<トランプ政権の制裁に苦しむ両国が露骨な軍事協力、さらにイランが加わる動きも。米本土に届くミサイルが使用される可能性も>

ロシアベネズエラに核攻撃可能な爆撃機を含む軍用機の一団を派遣したことを、アメリカの外交トップがツイッターで非難。ロシア側はみずからの行動を正当化している。

12月10日、ロシアの核搭載可能な爆撃機ツボレフ(Tu-160)2機、アントノフ(An-124)大型輸送機1機、イリューシン(Il-62)長距離旅客機1機と100人の軍関係者がベネズエラの首都カラカス郊外の国際空港に到着した。ベネズエラの経済はいまや破綻寸前で、アメリカの金融制裁によってさらに痛めつけられている。そんな状況下での今回の動きは、ロシアベネズエラ両国の関係を強化するための試みだという。

マイク・ポンペオ米国務長官は11日、ツイッターでロシアの行動を非難した。「ロシア政府が送った爆撃機は、地球を半周してベネズエラに到着した。ロシアベネズエラの国民は状況をありのままに見るべきだ。国民が苦しんでいる間に、腐敗した両政府は、公的資金を浪費し、人々の権利と自由を押しつぶしている」

ロシア政府のドミトリー・ペスコフ報道官は、ポンペオの反応を「完全に的外れ」と呼んだ、とモスクワ・タイムズ紙は報じた。

敵の敵は味方

アメリカは以前からロシアベネズエラを外交上の敵とみなし、両国政府と国有企業に経済制裁を科している。ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領率いる社会主義政府は、政府の誤った経済運営に対する国民の抗議活動を抑圧していることで非難され、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2016年の米大統領選をはじめとする各国の選挙を妨害したと批判されている。

一方、ロシアベネズエラはアメリカが両国政府の弱体化を図っていると非難し、結果的に両国の絆は強まった、と主張する。超インフレで昨年の消費者物価が83万3997%上昇したベネズエラは資金援助を求め、ロシアは西半球に影響力を拡大するチャンスを見出した。ロシアはさらに、アメリカのほぼ全面的な禁輸措置の対象になっているキューバとの同盟関係も強化している。

冷戦時代の再来を思わせるアメリカとロシアの対立のせいで、ヨーロッパではすでに緊張が高まり始めている。米ロ両国は欧州における軍事力を強化し、継続的な軍事演習を通じて力を誇示してきた。だが最近の事態の展開から、アメリカ本土に危機が迫るのではないかという恐怖も高まっている。

トム・オコーナー