隠さずに言葉にしたら、夢はきっと叶うんだ。町田啓太、躍進の1年の裏で芽生えた変化

「じゃあ今度は上着を羽織ってもらえますか」。撮影中、カメラマンが声をかけた。

リクエストに応え、颯爽とジャケットを翻すも、袖を通すときに少々腕が引っかかり、「あんまり上手くできなかった……」と照れ笑い。端正な顔立ちに、そんな等身大の一面が覗き見えて、ついキュンとしてしまった。

町田啓太の2018年を語るなら「大躍進」の一言だろう。

大河ドラマ『西郷どん』、『女子的生活』から『中学聖日記』まで話題のドラマに次々と出演。世代を問わず多くの女性たちをときめかせ、ファン層を一気に拡大させた。

疾風怒濤で駆け抜けた1年を振り返り、彼は何を思うのだろうか。

撮影/川野結李歌 取材・文/横川良明
スタイリング/平松正啓(Y's C) ヘアメイク/鵜飼雄輔(TRON)

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自分の道はこれで正しいのか――20代後半は自問自答の時期

町田啓太の2019年は、『連続ドラマW 盗まれた顔 〜ミアタリ捜査班〜』からスタートする。「見当たり」とは、指名手配犯たちの顔を記憶し、雑踏の中から見つける捜査手法のこと。町田は、見当たり捜査班の一員・谷 遼平役を演じる。
第1話を拝見しました。個人的に人の顔を覚えるのが苦手なので、みなさんスゴいなと驚かされました(笑)。
本当ですよね(笑)。僕も何となくは覚えられるんですけど、顔と名前を一致させるのが苦手で。撮影中に、カードゲームみたいな感じでどこまで覚えられるか試してみたんですけど、顔と名前までは頭に入っても、何の罪で指名手配されているかまでは覚えきれなくて……。彼らの記憶能力は一種の特殊能力なんだと実感しました。
そんな見当たり捜査にスポットを当てたのも面白い切り口ですよね。
普通に街を歩いていても、友達を見つけるのだって大変じゃないですか。それなのに彼らは何百という顔を記憶して、日夜路上をまわって犯人を見つける。その能力と集中力はスゴいですよ。そりゃ夢にいろんな顔が出てくるだろうと(笑)。
谷 遼平を演じる上で心がけたことを聞かせてください。
撮影前に監督の武(正晴)さんといろいろお話をさせていただいたんですが、その中で印象的だったのが、谷はすごくフラストレーションをためている青年という話でした。

僕もそうなんですけど、谷のような20代後半から30歳になるぐらいって、ある程度仕事がこなせるようになってきて、後輩もできて、自分の道も何となくわかる時期。

その一方で、周りの同世代を見たら転職したり起業したりする人も出てきて。本当に自分の道はこれで正しいのかって、自問自答することがけっこうあると思うんですね。
わかります。すごく悩む時期ですよね。
そういう鬱憤のたまっている世代の代表として、谷を演じてほしいって武さんから言われて。だから、最初からどんどんフラストレーションをためていくことを心がけながら、現場に臨みました。

苦しいとき、HIROさんの言葉が背中を押してくれた

谷はスランプに苦しむ役どころですが、町田さんはそうした壁に直面したことは?
毎回、壁だらけです(笑)。新しい作品に入るときはいつも壁を感じるし、挑戦しなきゃっていう気持ちもある。

振り返ってみると、人生っていろんな転機があるじゃないですか。僕は中学まで地元の群馬にいて、高校に進学するタイミングでひとり地元を離れて、石川の航空高校に進んだんですけど、その選択からすでに転機だったと思うし。
なるほど。
ダンスを始めたときも、体育大学に入ったときも、事務所に入るときも、常に転機の連続。そのたびにいろんな壁にぶち当たってきました。

