武田薬、史上最大の買収なるか 5日に株主総会

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 武田薬品工業は5日、計画しているアイルランド製薬大手、シャイアー買収の賛否を問う臨時株主総会を大阪市内で開く。

 シャイアーも同日(ロンドン時間)に臨時株主総会を開催予定で、株主の賛成を得られれば、早ければ来年1月8日に買収が完了し、売上高3兆円を超える世界トップ10に入る製薬企業が誕生する。一方、一部の創業家一族やOBらは反対の構えを見せており、総会直前まで経営陣を牽制(けんせい)する。

 総額6兆8千億円

 「賛成票を得て支持されると確信している」

 武田のクリストフ・ウェバー社長は11月中旬、米ニューヨークからテレビ会議を使って産経新聞社などの取材に応じ、買収実現への自信をのぞかせた。

 武田は日本企業で過去最大となる総額約460億ポンド(約6兆8千億円)での買収を計画し、5月にシャイアーと合意した。買収額のうち約3兆円は借り入れと社債発行などで調達、約4兆円は新株発行によって賄う計画で、総会では新株発行などについて是非を問う。すでに日本や米国、中国、欧州連合(EU)の規制当局から承認も下りており、3分の2以上の賛同が得られれば正式な買収手続きが始まる。

 「高い支持得られる」

 「みんなが賛成というところまで説得できるかは分からないが、買収の意義について、繰り返し説明している」とウェバー氏。新会社の売上高は3兆円を超える見込みで、買収後は年間4千億円超の研究開発投資が可能となる。

 さらに武田が従来、重点領域としてきたがんと消化器、精神神経領域に加えて、シャイアーの強みである希少疾患が加わることで研究開発力が高まると訴える。

 武田の株主構成は機関投資家が60%以上で、その動きが総会の行方を握るが、ウェバー氏は「より高い支持が得られると思う」とも発言。すでに米議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)とグラスルイスも賛成を推奨している。

 創業家など反発も

 一方、一部OBや創業家一族などで作る「武田薬品の将来を考える会」が、買収による財務悪化リスクを懸念して計画に反対している。6月に開かれた定時株主総会でも大型買収の際に事前決議を求める議案を提案。否決されたが10%弱の賛成票を得ており、その後も国内外で機関投資家やファンドに接触してきた。

 11月28日に東京都内で開いた個人投資家を対象にした説明会では「新株発行で、武田の一株あたりの利益が希薄化する懸念がある」「シャイアーは血友病治療薬に強いが、競合品が市場に投入され、売り上げの落ち込みが早まる可能性がある」などと指摘。武田側が買収後の有利子負債の削減のために最大100億ドル(約1兆1千億円)規模の資産売却を想定していることにも懸念を示す。

 また、このときの説明会で創業家一族の1人が、創業家出身で元社長の武田国男氏が「買収に反対の考え」であることを側近を通じて伝えてきたことを明らかにした。3日には「考える会」のメンバーで創業家一族の1人が日本外国特派員協会で会見し、国男氏の考えなども伝え、反対支持を訴える予定だ。