GPファイナルを欠場する羽生結弦【写真:Getty Images】

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露メディアがGPファイナルをプレビュー

 カナダで行われるフィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルに出場を予定していた羽生結弦(ANA)は右足首の負傷により欠場。五輪連覇中の絶対王者は不在となったが、平昌五輪銀メダルの宇野昌磨(トヨタ自動車)、世界選手権覇者のネイサン・チェン(米国)らが頂点を争う。ロシアメディアは大会を展望しているが、「ハニュウを忘れさせることはできない」と不在を残念がっている。

 GPシリーズ第5戦のロステレコム杯で右足首を痛めながらも魂の演技を披露して優勝。ファイナルはギリギリまで出場の可能性を探ったが、先月29日に欠場が発表された。絶対王者不在の中でGPファイナルが行われることとなった。

 プレビューを展開しているロシアメディア「R-sport」は、まず宇野とチェンの対決に脚光を浴びせている。

「バンクーバーのGPファイナルでは、平昌五輪銀メダリストで、プログラムの難しさに屈しないショーマ・ウノが日本のために戦うことになる。ウノは極めて確実な状態にまで4回転フリップに磨きをかけ、それでいてスケートの美しさと表現力がいつもこの青年を際立たせる」

 こう宇野の好調さを評価した上で「4回転フリップ、そして4回転トウループを武器に持つ日本の青年はチェンと対等に金メダルを目指して闘うことになるだろう。ウノとチェンの(プログラムにおける)構成点はだいたい同じくらいだ」とチェンと比較。共にGPシリーズ連勝を飾っており、マークした得点にも大きな差はない。

「プーさんが投げ込まれないリンクは、より白くなるだろう」

 だが、一方でこうも指摘している。

「この2人の若者はカナダのファンにハニュウ・ユヅルを忘れさせることができるか? いいえ、できません」

 記事では羽生が2015-16シーズンの大会で叩き出した330.43点という驚異的なスコアに言及。「優勝した者は自分の意志ではなくユヅルの肖像の隣で自分を誇示することになるだろう。そして、プーさんが投げ込まれないリンクは少し、より白くなるだろう」。黄色いプーさんの雨がなくなるため、リンクの白い部分が目立つことになるだろうと、独特な表現で羽生の不在を嘆いていた。

「ハニュウなしではGPファイナルはウノとチェンの局地的な闘いとなるだろう。彼らの後ろには、チェコのミハル・ブレジナ、韓国の将来のスター、チャ・ジュンファン、カナダのキーガン・メッシング、ロシアのセルゲイ・ボロノフが続く」

 宇野とチェンの頂上決戦も楽しみだが、ここに羽生が加わっていれば……。ロシアメディアは実現しなかった3つ巴バトルに思いを馳せていた。(THE ANSWER編集部)