若いうちは、面白そうってだけで何でも飛び込めるんですよ。でも、年齢を重ねるにつれて、徐々に昔のような勢いがなくなっている自分もいて。そういう変化に壁を感じることもあります。
それこそ谷にとっての安藤(演/内田理央)のように優秀な後輩が出てきて、焦りや嫉妬を感じる場面も出てきますしね。
もちろんそういうのもあると思います。ただ、こうやって考えてみると、一番の大きな壁と言ったら、20代前半。役者業に専念すると決めたあの瞬間が、一番大きかったかなという気がします。
町田さんは、GENERATIONSの候補メンバーに選ばれながらも、怪我でダンサーとしてのキャリアに区切りをつけ、役者業に邁進することになりました。決断のときは悩みましたか?
まだ20代前半だったのでかなり苦しかったです。どうするのが正しいのか、いろんな方に相談して。周りの人の支えがあったから乗り越えられたという感じです。
中でもとくに心に残った言葉は?
HIROさんの「人生1回だから」という言葉が刺さりましたね。その言葉のおかげで、「一度きりの人生、尻込みしててもしょうがない。思い切りやろう!」って気持ちを切り替えることができました。

俳優・町田啓太の強みは「やってみようという挑戦心」

傍目から見ていると、町田さんにとっての2018年は躍進の1年だったように思います。
いろんな方からそういう言葉をかけていただいて、本当にありがたいことなんですが、僕自身はあまり実感がわかないというか。やっていることは、カメラの前に立って役を生きるだけなので、あまりピンと来ないんです。

ただ、今までやりたいと思っていた作品や作風にたくさんめぐり会うことができた。そういう意味では、とてもありがたい1年だったなとは感じています。
2017年と比べて、自分の中で変化しているところはどんなところですか?
今までずっと、自分からはやりたいことを言わなかったんですね。心にしまって、気持ちをためておいたほうが自分も頑張れるし、叶うのかなという気がして。でも、ちゃんと言葉にしたほうが叶うんだと、この1年で実感しました。
それはどうして?
ずっと時代劇をやりたいと思っていて、「時代劇やりたいです」って言い続けていたら大河ドラマに出させてもらえたり。劇団EXILEとしても何かひとつの作品をやりたいよねって話をしていたら、映画『jam』が公開になったり。そういうことが続いたのが大きかった気がします。

言葉にしたほうが意志も伝わるし、熱量も届く。何より、自分で言ってしまった以上、やらなきゃという気持ちにもなれますしね。やりたいことは口にしていいんだと思えるようになった1年だったのかもしれません。
それは、自分に自信がもてたから言えるようになった、というのもあるのでしょうか?
いや、自信は今もまったくないです(笑)。いろいろ経験を積み重ねていくうちに、いずれついてくればとは思っているんですけど……。もっと自信をもちたいですね。
では、俳優・町田啓太の強みって何だと思いますか?
自分のことってなかなかわからないんですけど、さっきも話した通り、わりと興味や好奇心にしたがって選択することが多くて。航空高校に行ったのも体育大学に行ったのも、面白そうだなっていう興味がキッカケ。新しいことをやってみたいという気持ちは、人より強いのかもしれません。

そういう意味では、俳優って新しい出会いがいっぱいの職業。新しい作品と出会い、新しい現場に入り、新しい共演者さんやスタッフさんと力を合わせて、新しい作品をつくっていく。何でもいいからまずやってみようという挑戦心は、俳優業をやるうえで強みになるのかなって気がします。
興味や好奇心が強いのは、昔から?
昔からです。地元が1学年1クラスしかないような田舎で、狭い世界で生きているなって感じることが多かったんです。
だからこそ、広い世界が見たかった?
だと思います。僕自身、凝り固まった性格だから、余計にそう強く意識していたのかもしれません。今も全然違う業界の方のお話を聞くのが、すごく楽しくて。それも世界を広げたいという気持ちがあるからなのかなと思います。

気を張っても疲れるだけ。今は自然体でいたい

今回の『盗まれた顔 〜ミアタリ捜査班〜』での新しい出会いや経験と言えば?
まず「ミアタリ捜査班」っていうのが新しいですし、監督の武さんはこれまで『百円の恋』などを手がけられたスゴい方。僕も作品を観させていただいていて、あの映画人の武さんがドラマを撮ること自体、新しいなと思いました。

