2.5次元舞台か否か、区分けするのはナンセンス。三浦宏規がファンに見せたいもの

19歳――まだあどけなさを残しているような、けれどもたくましさが覗きはじめる伸び盛りの年齢だ。ミュージカルの金字塔『レ・ミゼラブル』(=レ・ミゼ)のオーディションに一発合格した三浦宏規は、最年少で青年マリウス役を演じる。クラシックバレエ、2.5次元舞台の世界で目覚ましい活躍を見せてきた彼が、新しい環境でどんな成長を見せるのか――。

ミュージカル界には、知る人ぞ知る魅力的な存在がまだまだいっぱい! そこで、ライブドアニュースでは、「ミュージカルの世界」特集と題して、今注目の、ミュージカル界の逸材たちをご紹介する。

撮影/笹井タカマサ 取材・文/片桐ユウ 制作/アンファン

「ミュージカルの世界」特集一覧

後先考えずに突っ走るところは、マリウスと似ている

2019年4〜5月帝国劇場にて上演されるミュージカル『レ・ミゼラブル』。新キャスト発表記者会見の直後にお話をお聞きしますが(※取材が行われたのは10月上旬)、きょうの朝は早かったですか?
はい。僕のもっとも苦手とする早起きから1日が始まりました(笑)。案の定、全然寝られずに……まあ、何もなくても寝付きが悪いので睡眠は浅いタイプなんですけど。きのうの夜もなかなか寝付けず、気が付いたら朝になっていて「ああ、行かなアカン……」と。
会見では寝不足な様子など一切感じさせず、スーツ姿もビシッと決まっていらっしゃいました。
いやあ、着慣れないです。首が詰まって仕方ない。正直、だいぶキツい!(笑)でもなかなか着ない格好なので、こうした大事な機会に新しいスーツを着ることができてありがたいです。
マスコミや関係者の他にも、抽選で選ばれた約300人のオーディエンスが会見に駆けつけました。壇上から見た会場の雰囲気はいかがでしたか?
最初はすごく緊張していたんですけど、伊礼彼方さん(ジャベール役)や(トレンディエンジェルの)斎藤 司さん(テナルディエ役)が場を和ませてくださったので徐々にほぐれました。楽屋でも小野田龍之介さん(アンジョルラス役)はじめいろいろな方とお話させていただけたので、楽屋入りのときよりは多少穏やかな気持ちで上がることはできていたんですけど。
小野田龍之介さんや伊礼彼方さんは、ミュージカル『テニスの王子様』の先輩でもありますが、共演は初めて?
初めてです。でも小野田さんとは、僕が出演していたミュージカル『テニスの王子様』を観に来てくださっていたときにお話させていただいていました。伊礼さんとは、僕が『ジャージー・ボーイズ』を観劇したときにご挨拶させていただきました。

それから、アンジョルラス役の相葉裕樹さんや同じマリウス役の内藤大希さんも“テニミュ”の先輩ですし、同じくマリウス役の海宝(直人)先輩とは違う舞台でご一緒したことがありますから、先輩方の存在は、とても心強いです。
会見では『レ・ミゼラブル』を観劇されたときに大変感動したとお話されていましたが、ご覧になったのはいつ頃ですか?
ちゃんと観たのは2017年の公演です。オーディションの話が来ていたわけではなく、純粋に観てみたいと思って。僕は昔、歌が大キライだったので、ミュージカルを観たこともなかったところから始まっているんです。それがミュージカルに出させていただくようになって、いろいろなミュージカルを観に行くようになる中で「やっぱり“レ・ミゼ”は外せない!」と思いまして。
そうしたら、大いにハマったと。
もう、泣きまくりました! 生で観ると全然迫力も違いますし、とにかくスゴかった。「どうしてももう一回観たい、違うキャストの方も観てみたい!」と思って、どうにか二度目のチケットを手にして。そのときは「二度目はそんなに泣かないだろう」と思っていたんですよ。感情的にならずにストーリーや作品を観られると思っていたんですけど、二回目のほうがより泣くっていう(笑)。

先をわかっているからこそ、自分の中で思うところがあったんでしょうね。もっと観たかった、何度も観たかったです。それが今回出演できることになったので、毎日観られます!(笑)
“レ・ミゼ”な日々の始まりですね! ちなみに一番泣いた場面は?
たくさんありましたけど、エポニーヌが死んでいくところはやっぱり泣きました。「マ、マリウス〜! おい!」って。今回、自分も演じる役なんですけど(笑)。でもエポニーヌの想いに気が付かないマリウスもマリウスらしいというか。自分の気持ちに純粋なんだなあと思います。
観ていたときから、演じるならマリウス役だと思っていたところはありますか?
どうだったかな……。でも、自分が他の役を演じているのは想像もつかないです。強いて言えばアンジョルラスかな。アンジョルラスの課題曲もいただいてはいたんですけど、あの革命を引っ張っていくような器の大きさは、自分には足りないかなと。

マリウスは自分にちょっと似ている部分もあったというか、後先考えずに感情のままに突っ走っていくところが共通していたので(笑)。やっぱりマリウスだねということでオーディションに臨みました。

昔は歌うのが大嫌いだったけど、今は楽しい!

