先発抜擢のFW小川航基が先制PKを冷静に決め切った【写真:Getty Images】

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J1参入プレーオフ決定戦で2-0と勝利、東京Vの11年ぶりJ1昇格を阻む

 J1参入プレーオフ決定戦、ジュビロ磐田東京ヴェルディは8日、ヤマハスタジアムで行われ、東京五輪世代のエース候補FW小川航基の先制PKと、MF田口泰士の直接FKによって磐田が2-0で勝利。

 J1残留を決めた。

 磐田の名波浩監督は日本代表経験者のFW川又堅碁、MF中村俊輔をベンチに置き、小川を抜擢して1トップに据えた。FW大久保嘉人はシャドーの位置に入り、怪我で長期欠場していたMFアダイウトンが9カ月ぶりの実戦ながらスタメン起用という勝負に出た。

 対する東京Vは昇格プレーオフ2回戦・横浜FC戦で劇的な決勝点を挙げたFWドウグラス・ヴィエイラ、そのゴールに直結するヘディングシュートを放ったGK上福元直人が先発に名を連ね、3バックでスタートした。

 序盤は前線にタレントを揃える磐田が主導権を握る展開に。一方の東京Vは前半19分にヴィエイラの裏抜けからチャンスを作りかけたが、攻撃の枚数が足りず、決定機とはなり切らなかった。その2分後に磐田は大久保の浮き球パスを受けたMF山田大記がシュートを放ったものの、上福元の素早い反応によって弾かれた。
 
 その後も磐田が押し気味の展開が続くと、試合が大きく動いたのは40分だった。スルーパスに対して抜け出た小川が、飛び出した上福元より先にボールタッチ。止めに行った上福元の手がかかって小川を倒すと、PKの判定が下る。このチャンスを小川が冷静に決めきり、1-0と大きすぎる先制点をホームチームが奪い、ハーフタイムへと入った。

 東京Vのロティーナ監督は、後半開始からMF梶川諒太に代えて東京五輪世代のMF渡辺皓太、そしてキックオフ直後にはヴィエイラに代えてFWレアンドロを送り出す勝負手を打った。しかし磐田は後半2分にセットプレーから再び小川がシュートを放つなど、追加点を奪って試合を決めに行く姿勢を見せた。

GKカミンスキーが好セーブで失点回避、田口が残留を決定づけるFK弾

 徐々に球際の局面が激しさを増していくなか、東京Vのチャンスは同20分に訪れる。セットプレーからの流れでレアンドロが右足で痛烈なシュートを放ったが、磐田の名手GKカミンスキーのパンチングに弾かれた。その5分後にも右サイドからの鋭いクロスをカミンスキーに再び弾かれるなど、サックスブルーの最後の砦に苦しめられる。

 優位に立つ磐田は、カウンターからの大久保のシュートがポストを直撃する場面があったものの、後半40分に小川がファウルを受けてゴールから約20メートルの位置で直接FKを得る。このチャンスでMF田口がキッカーを務めると、上福元の逆を突くファーサイドへのシュートをゴールに突き刺し、残留を決定づける2点目をスコアに刻みつけた。

 名波監督の戦略とピッチに立つ選手たちの意地によって、磐田は4年ぶりのJ2降格阻止に成功した。一方でJ2リーグ6位から2008年以来、11年ぶりとなるJ1復帰を目指した東京Vはプレーオフで奮闘したものの悲願を果たせず、来季もJ2を戦うことが決まった。(Football ZONE web編集部)