PlayStation4用ソフト『JUDGE EYES:死神の遺言』のパッケージ/筆者撮影

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 近年はSNSの充実で、地方からも全国的な人気を獲得するコンテンツが誕生している。これからも確実に地方からスターは生まれ、それらの命は、東京のエンタメ観では見つけられない場所で産声をあげています。そんな輝きや面白さを、いち早く北海道からお届けします。(北海道在住フリーライター/乗田綾子)

【写真】風俗店やナカイの看板の前で自撮りするキムタク

 気づけばもうすぐ今年も終わり。平成最後と、いつになく世間が沸き立っている中、密かに注目を集めていたあるゲームソフトが、ついに発売日を迎えました。

 木村拓哉が主人公・八神隆之を演じているPS4用ソフト『JUDGE EYES:死神の遺言』。累計出荷本数1100万本を超える超人気ゲームシリーズ『龍が如く』のスタッフたちが制作を手掛け、東京の大歓楽街・神室町を舞台に主人公が連続猟奇殺人の謎を追っていくという、本格的なリーガルサスペンスゲームです。

「キムタクがゲームの主人公になる」。そのあまりのパワーワードっぷりに、ソフトの発売前は、必ずしも好意的な反応ばかりではなかったというのが正直なところ。

 しかし、いざ発売日になると「キムタク」はこんな感想とともに、まさかのトレンド1位を獲得します。

 “キムタクが、キムタクすぎて面白い”

 なぜ、木村拓哉出演のゲームソフト『JUDGE EYES:死神の遺言』はここにきて前評判を大きく覆してきているのか?

 普段からテレビゲームを趣味とし、そして生粋のSMAPファンでもある筆者が、プレイレビューとともに、その魅力に迫ってみたいと思います。

魅力その1 キムタク人気ドラマの大鉄則を踏襲した「主人公像」

『JUDGE EYES:死神の遺言』の舞台は、妖しくも魅力的な人々が集まる大歓楽街、東京・神室町。木村拓哉が演じる元弁護士の探偵・八神隆之は、ある事件をきっかけにこの街で小さな探偵事務所を開きます。

「法律の専門知識を持ちながら、何よりも人情を優先し、街の人のどんな依頼にも親身になって応えていく」。

 この人物像はもちろん設定の細かな違いはあれど、どこか「テレビドラマの木村拓哉」を、ふと思い出しはしませんか?

 例えば、筆者がプレーしていてなんとなく思い出したのは、木村拓哉の主演作『HERO』(フジテレビ系)。

 それこそ『JUDGE EYES:死神の遺言』の主人公と同じように、木村拓哉が法律の専門知識とともに自分の信念を貫き通す男性を演じ、『HERO』はドラマ史に残る大ヒットとなりました。

 また、ミステリアスな街を颯爽(さっそう)と駆け抜ける主人公を見て、同じく人気ドラマ『ギフト』(フジテレビ系)を思い出したという人もいるかもしれません。

 もしくは身ひとつで敵と戦う激しいアクションに、出演最新作である『BG〜身辺警護人〜』(テレビ朝日系)を思い出した、という人もいたかもしれません。

 そんなふうに、きっとここ20年のテレビ視聴者であれば、誰しもひとつくらいは、強固な「テレビドラマの木村拓哉」のイメージを持っていると思います。

 それらを木村拓哉初のゲーム化に際し、主人公・八神隆之のキャラクターに自然と重ねた『JUDGE EYES:死神の遺言』。

 キムタクの人気ドラマの大鉄則から外れない主人公像を、ゲームでもしっかり立てていることで、長らくドラマを見てきたユーザーたちは、この魅力あるゲームの物語にも、始まりからごく自然に入っていくことができています。

魅力その2 「キムタク」を自由に動かせる痛快さ

「キムタク」といえば、基本はテレビドラマの中の人。さらにいえば検事、パイロット、財閥の御曹司、内閣総理大臣……と演じる役職も豪華で、まさに“手の届かないザ・スター”という距離感で、視聴者はずっと見てきました。

 しかしこのゲームが、なんともセンセーショナルだったのは、まさかのキムタクを、「ボタンひとつで操作できてしまう」点。

 話す、走る、敵を倒すといった基本動作だけにとどまらず、ご飯を食べる、麻雀で遊ぶ、物を壊す、変装する、自撮りする、そしてしまいには「キムタクを風俗に行かせる」ことすら、プレイヤーは自由にできてしまいます。

