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 出入国管理法改正案が改正され、いよいよ外国人労働者の大幅受け入れに門を開いた日本。いっぽうで、多数の外国人技能実習生が死亡・失踪している事態は改善される気配がない。こういった現状を、日本で働く外国人はどのように見ているのだろう?

◆学びたいなら日本は選ばない
 法務省の内部資料によれば、‘15年からの3年間で69人の外国人技能実習生が死亡。そのなかには溺死や凍死、自殺などの死因も含まれており、常識的に考えれば深刻な人権問題……というか、昨今言われていたように、現代の奴隷制度という表現が間違いなかった実態が明らかになった。

 さらに外国人技能実習生の67%が最低賃金未満で働き、10.1%が「過労死ライン」を超える残業をしていたという異常な状況。そもそも、この凄惨な実態が発覚した経緯も異常だ。

 与党は事実上の移民受け入れとも言われる、出入国管理及び難民認定法、すなわち入管法の改正案を12月7日に強行採決した。しかし、日本の未来を大きく変える法案だけに、本来であればこれまでたびたび問題が指摘されてきた技能実習生制度を精査するのが筋である。

 ところが安倍首相と山下法相は聴取票の開示を拒否。野党側はコピーをとることすら禁じられ、手書きで“写経”することとなった。執拗に実態を隠し、ついに明らかになると、死者や失踪者が多数……。

 これについて、12月6日の参院法務委員会で質問された安倍総理は、「初めてお伺いした。私は答えようがない」と他人事。ヘラヘラと答弁し、笑顔まで見せた。

 ともあれ、採決されてしまった以上、来年4月から新たに外国人労働者が日本にやってくることは間違いない。では、すでに日本で働いている外国人たちはこういった現状、そして労働環境をどう思っているのだろう?

 「本当に何かの“技能”を学びたいなら、日本に来る必要はない」と語るのは、飲食店経営者のJさん(アメリカ人・37歳・男性)だ。

「今どき、日本がリードしている分野なんてほとんどないでしょう。せいぜいファッションとか? ITの分野でも中国や韓国に抜かれているし、日本でしか学べない技能って何? 本当に高い技術力を学びたいなら、他の国を選ぶと思う」

 かなり辛辣な意見だが、たしかに日本でしか学べない技術はかなり限られている。さらに、今回の技能実習生制度の聴取票からも明らかになったとおり、低賃金の単純労働ばかりをさせられているのが現実だ。同様の見方をするのは、Sさん(ノルウェー人・34歳・女性)。

「お金がほしいだけなら、留学生だって言ってコンビニとか飲食店で働くほうがよっぽど稼げるでしょ。自分から安い給料で重いものを運んだり、農作業をしたがる人がどれだけいるのか……。最初からそういう仕事だって知っていたら、絶対にやらないと思う。結局、騙されているんだから、酷い話でしょう。どうして誰も逮捕されないのか不思議」

 もはや「高い技術を学ぶため」という建前すら崩壊している技能実習生制度。なんらその問題点が改善されぬままに、来年4月からはさらにその範囲を拡大したかのような「新在留資格」が始まることになったのだが、いったい移民制度と何が違うのだろう? 家族を連れてきてはいけないという仕組みも、常識的に考えれば人権侵害だ。

◆ますます差別が蔓延するとの声も
 ほとんど議論されないまま今回の改正案が通ってしまったが、事実上の移民受け入れに警鐘を鳴らす外国人もいる。多様化どころか「ますます差別が激しくなる」と予想するのは、Eさん(アメリカ人・35歳・男性)だ。

「英語教師をやっていても、日本じゃガイジン扱いされて下に見られる。それが低賃金・単純労働だけやらされている人なら、なおさらそうなるんじゃないかな。やりたくない仕事を押しつけられる人が差別されるのは、歴史が証明している」