 “姿勢を良くしたい”、“体幹を鍛えたい”、“年を重ねてもきれいな体を保ちたい”といった、日常生活の延長の中での美を求めていらっしゃるというか。だから僕自身がガチガチの大きなマッチョになる必要もないんです(笑)」
Tシャツを脱ぐと決して細くないことがわかる
とはいえ、何もしなくていいというわけではない。
「トレーナーである以上は、ある程度の見た目は大事ですけれど、それよりも僕が大事にしているのは強度などをきちんと把握しておくこと。いろんなお客様がいるので、その方にあった負荷のかけ方、強度を提案していくためには必要不可欠なんです。だから、自分のトレーニングはそのために行っていますね」
その強度や負荷を確かめながら自身で行うトレーニングは週2〜3回ほど。ジム内で行うこともあるが、気分転換に外へ出て坂道ダッシュをしたり、有名ジムにビジターとして入り、最新マシーンを偵察することもあるという。
「食生活は特に規制はかけてないです。昼に大盛りをお願いすることもありますし(笑)。柔道整復師の資格を取得する際、栄養学や生理学も勉強して、ダイエットに関する知識はあるので、食べ過ぎたら修正するくらいです」
その言葉とおり、毎日の食事はこんな感じだという。
朝7:00/白ごはん1杯、納豆、玉子
昼13:00/ステーキや鮨、ラーメンなど気分でチョイス
夜18:00〜21:00のどこかで/刺し身や焼き魚
「さすがに夕飯で炭水化物は摂らないですよ。外食であれば、不動前の『焼き肉しみず』、中目黒の『魚いち』で肉と魚をメインにたんぱく質を食べるようにしています。アルコールは体質的に飲めないから、体にはいいかもしれません(笑)」
ジムでは有機亜麻仁油なども販売
軽やかな竹川さんの話を聞くと、スタイルキープはごく簡単なように思えるが、その裏では実に細やかな修正を行っているとか。
「余分な体脂肪はつけたくないので、脂質コントロールだけはかなり気をつけています。乳製品、揚げ物、ナッツ、アボカド、フルーツ類は絶対ダメではないですけど、タイミングを見て摂るようにしたり」
どうしてもジャンクフードが食べたい!!という衝動にかられたときには、トレーニング前に食べることにしているそう。
「エネルギー源としてすぐに使えば、脂肪として体につくことはないので、食べたら動く!(笑)。食事に関しては、本当に日々の小さな積み重ねだと思いますね。だって、食べた翌日にいきなり1kg増えるなんてこと、ありませんよね。太るというのは、蓄積の結果。だから、日々修正、修正です」
イチローを尊敬するその理由とは?
自身が鍛えることも仕事の一部である竹川さん。仕事以外で体を鍛えるモチベーションとなっているものは、あるのだろうか。
「純粋に俊敏に動ける体でいたいし、なりたいんですよね。すごく漠然としてますけど、例えるならバットマンとかドラゴンボールとか、アニメの主人公のような動きをイメージしてもらったら、わかりやすいかな(笑)」
重りを腰から下げて懸垂
もうひとつは、NBAのスーパースター、レブロン・ジェームズのようなケガをしない体だという。
「学生時代からバスケットボールを8年やっていたんですが、足首の故障で続けられなくなって。今思えば、土台作りのトレーニングが足りなかったなってわかるんですけど、当時はただ闇雲に体を動かしていただけで、意味あるトレーニングじゃなかったんですね。だから、彼のように怪我なくずっと現役でプレーし続けられる一流選手って、すごいんですよ(笑)。イチローもそういう意味では、同じように尊敬してます」
無駄な脂肪は少しもない
太く大きいのが筋肉だけではない。無駄なく俊敏に動ける体を支えるものもまた、筋肉。それを竹川さんは教えてくれた。
ーFin.