ヴィッセル神戸MFイニエスタ【写真:Getty Images】

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川崎MF中村、横浜FMのMF天野、名古屋DF中谷をDAZNが直撃してシーズンを検証

 川崎フロンターレの2連覇で幕を閉じた2018年のJ1リーグは、AFCチャンピオンズリーグ出場権、残留争いが最終節までもつれ、近年稀に見る混戦だった。

 大盛り上がりのシーズンを彩ったのが、今夏にヴィッセル神戸に加入した元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタだ。ワールドクラスのテクニックと元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキとの強力コンビで日本のサッカーファンを魅了したが、DAZNは実際に対戦した選手たちの証言を元に、イニエスタの“日本1年目”を振り返っている。

 イニエスタは7月22日の第17節湘南ベルマーレ戦(0-3)でJリーグデビュー。8月の第21節ジュビロ磐田戦(2-1)で初ゴールを決めると、最終的に14試合で3得点3アシストの成績を残した。

 10月の第30節で対戦した川崎の元日本代表MF中村憲剛は、バルセロナとスペイン代表でその名を轟かせてきたイニエスタを目の前にして「ワクワクが止まらなかった」という。日本屈指のゲームメーカーが感嘆したのは、「ポジショニング」と「ルックアップ」だ。

「みんなボールを持ってからのイニエスタのプレーに注目すると思うけど、個人的には、プレーをしていない時のポジショニングというか、立ち位置がすごく良い。対戦した時はボランチで出ましたけど、ちょうど俺が行けそうでいけない、サイドの選手も絞ろうと思ってもで絞り切れないポジションでずっとプレーしていたので、これはいやらしいなと。あと、ヘッドダウンしていなくて、しっかりボールを止めた状態でいろんなところを探している。あれだけ顔が上がっているとコースが読めないし、寄せられない」

名古屋戦の“天空パス”アシストは「ループパスが出てくるとは思わなかった」(中谷)

 今年日本代表にデビューし、小さい頃からバルセロナのファンだという横浜F・マリノスのMF天野純も、「体の使い方が上手くて、常に脱力感というか、力が入っていない状態でプレーしている」とイニエスタの流麗なプレーに舌を巻いた。

 磐田戦で華麗な反転からDFとGKを交わして決めた一撃がゴールでのハイライトの一つなら、アシストの代表格は第31節名古屋グランパス戦(2-1)の一本だろう。

 0-0で迎えた前半10分、敵陣中央でボールを受けたイニエスタは、ブロックを築く相手守備陣の動きを見極めると、空中に高く浮かして相手最終ラインの裏を突く右足のループパスを選択。相手守備陣の足を一瞬止めると、裏に抜け出したポドルスキがジャンプしながら左足のダイレクトボレーでゴール左に流し込み、先制点を奪った。

 この時、ゴール前で構えていたDF中谷進之介は、「あそこから足首で(ボールを)上げている。ループパスが出てくるとは思わなかった」と振り返り、DF目線でイニエスタの印象を語っている。

「アウトサイドでボールを触りながら、鋭角に触って相手の懐に入っていく。たぶん特別早いわけではないと思う。でも、僕からしたら取れると思ったボールの置き方で相手が出てきた時にワンツーする。相手を釣るボールの触り方が上手い」

 来季は元スペイン代表FWダビド・ビジャが加入することが決定。イニエスタがポドルスキとビジャの二人をどのように操り、神戸をさらなる高みへと導くのか、注目が集まる。(Football ZONE web編集部)