『たった3カ月で人生が変わる”復習オンリー”英語勉強法』(本多正治著、合同フォレスト)の著者は、フィリピン・セブ島に「First English Global College」を開校し、英語レッスンを提供しているという人物。

このビジネスは、フィリピン留学専門エージェントです。フィリピンの主にセブ島に短期留学して、マンツーマンで英語のレッスンを受けられる学校を紹介しています(当初はマニラを検討しましたが、治安や環境の面であまり留学には適していないと分かり、セブに的を絞りました)。

フィリピン人は英語の発音がきれいだし、教え方も丁寧です。おまけに人件費も安いので、お金も時間もない人たちが英語を勉強するには、セブ島はまさにうってつけの環境なのです。(「プロローグ」より)

ところが驚くべきことに、このビジネスを立ち上げた時点では、英語がまったく話せなかったのだというのです。

しかし自分の言葉で話せないと、マネジメント能力を発揮できないという壁にぶち当たることになります。そのため一念発起して、英語を勉強することにしたのだそうです。

しかし経営者である以上、仕事をしながら勉強するしかなく、使える時間は限定的。そこで、日本で経営している9つの学習塾における勉強法を応用し、効果の上がる勉強法に特化したのだといいます。

その結果、勉強を始めてから2週間でTOEICで760点をマークすることに。国内のビジネス・ブレークスルー大学院に入学し、オーストラリアのボンド大学ビジネススクールでも学び、2年でMBAを取得したのだとか。

そして結果的にはわずか2年で、仕事でも英語を使ってちゃんと会話ができるようになったというのです。信じがたいような話ですが、つまり本書では、著者が実際に行ってきた、もっとも効果的な勉強法が紹介されているわけです。

でも、年齢を重ねてからでも本当に英語学習は可能なのでしょうか? その点を探るため、第2章「40歳から始める英語はココが違う!」に焦点を当ててみたいと思います。

英語は何歳から始めても身につく

たとえば40代になると、「もういい歳だし、いまさら英語なんて」「いまから単語を覚えるのは大変だ」というように感じるようになったとしても不思議はありません。

しかし著者によれば、年齢はまったく関係なし。若いうちに勉強した方が身につくというわけでもなく、その証拠に、著者が運営する英会話学校には75歳の男性も勉強しに来ているのだそうです。

いままで英語にどれだけ接してきたかによって、伸び方に多少の差はあるものの、誰でも必ずできるようになるということ。

実際に僕も、40歳を過ぎてから真剣に勉強し始めて、英語を話せるようになりました。

「英語なんて今さら…なんてネガティブな思考にとらわれず、「やったらできる!」と思って行動すると、必ずできるようになるんです。(41ページより)

必要なことは「時間の投下」だけで、やればやるほど身についていくといいます。とはいえ、やはり社会人には時間がありません。

そこで著者は、英語力ゼロでも、忙しい40代からでもできる英語の勉強法「7つの鉄則」を紹介しています。(40ページより)

鉄則1 「復習の仕方」をマスターする

著者は日本で学習塾を経営しているため、当然ながら子どもたちの勉強を間近で見ています。そんななか、感じることがあるのだそうです。

勉強のできない子は、1冊の10%しか理解できていない段階で次の教材に進み、また10%の理解度でやめてしまうということ。しかしそんなやり方では、時間をかけて何冊もこなしたとしても、成績が上がることはありません。

同じことは、英語の勉強にも言えるといいます。教材を何冊もこなすのではなく、1冊の教材を復習したほうが身につくということ。

人は忘れる生き物なので、同じことを何度も繰り返すことが大切。繰り返しやることによって、内容を10%自分のものにしてから次に進んだほうが、自信にもつながっていくということです。(41ページより)

鉄則2 「朝時間」を徹底活用する

英語をちゃんと勉強しようとするとき、必要になってくるのは時間。ところが何時間も勉強し続けることは難しく、そもそもその時間が取れない場合も少なくありません。そこで著者は、「朝の活用」を進めています。

勉強しようとなると、仕事から帰った夜の時間を使おうと思いがち。しかし勉強するのであれば、脳が活性化していて、勉強の環境も整っている朝が最適。

特に40代以降の人の場合、20代のころのようにがむしゃらに取り組むのではなく、40代ならではの効率的な勉強をすることが大切。そのためには、朝の時間をコントロールすることが重要だというのです。

夜には飲み会、ゲーム、デート、テレビ、SNSなどさまざまな誘惑がありますが、これまで使ってきた時間を少しだけ制限して早く寝て、翌朝1時間の勉強時間を確保できれば、必ずリターンが得られるといいます。(44ページより)

鉄則3 「欲張らない」

英語を習得しようとするときは、とかく張り切ってしまいがち。しかし大切なのは「欲張らない」、つまり、がんばりすぎないこと。苦しければ、当然ながら長く続けることは困難だから。

英会話の習得にはある程度の時間をかける必要があるので、苦痛に感じず、飽きずに毎日少しずつ、長い期間勉強するほうが効果的だということです。

つまり、欲張らず、捨てる勇気を持つことが大切。欲張らずに捨てられるものは捨て、確実に身になることを選択したほうが、結果的には自分の得になるという考え方です。

欲張ってしまう人は、次々と別の教材に目移りしてしまいがち。でも、それでは復習がおろそかになるので、上達しません。そして、なかなか英語力が伸びないことに失望し、勉強をやめてしまうわけです。