 PS4にはプレイ画像をSNSへ簡単に投稿できる機能もついているため、Twitterには発売当日から「ヤクザの事務所を身体ひとつで破壊するキムタク」「コンビニで大暴れするキムタク」「人妻ヘルス65分コースで嬢を待つキムタク」などの様子が投下され、次々と未プレイ者の度肝を抜きました。

 思わず「よくOKが出たな」と言ってしまいそうな遊ばれっぷりですが、当のご本人は、メイキング映像であっさりとこう発言しています。

「自分(木村拓哉)に対して“面白そうじゃん”って思ってくれる方たちには、単純にコントローラーを手にして、オレを好き放題動かしてくださいって思います」

「ぜひ今回ならではの空間、時間を過ごしてほしい」

(いずれも『JUDGE EYES:死神の遺言』木村拓哉メイキング映像 龍が如くスタジオ 公式 YouTubeより)

魅力その3 小ネタの中にある“隠れSMAP”

 実在の店舗がコラボ企画としてゲーム内に登場したり、本筋とは関係ないネタ的サブイベントが大量に用意されていたりと、大元の『龍が如く』シリーズはそんな“脱線”も人気の理由のひとつとなっています。そしてその遊び心は、この『JUDGE EYES:死神の遺言』でももちろん健在とのこと。

 それなら、もしかして“隠れSMAP”ネタはないだろうかと、実際に探してみると……。やっぱりありました、ビルの看板に「質 高価買取 ナカイ」。

 また「ナカイ」ほど直接的な表現ではないものの、他にもこれはSMAPネタなのでは……というポイントが、ゲーム内にはいくつか見受けられます。

 たとえば主人公の八神が何度も行き来する神室町内の大画面モニターにて放映されている、“3つの映画”の予告編(内容はゲームにてご確認を)。

 また2章の終わりごろに見られるキムタクのある華麗なアクションも、実は“隠れSMAP”をじゅうぶん思わせる要素。ヒントは「さすが〇ケートボーイズ!!!」(これも気になる方は、ぜひゲームにてご確認ください)。

初心者も心配なく楽しめる

 SNSの反応などを見る限り、今回の『JUDGE EYES:死神の遺言』に関して、おそらく一番評価が変わったのは、純粋にソフト内容を吟味する既存の熟練ゲーマーたちだったのではないかと思われます。

 あのキムタクを動かせるという痛快さから始まり、気づけば骨太なサスペンスストーリーに引き込まれて「想像以上に面白い」「神ゲー」との感想を残している人が、SNSでは発売日以降、とにかく多く見受けられます。

 また今回、「ゲームはやったことないけど木村くんが出るから……」と初めてPS4&ゲームソフトを手にしたであろう木村拓哉ファンにも、内容は想像以上に好評です。

 ゲーム初心者には一見、敷居が高そうに見えるアクションゲームですが、初めてゲームに触れる人のために難易度「EXTRA EASY」が用意され、ゲーム初体験の人でもストレスなく、物語の謎解きを楽しむことができるようになっています。

 ゲーム機の高性能化に伴い、ヘビーユーザーとライトユーザーの差が年々広がり、両者がなかなか簡単に交わることができなくなってきている、昨今のテレビゲーム。

 しかしそのこんがらがった難しさを、いわば「キムタク」の名前ひとつで軽く飛び越えてしまったのが、この『JUDGE EYES:死神の遺言』という存在だったのではないでしょうか。

 木村拓哉はやっぱりゲームにおいても国民的大スターなんだなぁ。キムタクドラマで育った私はゲームで遊びながら、年の瀬にひとり、しみじみ感じ入るのでありました。

乗田綾子(のりた・あやこ)◎フリーライター。1983年生まれ。神奈川県横浜市出身、15歳から北海道に移住。筆名・小娘で、2012年にブログ『小娘のつれづれ』をスタートし、アイドルや音楽を中心に執筆。現在はフリーライターとして著書『SMAPと、とあるファンの物語』(双葉社)を出版している他、雑誌『月刊エンタメ』『EX大衆』『CDジャーナル』などでも執筆。Twitter/ @drifter_2181