あとはやっぱり共演者のみなさんですね。今回は初共演の方ばかりだったので、すごく新鮮でした。
主演の玉木 宏さんはどんな方でしたか?
僕は現場でわからないことがあると、ついいっぱいいっぱいになってしまうんですけど、玉木さんはいつも落ち着いていらっしゃって。静かで淡々としたその佇まいがカッコいいなと思いました。
真ん中に立つ人間の風格がにじみ出ているんですね。
でもだからといって、「俺が引っ張るぞ」っていう感じでもなくて。スタッフさんへの細かな気遣いも欠かさないですし。同じ男として純粋にカッコいいなと思わせてくださる方でしたね。
玉木さんをはじめ、これまで多くの先輩俳優の背中を見てきて、自分もこうなりたいという理想の役者像は見えてきましたか?
みなさんそれぞれに素敵なところがあって。だからこそ、僕は僕なりにちゃんと邁進していけたら。あまり、こうなりたいとか、あんな人みたいになりたいというのはないかもしれないです。
大切なのは、自分らしく、飾らずに。
気を張ってても自分が疲れちゃうし、見ている人にもストレスをかけちゃう。だからなるべく普段から自然体でいたいんです。
そんなふうに考えるのは昔からですか?
昔はめっちゃ気を張ってました(笑)。それこそ、「こうしなきゃ」っていうのがいっぱいありすぎて、誰かの話を聞くときも肩に力が入りすぎていた。でもそれじゃ相手も肩に力が入っちゃうし、それはあんまり有意義じゃないなって、ここ数年のあいだで思うようになって、そこからはなるべく普通でいることを心がけています。
気持ちにゆとりが出てきた?
少し広い目で自分を見られるようになってきたのかな、という感じはあります。そんなこと言っても、まだまだ狭いんですけどね(笑)。

完璧に見えるけれど…意外とお酒の場での失敗が多い

じゃあ、ここからはもう少しライトな話題を。見当たり捜査はズバ抜けた相貌識別能力が武器ですが、町田さんの何気にスゴい特技といえば?
何ですかね……。(ちょっと考えて)……三枚舌ができるとか(と、口の中で舌を三段に重ねてみせる)。
スゴい!! どうやってるんですか?
わからないです。小学生か中学生のときに遊んでたらできるようになって。すごくどうでもいい特技なんですけど(照)。
でも、やってる姿がめちゃくちゃ可愛いです。
記事で全然伝わらないんですけど(笑)。ぜひ想像していただいて。
もしかして、サクランボのヘタを口の中で結ぶのも…。
(即答で)できます!
ということは、試したことがあるんですね(笑)。
田舎ってやることがないんで(笑)。ゲーセンもないし、そういうしょうもない遊びばっかりやっていました(照)。
では、次の質問を。今回のドラマは小説が原作ですが、町田さんは普段から読書はされますか?
たまにですけど、しますね。最近だと『アミ 小さな宇宙人』とか。あとあれも読みました、『大家さんと僕』。すごい好きでしたね。
本を選ぶ基準はありますか?
本当に感覚で。だから何でも読みますよ、住野よるさんのようなラブストーリーも読みますし、伊坂幸太郎さんのようなミステリーも好きですし。
映画もよくご覧になっていますよね。
そうですね。時間ができたら映画館に行ったり。見逃したものは配信でチェックしたり。
それはお仕事の一環として? それとも単純に好きで?
もちろんインプットの部分もありますけど、単純に好きだから観るっていう感じですね。
なるほど。勝手なイメージですが、町田さんはめちゃくちゃパーフェクトな人という印象があります。
(即答で)それはまったくないです(笑)。
じつは抜けてるところもあったり…?
いっぱいありますよ。よく忘れ物もしますし。家の鍵を忘れることもあります(笑)。
最近の失敗談があればぜひ教えてください。
それこそ、撮影のあいだに玉木さんとごはんに行かせていただいたんですよ。途中までは普通に飲んでいたんですけど、楽しすぎたのか急に酔いがまわってきて、気づいたらトイレの中で寝てました(笑)。
えー! 玉木さんがいるのに…(笑)。
そうなんです! お酒が弱いわけではないんですけど、いきなり動けなくなっちゃって。結局、そのときは玉木さんが起こしに来てくれたんですけど、本当に申し訳ないことをしたなと…(苦笑)。

そういう話で言えば、21歳ぐらいのときかな、事務所のみなさんに誕生日をお祝いしてもらったんです。そしたら(EXILEの)ATSUSHIさんが歌いながら誕生日ケーキを持ってきてくださって。
素敵!
でも、僕、そのとき酔っ払ってトイレで寝てて(笑)。もうみんな「アイツどこ行った!?」って大騒ぎ。せっかくATSUSHIさんがサプライズしてくださったのに、あれはもう大失敗でした(笑)。

20代のうちにスカイダイビングに挑戦したい!