そのオーディションで見事マリウス役に一発合格。出演が決まったと知ったときのお気持ちは?
驚きでした。うれしいという気持ちやプレッシャーを感じるより前に、驚きが一番大きかった気がします。
では、喜びや実感はいつ頃湧いてきましたか?
東宝さんのTwitterに載ったときに「マジだ……」って。新キャスト一覧の中に「うわ、自分もおるわ! 本当だったんだ!」と思いました(笑)。ありがたいことに選んでいただいたので、ここからが大事だなと思っています。
今から公演に向けてやっていることなどはありますか?
ボイトレはずっと積み重ねています。“レ・ミゼ”の楽曲を歌う稽古も始めています。台本がほぼ全部楽譜だったんですよ! これまでは楽譜を台本とは別に紙でいただく形だったので、楽譜が本になっていることにまず衝撃を受けました。
楽譜はどのように読まれているのですか?
パッと見ては歌えないです。ただピアノで追うことはできるので、それで音を取りながら。耳覚えだけで歌ってはいけないので、正確な音をまず入れている段階です。その後は、歌で感情を表現すること。これができないと話にならないので、一番の課題になってくると思います。

歌でストーリーが進んでいくので、その中でいかに気持ちや物語を伝えるか……。感情を歌で表現するというのはあまりしてこなかったので、日々勉強中です。
先程「歌が大キライだった」とおっしゃっていましたが、歌う喜びに目覚めたキッカケはあったのでしょうか。
2015年に『恋するブロードウェイ♪ vol.4』という、ミュージカルの名曲を歌うステージに出演したことがあったのですが、僕はそれまで人前で歌ったこともないのに歌がとても上手い方々の中に入ってしまったので、ますます歌がキライになったんです(笑)。

でも上手い人たちってやっぱりカッコいいですし、その方々の歌をそばで聞いていると「自分もこうなりたい!」と思うんですよ。そのあたりから真似をしてみたり、歌ってみたりして。気が付いたら音楽も聴くようになったので、キッカケとしてはそこになるのかなと思います。
それまではプライベートでも一切歌ってこなかった?
はい。カラオケとかもほとんど行かなかったです。ずっとクラシックバレエしかやってこなかったので。でも今は歌も楽しいです!
ミュージカル『テニスの王子様』の「Dream Live」やミュージカル『刀剣乱舞』、ライブ形式の『真剣乱舞祭』などで、歌で表現する幅も広がったのではないかと思ったのですが、ご自身ではいかがですか?
その時点ではすでに歌うことが好きになっていましたけど、何も知らなかったからこそ、たくさんのことに挑戦できた機会はありがたかったなあと思いますし、いろいろな種類の楽曲を歌えたので、充実していましたね。

ファンのみんなと、いろいろな世界を一緒に見たい

“2.5次元”を出発点として、今“グランドミュージカル”で活躍されていらっしゃる先人には、城田 優さんや加藤和樹さんなどがいらっしゃいます。
自分が“レ・ミゼ”に出演することが決まってから、和樹さんが出演されているミュージカル『1789 -バスティーユの恋人たち-』を帝国劇場で観劇させていただいたんです。先輩たちが帝国劇場の真ん中で堂々と歌っていらっしゃる姿をあらためて観て「スッゴいなあ〜」と思いました。

でも同時に「僕もここでやんのかいなー!」という、複雑な気持ちになりました(笑)。今までは「スゴい、スゴい!」という気持ちで観ていましたけど、もうそれだけではいられない。自分もここに立って、お客様を満足させる立場にならなければいけないんだと気が引き締まりました。
加藤和樹さんとはミュージカル『テニスの王子様』で同じ跡部景吾役を演じていらっしゃることもあって、SNSで2ショットなども載せていらっしゃいますね。
はい。和樹さんからは「成長したな、お前」「頑張ってね」と言っていただいたので、素直にうれしかったです!
“2.5次元”と“グランドミュージカル”、三浦さんの中で違いは感じますか?
どうだろう……。“グランドミュージカル”に関してはこれから立つものなので、何とも言えないです。でも、どちらも原作があるという点は変わらないですよね。僕としては違いを見ていないというか、僕の考えではありますけど、区分けすること自体がナンセンス。

ダンスでもそうなんですよ。「そのダンスのジャンルは? ジャズなの? 何なの?」って区分けをしたがる人がいるんですけど、ダンサーってそうじゃない。全部踊れて、それで何を表現するのかがダンサーなので。そういう面でも区分けってあまり好きじゃないです。ひとつの作品としてがすべてだし、そういうふうに観てほしいです。
もしかしたら「遠くに行ってしまったな」と感じている方もいるかもしれないと思いまして、敷居が高いと感じている方の背中を押すメッセージをいただければと。
たしかに僕も帝国劇場には敷居が高いイメージがありました。でも、だからこそ僕のことを好きでいてくれている人で“グランドミュージカル”などを観たことがなかった人には、ぜひ自分をキッカケにして触れてほしいなと思います。

