中国内で新作ゲーム承認凍結が解除、オンラインゲーム倫理委員会が設置。審査タイトル20本中9本がリジェクト
今年10月に中国当局が暫定的な認可プロセスを通じたゲームライセンスの発行を終了し、同国市場で新規タイトルを出す公式手段がなくなったと報じられていました。

そうした新規ゲーム認可の凍結は解除された一方で、新たな審査機関としてオンラインゲーム倫理委員会が設置されたことが伝えられています。この報道は中国の国営テレビ局CCTVによるもので、委員会の存在が公表されたのは初めてのこと。オンラインゲーム委員会は最初の20本のゲームを審査し、うち9つのゲームを国内市場でリリースすることを却下したとのこと。その他の11のゲームについても特定のコンテンツを修正するよう指示したとされています。

今回の報道では、倫理委員会がどの政府部門の管轄下にあるのか、また審査された20のゲームのタイトル名は明らかにされていません。もともと中国内でのライセンス発行を担当していた規制当局のSAPPからは、新しい倫理委員会に関するコメントは得られなかったとのこと。

習近平国家主席が子供の禁止率の高さを憂慮する談話を受けてオンラインゲームの新作やゲーム全体の本数を規制する方針が打ち出され、中国ではゲーム認可の凍結と政府の規制担当部門の再編が行われてきました。

そうした影響により、同国内ゲーム部門の上半期の売上高は、前年度比5%増の150億ドルになったとのこと(調査会社CNG調べ)。一応の成長は見られるものの、過去10年間で最低の成長率とされています。

香港の有力英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、当局によるゲーム産業への締め付けに対して、中国国内のゲーム各社が取っている対応を伝えています。

まずゲーム巨大IT企業のテンセントは、10月に政府のビデオゲーム中毒者への懸念に対応して、ゲームをプレイしている未成年者を検出するために顔認識技術の使用を発表したとのこと。それ以前にも、同社は人気モバイルゲーム『Honor of Kings』に実名登録システムや年齢確認の義務付けを導入していました。

こうした背景から、中国のゲームデベロッパーは新規タイトルを海外で公開する動きにありますが、一部のインディーゲーム系レーベルは、アメリカのPCゲーム配信プラットフォームSteamを通じて、中国内の3000万ユーザーにアプローチを図っているとされています。

中国ゲームタイトルの強みの1つは、世界最大級のゲーム市場を中国当局の囲い込んで規制の元に置いている事情にありました。今後はそうした特徴が国内企業に対してブレーキとなり、国際的なゲーム業界内でも力関係の変化が生じるのかもしれません。