お忙しいと思いますが、まとまった休みがもらえたら何をしたいですか?
スカイダイビングとかスキューバダイビングとか、やったことのないことに挑戦したいですね。あとは海外旅行とか。
2017年のインタビューでも、スカイダイビングをやりたいとおっしゃっていましたね。
そうなんです。まったくできていないんです(笑)。
それは単純に忙しくて?
いや、行動力の問題です。時間なんてつくろうと思えばつくれますから。一緒に行ってくれる友達がいたらいいんですけどね、なかなか時間も合わないし。ひとりじゃなかなか行動に起こせなくて、結局やらずじまいになってます(笑)。
海外はどこへ行きたいですか?
ヨーロッパへバックパッカーをするのもいいですし、アメリカもハワイしか行ったことないので、ニューヨークとかロスとか行ってみたいですね。オーストラリアも興味あるし。行けるならどこでも行きたいです。
普段からあまり旅行をされるタイプではないですか?
あんまりですね。劇団EXILEのメンバーでBBQに出かけたりとか、あとは群馬に帰ってのんびり温泉に入ったりとか、出かけると言えばそれぐらいで。ひとり旅とかもしたことがなくて。なので、もっと遠くへ行ってみたいです。
いよいよ2019年ですが、新年の抱負を聞かせてください。
そうですね。ここ最近、わりと好青年の役どころが続いていたので、次は全然違う町田の腹の中を見せられたらなと。
じゃあ、私たちの知らないブラックな町田さんを見られたり?
いや、腹の中を開けたら、もっとホワイトな僕がいるかもしれません(笑)。

それは冗談として、2018年、たくさん挑戦させてもらえたぶん、また自分の中で新しい欲がわいてきていて。これまでとはまた違う作風の作品に挑戦してみたいし、今まで演じてこなかったような役柄にも挑戦していきたい。できる限り新しいことにチャレンジできる年にしていければと思っています。
楽しみです! では最後に、もうすぐ30代ですが、20代のうちにやっておきたいことは?
スカイダイビング!
早く行ってください(笑)。
そうですね(笑)。
「やりたい」と言い続けていたら、お仕事で行かせてもらえたりするのでは?
あ、ある芸人さんに聞いたら、「やりたい」って言うと来ないらしくて。「やりたくない」って言っていると、お話が来るそうなんです。だからこれからは「やりたくない」って言っていこうかな(笑)。
町田啓太(まちだ・けいた)
1990年7月4日生まれ。群馬県出身。O型。2010年8月、第3回劇団EXILEオーディションにて合格。同年12月、舞台『ろくでなしBLUES』で俳優としての活動をスタートさせる。主なドラマ出演作に大河ドラマ『西郷どん』(NHK)、ドラマ10『女子的生活』(NHK)、『ラストチャンス 再生請負人』(テレビ東京系)、『中学聖日記』(TBS系)など。映画出演作に『OVER DRIVE』、『jam』など。2019年は、映画『二階堂家物語』、『PRINCE OF LEGEND』、『L♥DK ひとつ屋根の下、「スキ」がふたつ。』の公開が控えている。

「2019冬のドラマ」特集一覧

出演作品

『連続ドラマW 盗まれた顔 〜ミアタリ捜査班〜』
1月5日(土)スタート
毎週土曜よる10:00から、WOWOWにて放送 ※全5話。第1話無料放送
https://www.wowow.co.jp/dramaw/kao/

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、町田啓太さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2019年1月5日(土)12:00〜1月11日(金)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/1月12日(土)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから1月12日(土)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき1月15日(火)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
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