by Frederik Strompen

1970年代後半には人口3万人の漁村だった深圳は「紅いシリコンバレー」「中国のシリコンバレー」と呼ばれるような存在にまで駆け上りました。これに加えて2018年現在、電気自動車のバスが1万6000台も走り、さらに2万2000台のタクシーも電気自動車に置き換えられるという、世界の最先端を行く街になろうとしています。

Shenzhen's silent revolution: world's first fully electric bus fleet quietens Chinese megacity | Cities | The Guardian

https://www.theguardian.com/cities/2018/dec/12/silence-shenzhen-world-first-electric-bus-fleet



深圳市のバスは1975年に運行が始まり、人口が1200万人を超えている2018年現在は、1000近い路線が存在しています。長らくディーゼルエンジンのバスが運行されてきましたが、騒音と大気汚染がひどかったため、政府は交通機関の電気化を推進。1台で約180万元(約3000万円)するという電気バスを購入する際に、その大半を補助金でまかなえるようにするなどの施策を取り、市内を走る1万6000台のバスすべてを電気自動車化しました。

市内には4万基の充電器が設置されたほか、バス路線のうち一部の運行を担当する深圳巴士集団では180カ所の営業所に独自の充電施設を設けたとのこと。深圳市福田区にある営業所の場合、20台の電気バスを同時に充電可能。充電時間は2時間で、1度の充電で200km走れるので、営業路線の範囲で困ることはないそうです。



by Chris

このように一気に切り替えられたのは「一党独裁体制の中国だから」とはいえますが、実際にはインフラ設備は追いついておらず、深圳巴士集団のジョセフ・マー副総統によれば自社施設のほかに、市当局や民間の充電施設も借りて運行しているとのこと。

すでに、バスに続いてタクシーも2018年末にはすべて電気自動車に置き換えられることになっており、深圳巴士集団だけで4600台、深圳全体だと2万2000台のタクシーが一気に電気自動車へと置き換わります。前述のように充電施設は不足しているため、すでにタクシー運転手同士で充電施設の奪い合いになっているのだそうです。

なお、公共交通機関の環境への配慮は深圳以外でも計画が進められていて、ロンドンでは2019年までにすべての二階建てバスをハイブリッド車に、2020年までにすべての二階建て以外のバスを無公害車に置き換える予定。ニューヨークでは2040年までにすべてのバスを電気自動車にする予定となっています。