サンタクロースは本当にいるの?」と子どもに尋ねられた親は、どう答えるのが正解なのかについて悩むものです。世界中の親を悩ませ続けてきたこの大問題について、学術ニュースサイトConversationが5人の識者に考えを聞いています。

We asked five experts: should I lie to my children about Santa?

https://theconversation.com/we-asked-five-experts-should-i-lie-to-my-children-about-santa-106930

◆ノー派

・アメネ・シャハエイアン

心理学者のアメネ・シャハエイアン氏は、「ノー」すなわち「サンタさんはいない」と、正直に答えるべきだと回答しています。シャハエイアン氏によると、子どもがサンタクロースが実在するかどうかについて質問しているとき、現実のキャラクターと架空のキャラクターを区別する能力を開発する段階にあるとのこと。この段階に達した子どもに対して、「サンタさんはいるよ」と答えて嘘をつくことは、子どもたちの成長に役に立たないそうです。

シャハエイアン氏によると、もちろん子どもの年齢を問わず、「サンタは現実にはいない」ということを議論する必要があるというわけではありませんが、子どもが自分から質問してきたときこそ、正解を教えるのにベストなタイミングだとのこと。

・レベッカ・イングリッシュ

教師で教育家のレベッカ・イングリッシュ氏も、「ノー」と答えるべきだと考えています。「サンタはいる」と答えることは、「フィクションを信じるよう求めること」を意味しており、道徳的に答えのない曖昧なウソを信じるよう奨励するものだとイングリッシュ氏は述べています。

もちろん、サンタクロースの存在自体は子どもの想像力を育むという重要な意味を持つものですが、「サンタはいるの?」と質問する子どもは、幻想と想像力が発達して「知っていることが真実ではないのでは?」と考えるときに生じるもので、「サンタはいる」と答えることで、子どものアイデアを無駄にしてしまうそうです。

また、せっかくプレゼントを買ったあなた(親)は、自分の貢献をサンタクロースに捧げる必要はなく、子どもから感謝の気持ちを直接受け取る資格があるはずだとのこと。



・ピーター・エラートン

哲学者のピーター・エラートン氏も、やはり「ノー」派。子どもたちから楽しくないことを遠ざけてやろうと大人たちはウソをつくものですが、子どもは「サンタクロースが空想の人物である」という事実を、自分で消化することができるとエラートン氏は考えています。

もしもサンタクロースの物語に忠実に従えば、「裕福な子どもだけがプレゼントを受け取ることができるなら、貧しい家庭の子どもたちにはどう説明するべきだろうか?」という難しい問題が生じるはずだと指摘しています。

・デイビッド・ジンジャー

「子どもにウソをつくことは、悪い習慣だということを研究は示している」と、教師で教育家のデイビッド・ジンジャー氏は述べています。親がサンタクロースを演じたいと望むなら、それは素晴らしいことですが、どうしてサンタクロースになり切ろうと考えたのかを正直に子どもに教える方が良いとのこと。

子どもがサンタクロースの存在を信じなくなった時点で、サンタクロースを信じることで得られる利益は失われているとのこと。それにも関わらず、ウソをつきつづけることは「だまされている」という感情を子どもに与えるだけで、良いことではないそうです。

◆イエス派

・ケリー・アン・アレン

回答した5人の専門家の中で、唯一「サンタはいるよ」と答えるべきだと回答したのは、心理学者のケリー・アン・アレン氏。アレン氏は、「サンタクロースやクリスマスのお祝いをする親たちは、子どもと文字通り記憶づくりをし続けています。世代を超えた家族の伝統や社会的な経験を共有するのを助けるやり方で、記憶を刻むものです。クリスマスの儀式は、社会的なネットワークを構築し孤独を感じるのを減らす機会を提供します」と述べ、クリスマスやサンタクロースに意義があると述べています。



また、アレン氏は3歳のこどもにつくウソと30歳の子どもにつくウソはまったく異なると述べています。子どもが自発的な形でサンタクロースに対する自然な結論を出すまでサポートするのが親の役目であり、保護者は子どもとどのような情報を共有すべきかについて、年齢に応じた判断が要求されるものだとのことです。