ファンクラブイベントをやったときも、僕自身が好きなバレエを披露したんです。それはいろいろな世界を一緒に見たいから。ひとつの作品で僕のことを好きになってくれたとしたら、「他にもこういう作品があるんだよ」って知ってほしいし、一緒に歩んでいきたいです。

「あんまり自分のことを10代だと思っていないんです」

“レ・ミゼ”の舞台に立つときには20歳になられているとのことで、10代でやりきりたいこと、20代になったらやりたいことをお聞きできればと思います。
僕、あんまり自分のことを10代だと思っていないんです。言われたときに「そうか、まだ自分は10代なんか……」と思うくらい。年齢を忘れるくらい日々を駆け抜けさせてもらっているので、10代はやり尽くしたんじゃないかな? 

仕事も自分の好きなことをやらせてもらっているので、やりきりたいことはとくにないです! そのままの勢いで20代に突っ走っていきたいと思います。
日々の充実ぶりがうかがえます! では10代と20代の区分けもせずに……。
そう、区分け嫌いなので(笑)。
ご自身の中で年下感がないということは、カンパニー内で弟キャラというわけではないんですね。
ミュージカル『テニスの王子様』のときは部長役でしたし、最年少でもなかったので。そう思うと最近、弟キャラってないですね。昔はあったんですけど。一丁前に生意気になったからかな?
成人するとお酒が飲めるようになりますが、飲みの約束をされている方はいらっしゃいますか?
それはけっこういます! 最近も「20歳になったら飲みに行こうね〜」って誘われたなあ。誰だっけ? 今入っている現場だとミュージカル『刀剣乱舞』だから……あのカンパニーでは僕が最年少なんですよね。「兄者!」とか呼ばれているのに(笑)。

あ、思い出した、洸だ。高野 洸から「20歳になったら行こうね」って言われました。役柄では洸が弟なのに、なんか悔しいっ!(笑)
三浦宏規(みうら・ひろき)
1999年3月24日生まれ。三重県出身。A型。5歳よりクラシックバレエを始め、『第22回全国バレエコンクールin Nagoya』男子ジュニアA部門第1位、『第18回NBA全国バレエコンクール』コンテンポラリー部門第3位の成績を収める。ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズンで注目を集め、2.5次元舞台を中心に活躍。2019年は、1月11日〜14日に東京・恵比寿 ザ・ガーデンホール、1月20日大阪・松下IMPホールにて『Nostalgic Wonderland♪〜song & dance show〜2019』に出演、4月〜9月は『レ・ミゼラブル』マリウス役で全国5ヶ所にて公演、「ミュージカル『刀剣乱舞』髭切膝丸双騎出陣2019」も決まっている。『月刊三浦宏規×小林裕和』が2019年1月16日発売。

「ミュージカルの世界」特集一覧

出演作品

『レ・ミゼラブル』
プレビュー公演/2019年4月15日(月)〜4月18日(木)@帝国劇場
東京公演/2019年4月19日(金)〜5月28日(火)@帝国劇場
名古屋公演/2019年6月7日(金)〜6月25日(火) @御園座
大阪公演/2019年7月3日(水)〜7月20日(土) @梅田芸術劇場メインホール
福岡公演/2019年7月29日(月)〜8月26日(月) @博多座
北海道公演/2019年9月10日(火)〜9月17日(火) @札幌文化芸術劇場hitaru
原作:ヴィクトル・ユゴー
オリジナル・プロダクション製作:キャメロン・マッキントッシュ
作:アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
作詞:ハーバート・クレッツマー
演出:ローレンス・コナー/ジェームズ・パウエル
翻訳:酒井洋子
訳詞:岩谷時子
出演:福井晶一/吉原光夫/佐藤隆紀、川口竜也/上原理生/伊礼彼方、知念里奈/濱田めぐみ/二宮 愛、昆 夏美/唯月ふうか/屋比久知奈、海宝直人/内藤大希/三浦宏規、生田絵梨花/小南満佑子/熊谷彩春、駒田 一/橋本じゅん/KENTARO/斎藤司、森公美子/鈴木ほのか/朴璐美、相葉裕樹/上山竜治/小野田龍之介ほか
http://www.tohostage.com/lesmiserables/

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、三浦宏規さんのサイン入りポラを抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2018年12月19日(水)12:30〜12月25日(火)12:30
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/12月26日(水)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから12月26日(水)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき12月29日(土)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
  • 応募内容、方法に虚偽の記載がある場合や、当方が不正と判断した場合、応募資格を取り消します。
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