Appleが開発・販売するMacintosh(Mac)の最初のモデルとなるのが、1984年に登場した「Macintosh 128K」です。そのMacintosh 128Kに付属していたユーザーマニュアルを、Peter Merholzさんが公開しており、30年以上前に作られたものとは思えない美しく洗練されたデザインが見られます。

Thoughts on (and pics of) the original Macintosh User Manual - peterme.com

https://www.peterme.com/2007/08/27/thoughts-on-and-pics-of-the-original-macintosh-user-manual/

Peter Merholz | Flickr

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eBay上で偶然Macintosh 128Kのユーザーマニュアルを見つけて購入したというPeter Merholzさん。ユーザーマニュアルを見て最初に驚いたことは、マニュアルの各章の始まり部分に内容をイメージさせるようなフルカラーの大きな写真を配していたことだそうです。

Chapter 1:Learning Machintosh(Macintoshについて学ぶ)



Chapter 2:Finding Out More About Machintosh(Macintoshについてもっと知る)



Chapter 3:Using Finder(Finderを使う)



Chapter 4:Reference(リファレンス)



Chapter 5:Adding To Your Macintosh System(あなたのMacintoshに追加する)



Chapter 6:Taking Care of Your Macintosh(あなたのMacintoshを手入れする)



Appendixes(付録)



また、Chapter 5を除き、すべての写真が「コンピューターを使用している白人男性をモデルとして使用している」ということに驚いたとMerholzさん。Macintosh 128Kのユーザーマニュアルでは女性や黒人や黄色人種などのモデルが使用されていませんが、30年以上経過した2018年に登場したiPhone XSの宣伝ムービーでは、人種や性別関係なくさまざまな人々が登場しており、時代の変化が感じられます。

iPhone XS - ビッグな世界へ - Apple - YouTube

Chapter 6の表紙写真にもあるように、Macintosh 128Kには持ち運び用のキャリングケースが存在しました。そのキャリングケースのページは以下の通り。



ユーザーマニュアルの最初のページに存在する「はじめに」のページ。このページに写るMacintosh 128Kのモニター部分は反射しており、この頃からAppleは宣材写真で反射などの視覚的効果を取り入れていた、とMerholzさん。



Macintosh 128Kはパーソナルコンピューター(PC)が広く普及し始めた1980年代に登場した、Apple初のPCということで、ユーザーマニュアルには現代では考えられないようなPC操作の基礎中の基礎について馬鹿真面目に説明するページも存在します。

以下のページは、マウスでの「クリック&ドラッグ」について説明するページ。



以下のページは、現代では広く知られるようになったスクロールバーについて説明するページ。語源は巻物を意味する「scroll(スクロール)」で、巻物を読むように縦長のページを切り取る(黒色の太字線)ようにしてMacintoshの画面に情報を表示していることが記されています。



また、テキストデータをコピーしたり保存したりすると、データの変更がどのように反映されるのかも、丁寧に説明されています。



Merholzさん選出の「最も奇妙な説明」は、Finderについての説明だそうです。Appleは「FinderはMacintoshという家の中央にある廊下のようなもの」と説明しており、家の各部屋をMacintoshで使える各アプリケーションに見たてています。ディスクを人と見たて、家の中にある各部屋をつなぐ廊下のように、Macintosh内の各アプリケーションをつなぐ役割をFinderが担っているとしています。