仕事でも、1年を通じて同じ業務に携わっていれば、必然的に手際がよくなるもの。英語も同じで、繰り返し続けると、「まったく歯が立たない」ということがなくなってくるといいます。

苦しさを感じずに済むので、長く続けることができるということ。(46ページより)

鉄則4 「他力本願」でお金を上手に使う

思い切って自分に投資すると、結果的に成功すると著者は言います。お金をきちんと払い、人の力を借りたほうが身につくということです。当然のことながら英語の勉強も同じ。

TOEICを狙うだけなら公式問題集を自習するだけで十分ですが、英語が話せるようになるには、人と話す機会が必要になるわけです。

「人と話をする勉強」をするとしたら、相手の時間を拘束することになるため、ある程度の費用は必要になります。

できるだけ無料で勉強したいと考える人も少なくないでしょうが、むしろお金を払って英語を教えてもらうほうが効果的。

なぜなら、お金をかけていると思うと、簡単にはやめなくなるから。結果的に勉強が効率的に進められるので、多少のお金がかかったほうが効果があるというのです。

自分のやりたい、目指したいところに向けてお金と時間を使っていくことが、これからの人生を大きく変えていくという考え方です。(48ページより)

鉄則5 「ノートとペン」は捨てる

学生時代には、「書くことで覚えなさい」と言われたことがあるのではないでしょうか? 

しかし書いて覚えることは、あまり効率のいい方法ではないと著者は指摘しています。そこで提案しているのは、思い切ってノートとペンは捨ててしまおうということ。

「書く」ことは捨て、どんどん「読む」に切り替えていくべきだというのです。読むことだけに特化すると、どんどん進めることができるようになります。

そのため、繰り返す余裕が出てきます。書いていたら3問しか進めなかったとしても、読むだけなら10問を3回繰り返せるわけです。

間違ってもいいからどんどん読み、間違ったところのチェックだけして、さらに進める。それを繰り返すことで、ちゃんとその本の内容が身につくということ。

英語は「量」なので、「繰り返しを高速回転していく」感覚で進めたほうがいいというのです。(50ページより)

鉄則6 「忘れる」ことは当たり前

先にも触れたとおり、ある程度の年齢になると、「いまから単語を覚えるのは大変」「英語は若くて記憶力のあるうちに勉強しないといけない」という思い込みに縛られるようになります。

しかし実際には、誰しも忘れて当然。人間は、忘れる生き物だからです。そして、それは年齢に関係のないことでもあります。

「忘れる」のは悪いことではなく、当たり前のこと。だから、同じことを何度も繰り返す「復習」が効果的だと著者は言うのです。

覚えたい内容があるのなら、それを復習すればいいだけのこと。

「忘却曲線」をご存知でしょうか。ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスという人が導き出したもので、「人間は何かを学んだ20分後には42%忘れる」といわれています。

「えーっ、4割も忘れちゃうの?」と思うかもしれませんが、これは「最初の学習から20分後に復習すると、42%の力で覚えられる」と言うことでもあるのです。

1時間後は56%を忘れているといわれますが、それはつまり、1時間後に復習した場合、最初は10分かかっていたところ、2度目には6分で覚えられるということです。

同様に、1日後には前の日に10分かかったのが8分で覚えられます。忘れてはいるのですが、最初のときよりも覚える時間が短くなります。ですから忘れているところだけ、もう1回覚えなおせばいいのです。(53ページより)

いわば復習を繰り返すと、きのうよりも明日、明日よりも明後日のほうが短い時間で覚えられるということ。英語の勉強においても、いい英文を何度も読んだり聞いたりすることが上達の近道になるということです。(52ページより)

鉄則7 「目的」に合わせた勉強に集中する

ひとくちに「英語の勉強」と言っても、目的に特化した勉強が必要だと著者は主張しています。目的・目標によって勉強法はそれぞれ違うので、たとえば英検を狙うなら、英検の勉強だけをしたほうがいい。

同じくTOEICを受けるのであれば、TOEIC専用の教材を使用し、リーディングやリスニングの勉強をしたほうがいいということ。

自分の目的に絞った勉強法がいちばん効果的であり、逆に目的をはっきりさせないと、適切な教材選びもできなくなります。

初めからあれこれ手を広げるより、自分の目的に合った「これならできそうだ」と思える1冊に絞り、それを何度も繰り返すほうが長続きし、結果的に力がつくということです。(54ページより)

40歳まで英語が話せなかったからこそ、話せるようになって感じることがあると著者は言います。それは、英語が話せると世界が広がり、人生に幅が出るということ。

話せる人にとっては当たり前すぎることかもしれませんが、その一方、話せない人にとってこれは希望を感じさせる言葉ではないでしょうか?

英語によって世界を広げ、人生に幅をもたせたいという気持ちが多少なりともあるなら、本書を参考にして見る価値はあるかもしれません。

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たった3カ月で人生が変わる”復習オンリー”英語勉強法

1,620円

Photo: 印南敦史