近鉄レジャーサービス株式会社生駒山上遊園地広報担当 木村洋三さん(45)/生駒山上遊園地

写真拡大

2001年のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの開園以降、関西の多くの遊園地で来場者が激減。この17年でたくさんの遊園地が閉園した。そんな状況のなか、来年3月で開園90周年を迎える生駒山上遊園地。この老舗遊園地が、なんと連日多くの来場者でにぎわっている。その実態と理由を探る。<※情報は関西ウォーカー12号(2018年6月19日発売号)より>

【写真を見る】連休や夏休みは園内がレジャーシートでいっぱいに!/生駒山上遊園地

■ 遠足やファミリー層が固定客として園を支える

取材チームが生駒山上遊園地を訪問したのは5月の金曜日。開園直後の園内は、体操着を着た子供たちが走り回る。「保育園や小学校の遠足が5組入っていて、今日は多めですね」とは、広報担当の木村さん。5月の平日は、連日のように遠足が入っている。現在の年間入園者数は約24万人。13年前の約16万人に比べると約50%増と見事な回復ぶり。それを支えているのが、遠足ニーズ。奈良県や東大阪市、八尾市など近郊の幼稚園、保育園、小学校の低学年が訪れる。「引率の先生方に聞いてみると、今は遠足の候補地がかなり制限され、私共か海遊館か、となることが多いそうです」と木村さん。多くの遊園地が閉園したため、低い年齢層でも楽しめる場所が少ないのだ。

「これからの季節は、小さなお子様を連れたご家族のレジャーシートで園内がいっぱいになりますね」と、週末の来場者はほとんどがファミリー層。「GWは、1日で約9000人の来場者がありました。アトラクションに行列ができるのはもちろん、シートを敷くスペースもなくなるほどでした」とも。生駒山頂のコンパクトなスペースゆえの悩みだが、目の届く所で子供たちを遊ばせることができ、親としては安心ということになる。

■ 系列遊園地の閉園で園の個性を180度変えた

アトラクションの数は現在27基。22基が3歳児でも楽しめ、0歳児でも可能なものが3基ある。もともと若者やカップル向けだった生駒山上遊園地が大きく変わったのは、2004年に系列でファミリー向けだった近鉄あやめ池遊園地の閉園から。少しずつアトラクションをファミリー向けに更新したのが功を奏して、ここ12年間は右肩上がりで来場者が増えている。

また、1999年から始めた入園料無料化の効果で、ハイキングや散歩感覚での来園も増加。「寂しい遊園地はつまらないでしょ。お客様が来ないとなにも始まりませんから」と木村さん。順風満帆かと思いきや「山の上は坂道が多いので、ベビーカーのお客様が安心できるようにしたり、おむつが替えられるトイレを増やすなどの施設更新も必要です」と、さらなる集客増を狙っている。

■ 数字で見るヒットのポイント

【90周年】1929(昭和4)年に開園。開園時からある「飛行塔」は、現存する大型遊具では国内最古。搭乗部分は約10年で交換されるが、塔は当時のまま。

【約24万人】2017年の入場者数。ピーク時の1992年は約73万人だったが、2005年には約16万人に落ち込んだ。その後は右肩上がりに増えて、現在も増加傾向。

【27基】園内のアトラクションの数。毎年、なんらかのアトラクションを導入・更新している。今年はコーヒーカップを動物型にリニューアル。

■生駒山上遊園地<住所:奈良県生駒市菜畑2312-1 電話:0743-74-2173 時間:10:00〜17:00 ※シーズンにより異なる場合あり 休み:木曜 ※祝日および夏休みは営業 料金:入園無料 駐車場:1600台(1200円/1日) アクセス:生駒ケーブル生駒山上駅より徒歩すぐ>(関西ウォーカー・関西ウォーカー編集部)