中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)」の副会長でCFO(最高財務責任者)の孟晩舟(マン・ワンジョウ)の逮捕は、アメリカのIT業界と、米中貿易戦争に多大な悪影響を及ぼすと、専門家は指摘する。中国が報復のためにアメリカ人を人質に取るのではないかという憶測も出ている。

「ファーウェイは中国政府の『子飼い』の企業の1つだ」と、米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のジェームズ・ルイス技術政策部長は、ニュースサイト「アクシオス」の取材に答えている。「中国は報復のために、人質を取るだろう。もし自分がアメリカのIT企業の重役なら、今週は中国に行かない」

政策ニュースサイト「ポリティコ・プロ」の編集者マーティ・ケイディは、ツイッターの投稿で孟の逮捕は「アップルやフェイスブックの重役が中国で逮捕されるようなものだ」と指摘している。

逮捕されたファーウェイ幹部の孟晩舟


ファーウェイの創業者、任正非(レン・ジョンフェイ)の娘の孟は、先週12月1日、カナダのバンクーバーで飛行機を乗り換える際にカナダ当局に逮捕された。アメリカは身柄の引き渡しを求め、現地時間7日に保釈聴聞会が実施される予定だ。

容疑は対イラン制裁違反?

ロイター通信の報道によると、米捜査当局はファーウェイが国際的な銀行システムを使ってアメリカの対イラン制裁を回避しようとした容疑で捜査している。今年4月にも、ファーウェイは制裁に違反してネットワーク設備をイランに売却していたと報じられている。

ドナルド・トランプ米大統領は、アルゼンチンでのG20後に行った12月1日の米中首脳会談の成果を強調しているが、専門家は今回の逮捕が米中貿易をめぐる両国の交渉に悪影響を及ぼすことを懸念している。アメリカが今回の逮捕を交渉材料に使うと予測する専門家もいる。

中国社会学院の米中関係の専門家、劉衛東(リウ・ウェイドン)は、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの取材に対し、「(米中貿易協議の休戦期間である)今後90日間に孟逮捕のようなケースがまた起こるだろう。米中協議でアメリカ側が優位に立つために、中国の国営企業や個人に鉄槌が下る」

またオーストラリア・ニューサウスウェールズ大学の王衡(ワン・ハン)教授は、「90日間の協議期限までに中国が解決策を提示できなければ、アメリカが中国に圧力をかける手段として孟を使うかもしれない」と、語っている。

ジェイソン・レモン