そういえば最近見ないよね?「チャンバラがある時代劇」が減った理由

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時代劇といえば「チャンバラ」!でも最近見かけなくなった?

「暴れん坊将軍」「大岡越前」「水戸黄門」などの時代劇には、ドラマの終わる15分前くらいから始まるクライマックスのシーンで、殿様などのヒーローが悪人たちをバッサバッサと成敗する大立ち回り、いわゆる「チャンバラ」がつきものでした。

時代劇といえば勧善懲悪。このシーンを見て「スカッとした」という方は多かったでしょう。でも最近、そんな大立ち回りのある時代劇を、再放送以外ではあまり見なくなった気がしませんか?

実はその背景には、深刻な事情があったのです。

「チャンバラ」と時代劇の衰退の理由

立ち回りのあるなしにかかわらず、時代劇が衰退している原因の1つに制作費の問題があります。時代劇は、カツラ・衣装・セット・馬や駕籠(かご)など、とにかく現代劇と比べて制作費がかかります。

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更に時代劇では「主演俳優が、スポンサーとなっている会社の携帯電話などを劇中で持つ」などの演出はできないこともあり、携帯電話会社などの花形企業のスポンサーが付きづらくなる傾向があります。

そのためCM効果の高いゴールデンタイムには放送できなくなり、視聴率が低下することでスポンサーが離れ、予算的に更に厳しくなるという悪循環に陥ってしまうのです。

殺陣のできる俳優の減少など、人材不足も…

さらに「チャンバラ」に欠かせない「殺陣」ができる俳優が近年少なくなっていることも、時代劇の衰退に拍車をかけています。時代劇のクライマックスシーンに欠かせない殺陣は、以前は主演のスター俳優に必須のスキルでした。

また当然のことながら、主役の殿様だけでなく殿様にバッサバッサと斬られる「殺陣のできるエキストラ」も、それなりの数揃えられなければ迫力のあるチャンバラシーンが撮影できません。

しかし今の若い俳優にとって、殺陣は「ただのアクションの1つ」「俳優として持っていたら良いスキルの1つ」程度の認識になってしまっているのです。

ひどい例になると、着物を着ての立ち居振る舞いや所作の全く分からないアイドル上がりの俳優を出演させ、「あのアイドルが出ているから見る」 程度の視聴者を増やして視聴率だけ稼ぐようなこともあるのだとか。

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簡単に言えば、時代劇の世界では「若い俳優が育っていない」のです。

また、その殺陣を振りつける殺陣師や、江戸時代やそれ以前の日本語や時代考証などを正しく伝えられる人材も、高齢化などの影響で不足しています。

確かに、時代というものは少しずつ変わっていくものなのかもしれません。しかし、日本ならではと言える昔ながらの時代劇も「我が国の文化」として、少しでも長く生き残っていって欲しいものです。